2014年12月10日 (水) 掲載

◎函館で初 そば打ち四段 松本さん合格

 全国麺類文化地域間交流推進協議会(全麺協、東京)が認定する素人そば打ち段位で、「手打ちそばぐる〜ぷ函館白花(びゃくか)」(齊藤誠会長)の事務局長、松本文男さん(49)が11月中旬に石狩市で行われた四段位の技能審査に函館市内から初めて合格した。2度目の挑戦で合格した松本さんは「手打ちそばの魅力やおいしさを普及させていきたい」と思いを新たにしている。

 全麺協の段位は初段から五段まであり、四段は実技のほか、論文提出やそばの知識を問う書類審査もある。

 今回は前回不合格となった書類審査をパスして初めて実技審査に進んだ。試験内容はつながりにくい粗挽(あらび)き粉を使い、40分の制限時間でそばを打つ。「水回し」「切り」「片づけ」など7項目で審査を受けた。

 松本さんは難易度の高い水回しの技術を成功させたが、伸ばしたそばを畳む際にに「普段、考えられないミス」と振り返るアクシデントに見舞われた。それでも必死に挽回し、最後の手順までを終えた。

 審査発表まで3回目のチャレンジを覚悟していただけに「感無量でした。最高の出来ではなかったが、アクシデントも含めて今後の糧になった」としみじみ語る。

 松本さんは2009年に函館白花に入会し、そば打ちを始め、翌年の10年の初段位を皮切りに以後、二段位、三段位を取得。

 昨年、書類審査の不合格で四段位合格への思いは一層強まり、この1年、そば打ちに没頭。そばの文献を読みあさり、仕事が非番の日にはそば打ちのトレーニングに費やしたり、市外にいる四段位者の指導を仰いだりした。

 次の目標にそば打ち名人戦を掲げ、「打ってる姿からのおいしさが伝わる打ち方をしたい」と精進を誓った。 (鈴木 潤)



◎はこだて検定初級合格率 前年比3.5倍に

 函館商工会議所は9日、11月9日に実施した「第9回函館歴史文化観光検定(通称、はこだて検定)」の合格者数を発表した。初級は、受験者数265人(昨年181人)、合格者170人(同33人)で、合格率は64・1%(同18・2%)となり、昨年より受験者数は約1・5倍、合格率は約3・5倍と大幅に上回った。上級も受験者数73人(同42人)、合格者数13人(同1人)、合格率17・8%(同2・4%)で向上した。

 初級の受験者数は、第3〜6回に384〜480人あったが、市内の高校が1学年単位(約200〜300人)で受験していたため、この数を除けば、今年は第2回以来200人を超えたことになる。

 受験者数、合格率の増加について、同会議所の竹内正幸情報課長は「申し込み開始を例年より1カ月早めたことでPR期間を長くできた。また、地元の有志が相談会を開き、受験の対策法を広め、検定への関心が高まったことが大きかった」と話す。このほか、観光、金融関係の企業が興味を示し、従業員が多く受験したという。

 相談会を開いたのは、函館出身で上級合格者8人が今年4月に設立した「函館検定合格者の会」。8〜10月に市地域交流まちづくりセンターで受験相談会を19回実施、初級で27人、上級で6人が訪れた。初級の受験対策として主に、過去の問題を分析するようにアドバイス。同会議所が受験者の要望を受けて発行した第1〜8回の問題集は、予想を大きく上回り初・上級合わせて約400冊を販売。「問題集のおかげで勉強の仕方を理解でき、検定の得点が伸びたのでは」と竹内課長。

 合格者が活躍できる場を広めるため、市内の主要観光施設を上級者を含む2人以上で利用した場合、上級者の利用料が無料になる制度を開始。合わせて相談会に参加して受験対策ができたことで、受験者数、合格率とも盛り返したとみられる。 初・上級で受験者が最も多いのは50代、合格率が高いのは40代と60代だった。竹内課長は「10代の若い世代にとって歴史問題は難しいかもしれないが、多くの受験者、合格者が出てくれれば」と願っている。

 来年(第10回)は11月8日に実施。受験者募集は8月3日〜9月30日に行う。              ◇

 函館検定合格者の会は14日午後1時半から、市地域交流まちづくりセンター3階で「はこだて検定受験者の集い」を開く。今年、初・上級を受験した人が対象で、苦労話や受験で得た知識の活用方法などを話し合う。同会は「はこだて検定はまちの魅力を学び、再認識できる最良の方法。皆さんからいただいた意見を来年の受験者に伝え、参考にしてほしいと願っている」と参加を呼び掛けている。参加無料で、今回の受験問題用紙を持参する。問い合わせは同会の北條さん(TEL0138・32・8015)へ。  (山崎純一)



◎10年後の江差農業で照井町長と住民議論

 【江差】8月に全国最年少の首長として就任した照井誉之介町長(30)と住民による初の「まちづくり懇話会」が9日夜、町内の水堀コミュニティーセンターで行われた。農業者を中心に約40人が参加し、意見を交わした。

 照井町長は住民との積極的な意見交換を主要施策に掲げており、この日は農業の現状と課題を探り「10年後のまちのすがた」をテーマにした。

 照井町長は「酒米などブランドを構築して所得増につなげたい。後継者の育成が大事で課題を教えてほしい」とあいさつした。

 参加者は、近隣町の農業施策の充実に触れ「江差も力を入れてほしい」「6次産業の考え以前に、今の経営に手厚い支援を」「近年第一次産業の予算付けが少ない」という声が出た。

 照井町長は「1回目の懇話会のテーマに農業を選んだのは、農業に力を入れなければという思いがある」とし、「必要なものにお金を使う。止めなければならないものも見極めていく。その中で一次産業の位置付けは重要だ」と強調した。 (田中陽介)


◎洞爺丸事故 生存者が語る 

 【北斗】北斗大野中学校(齋藤康夫校長、生徒272人)は9日、1954年に起きた青函連絡船「洞爺丸」の沈没事故の生存者、秋保栄さん(81)を同校に招き、命の大切さを学ぶ授業を開いた。

 秋保さんは当時21歳で、料理人として洞爺丸に乗船し、事故に遭遇。「船が前後左右に大きく揺れ、皿が床に落ちてバリンバリンと音を立てていた。船内はパニック状態だった」と凄惨な様子を伝えた。

 室内に及んだ海水に頭までつかり、「ここで死ぬんだ」と家族の名前を叫んだという。船が揺れて海水が動き、頭が水面から出た瞬間を見計らって窓からデッキへ脱出。その後どうにか岸にたどり着き、付近住民2人に介抱されて難を逃れた。 秋保さんは体験を踏まえ、「自然には絶対に勝てない。例えば山に行くとき、『きょうは危ないから行かない』と自分で正しい判断をすることが命を守ることにつながる」と強調した。

 最後に生徒会長の中村奈珠さんが「命が危機にあるときこそ諦めてはいけないことや、強い心を持って生きていくことの大切さを学びました」とお礼を述べた。 (稲船優香)