2014年11月5日 (水) 掲載

◎噴火湾産鮮魚 漁師が直送 八雲の舘岡さん、スーパーと連携 新鮮アカガレイ「知って」

 八雲町のカレイ刺し網漁師舘岡勇樹さん(32)が、アカガレイを中心とした噴火湾で捕れた鮮魚の産地直送に乗り出した。自ら魚を流通させることで、安価で鮮度が良いまま消費者に提供できる。地場食品スーパーと連携し、函館、北斗両市内の3店での販売も始まった。若手漁師の挑戦が浜に新風を吹き込もうとしている。

 閉塞(へいそく)感漂う浜を元気にしたいという思いから、舘岡さんは今年4月に、鮮魚の卸・販売業「噴火湾鮮魚卸龍神丸」を立ち上げた。流通の仕組みを変え、付加価値の高い6次産業化の実現を目指す。

 一般的な水産物流通では、漁師→漁協→仲買い→市場→消費者と多くの中間業者が関与するため、経費が高くなる。また、漁獲から食卓に届くまで数日掛かり、鮮度も落ちやすくなる。舘岡さんは魚を直接、消費者やスーパーなどに発送しており、中間マージンが発生せず安く提供できるほか、漁師の収入増につながるメリットもある。

 現在は、船上で活締めと神経抜きしたアカガレイを東北、関東、関西、九州へ航空便で送り、翌日に届けられるようになった。これまでの流通経路では長くて4〜5日掛かっており、大幅な時間短縮を実現した。

 10月からはスーパーの魚長(函館市西桔梗町、柳沢一弥社長)とタッグを組み、アカガレイを大野、久根別、八幡通りの3店で販売。通常だと最も早くて翌日売りなのに対し、直送だと出荷日の夕方には鮮魚コーナーに並ぶ。毎週火・金曜に魚長分を出荷している。

 アカガレイは噴火湾で通年(産卵期の2月は休漁)で漁獲されるが、鮮度が落ちやすく道外では煮付け料理が定番だった。舘岡さんは「鮮度の良いアカガレイは刺し身で食べることができ、コリコリした食感で甘みが強く、ヒラメよりもおいしいと言われる」と強調。今回の試みについて「浜を活気づける起爆剤になれば」と話す。

 龍神丸の営業・広報マネジャーを務める、いとこの鉼田志保さん(37)=函館在住=は「将来は加工も手掛け、アカガレイをもっと多くの人に広めたい。法人化も実現すれば、若者の雇用にもつながる」と事業拡大の夢を描いている。

 魚に関する問い合わせは龍神丸のフェイスブックで。(山崎大和)



◎天津航空チャーター便就航 春以降の定期便視野

 中国の天津航空は4日、函館と天津を結ぶチャーター便の運航を開始した。3月末まで火、木曜の週2往復する。2日には新千歳―天津間の運航も始めており、両空港を組み合わせた旅行商品で本道への送客に力を入れる。同社は「北海道は人気が高く、春以降の定期便化を視野に入れている」としている。

 同社は今年5月に静岡(週5往復)、6月に沖縄那覇(週2往復)にチャーター便の運航を開始。日本での路線開拓を強化しており、今回初めて本道に乗り入れた。函館便は180人乗りの機材を使用する。

 この日は午後0時35分に117人を乗せた天津発の初便が函館空港に到着。法被を着た函館市の職員や市海外観光客誘致促進協議会の関係者らが、中国語で「ようこそ函館」と書いた横断幕を掲げて観光客を出迎えた。到着した観光客は、函館観光を楽しんだ後、札幌へ向かう予定。

 本道を訪れる中国人観光客は2泊か3泊が中心。新千歳から道内に入った場合、帰国は函館を使用するといった具合に両空港を組み合わせて道内を旅行する。同社は「北海道の冬や食べ物、自然の人気は高く、利用が見込める。搭乗率を見ながら、定期便化を目指したい」といている。(松宮一郎)



◎新幹線開業推進機構 函館の魅力発信へ情報共有 PT26日発足

 北海道新幹線新函館開業対策推進機構(会長・西村憲人函館商工会議所副会頭)は、26日に「シティセールスプロジェクトチーム(PT)」を立ち上げる。残り1年半を切った北海道新幹線開業に向けて、観光、サービス業に関わりのある企業、自治体などで情報の共有を図り、〝オール函館〟として効果的な魅力の発信を目指す。同機構は、宿泊・観光施設や旅行代理店など関係先に参加を呼び掛けている。

 同機構は観光関係企業などと意見交換する中で、函館をPRするための情報が不足していたり、一元化出来ていなかったりしたことから、問題の解決を図る方法を模索してきた。

 地域の売り込みや自治体の知名度向上を目指した「シティプロモーション」の活動は、東京都足立区で専門の部署を設置するなど、全国的にも広がりを見せている。同機構は「新幹線開業は函館ブランドを拡大する絶好の機会。地域情報について理解を深め、活動を経済効果の獲得につなげたい」としている。

 PTの参加メンバーは、観光、サービス業の関係者にとどまらず、企業活動を通して函館の魅力を広めたいと考えている団体などにも声を掛け、幅広く募る考え。同機構は「人に伝えるためには、自分たちのまちの歴史を学ぶことも必要。取り組みを通して函館への愛着を深めるきっかけになれば」と期待を寄せている。

 PTの活動は来年の夏まで。今年度は月1、2回集まり、新幹線に関する基本情報や東北新幹線の沿線自治体のプロモーション活動などについて学ぶガイダンスをシリーズで行う。

 初回は26日午後2時から、函館国際ホテル(大手町)で開催。オリエンテーションのほか、弘前市のシティプロモーションの取り組みを紹介する。申し込み、問い合わせは同機構(函館商工会議所内、TEL0138・23・1181)へ。(山田大輔)


◎日ハム監督・選手のおすすめ文学作品 江差町図書館に展示

 【江差】プロ野球北海道日本ハムファイターズの監督・選手たちがおすすめする文学作品を並べる企画展が、町図書館(茂尻町71)で行われている。23日まで。

 「グラブを本に持ちかえて〜読書男子のオススメはこれだ!!〜」と銘打ち、35タイトルを展示。球団側と道の連携事業の一環で、図書館職員が応援グッズの飾りつけなどで雰囲気を盛り上げている。

 選手の写真と作品への思いを伝える説明書きもあり、司馬遼太郎著の「竜馬がゆく」を読んだという斎藤祐樹投手は「自分が生きる道を曲げずに突き進んでいく姿勢に、感動しました」と記述。宮部みゆき著の「小暮写眞館」をすすめる木佐貫洋投手は「ファンに紹介され、読書中です。生きていると良いこともいやなこともあるけれど、できるだけ前向きにいたいな…と。自分に照らし合わせています」としている。

 同図書館は「お気に入りの選手が読む作品に触れてもらいたい」と来館を呼び掛けている。午前9時〜午後5時、月曜休館、祝日の場合は翌日。問い合わせは図書館(TEL0139・52・5454)へ。

 厚沢部町図書館(新町234)でも6日まで同様の企画展を開いている。(田中陽介)