2014年11月4日 (火) 掲載

◎函館駅西口に「イカポスト」

 JR函館駅西口に3日、函館のシンボルであるイカをモチーフにした「イカポスト」がお目見えした。関係者によって除幕式が開かれ、式典後には早速市内の児童がポストへ投函を行った。

 函館臥牛ライオンズクラブ(清水真一会長)が地域貢献の一環として、函館中央郵便局へ寄贈した。

 除幕式には清水会長や函館中央郵便局の米田健司局長らが参加。米田局長は「立派なポストを寄贈して頂いた。多くの市民や観光客に利用してもらうのを期待している」とあいさつした。

 合図とともに、赤と白の二色がデザインされたイカポストが現れると、会場は拍手に包まれた。高さ1㍍65㌢、幅74㌢、奥行き70㌢のポストは、通常のポストと同様に、郵便の投函を行うことができる。

 初投函をした金掘小1年の藤井咲良さん(6)は「イカが笑っているところがかわいい」と笑顔。

 清水会長は「10年くらい前から構想はあったが、やっと実現できた。市民や観光客に愛される存在になってくれれば」と話していた。(山田大輔)



◎四季の杜公園で収穫祭

 道立道南四季の杜公園は3日、小川の里ゾーンの里の舎で収穫祭を開いた。6月の田植え、9月の稲刈りに参加した家族ら80人が参加。みぞれ交じりのあいにくの天気の中、餅つきを行い、実りの秋を堪能した。

 同公園では毎年、小川の里内にある水田で稲作体験会を開き、もち米を育てている。生育も順調で9月末に収穫を行った。

 この日は30㌔㌘のもち米を使用。お汁粉や雑煮、ノリ餅などとして振る舞われた。子どもたちは臼ときねを使って餅つきを体験し、父母らから盛んに声援が送られていた。

 田植え体験に参加した函館亀田小学校1年の永洞武蔵君(7)は「きな粉餅もノリ餅もどっちもおいしい。来年も参加したい」と話していた。(今井正一)



◎野外劇 来年は規模縮小

 国の特別史跡・五稜郭跡に特設ステージを作り、市民ボランティアが運営、出演してきた「函館野外劇」は来年、郭内で初めて開いた今年よりも規模を縮小して開催する方針を固めた。主催するNPO法人市民創作「函館野外劇」の会(中村由紀夫理事長)が今年の公演終演後から複数回開いた理事会で決定。同会事務局は「来年は野外劇の可能性を探求し、北海道新幹線が開業し入場者増加が見込まれる16年には、今年以上の公演ができるようにしたい」と意欲を見せている。

 野外劇は1988年の初演以来、五稜郭公園の東南側に、堀などの地形を生かしたステージを作り、1000人以上が収容できるスタンドを設けて開いてきた。今年は3月に石垣が崩落した影響で開催が危ぶまれたが、場所を郭内に移して実施。しかし、開催決定が遅れたことによる周知不足が響き、入場者は過去2番目に低い5430人にとどまった。

 同会の累積赤字は昨年まで約1900万円。スタッフの高齢化など苦しい事情も抱える中、昨年は野外劇の提唱者で故フィリッポ・グロードさんの追悼公演として、今年は五稜郭築城150年記念として開催。郭内特設会場に毎回、客席のいすを並べ、ステージ規模を小さくし、光線などの演出も縮小。チケット収入は減少したが、舞台制作費用も抑えられたことで、本年度は昨年度に続き黒字決算が見込まれるという。

 大きな節目ではない15年について理事会では「来年は休演し、北海道新幹線開業の16年に行う」「今年で最後」などの意見も出ていたが、「やるなら五稜郭で」の意思ははっきりしていた。最終的には「一度止めたら再開は難しい」と来年の開催を決定。さらに「新幹線開業年に向けて力を蓄える」とし、ステージを作らないなど大幅な規模縮小を決めた。同会の里見泰彦事務局長(71)は「石垣の復旧には数年かかるだろうという見解も聞くが、どんな形でも五稜郭で続けることが、グロードさんへの遺志を引き継ぐことになる」と話す。

 公演内容は、12月に予定する臨時総会までに案を用意する。日中に行うことで修学旅行生に観劇しやすくすることや、殺陣(たて)のワークショップを取り入れ、各地で講演会を開くなど、「今年とボリュームは変えないものを用意し、16年開催に向けた予告としたい」(同会事務局)と意気込む。

 五稜郭の使用許可は毎年の申請が必要なため、来年以降について不透明な部分も少なくない。里見事務局長は「野外劇は子供たちにとって函館の歴史を学べる教育素材であり、生涯学習としても活用できる。貴重な観光資源でもあり、他都市に誇れるものを無くすわけにはいかない」と強調した。(山崎純一)


◎泳ぐシカ 世界配信へ

 【上ノ国】今夏、町内の日本海を泳いだエゾシカの動画資料が、専門機関を通じて世界配信される見通しになった。町民と役場職員が機転を利かせて撮影した“驚きの映像”が、世界各国のお茶の間に上ノ国の存在を印象づけそうだ。

 伝説のシカが目撃されたのは8月29日夕。町内安在と木ノ子地区を結ぶ海岸沖合の1頭を農家の刀祢敏江さんが見つけて、偶然その場に居合わせた町職員の竹内宏さんが役場に連絡し、同僚の谷口博文さんと太田垣博之さんも駆け付けて“取材”が始まった。

 谷口さんは動画で記録したいと、現場の住民に協力を求めてビデオ機材を手配。広報担当の太田垣さんもすぐさま車両で現場に入り、カメラを向けたという。

 海を泳ぐシカは、奥尻島から本道に渡ったという言い伝えや地元漁師らの目撃情報はあったものの、写真や動画で記録されたことはなかった。

 町所有の記録資料は本紙や大手通信社、テレビの全国ニュースで大々的に取り上げられ、町広報誌と公式ホームページでも一連の“騒動”を紹介。10月下旬には、視聴者らの投稿動画で制作するNHKの人気番組(全国放送)にも登場するなど、注目度は高まるばかり。関係者から世界配信への打診を受けて町は全面協力を決めた。太田垣さんは「あの泳ぐシカが全国区になっただけでも驚きなのに、まさか今度は世界レベルで話題になるとは」と驚きを隠せない。

 工藤昇町長は「ほのぼのとした明るい話題で、全世界に上ノ国のことを知ってもらえることは喜ばしい」としている。(田中陽介)