2014年12月2日 (火) 掲載

◎新幹線 試験走行開始 新函館北斗駅でセレモニー

 【北斗】2016年3月の北海道新幹線開業に向けて、新幹線車両「H5系」の試験走行が1日、始まった。初日は函館総合車両基地(七飯町飯田町)から新函館北斗駅までの約2㌔を走行した。ホーム入線に合わせて歓迎セレモニーも行われ、来場者約330人が車両を出迎えた。

 試験走行は、新幹線施設を建設した鉄道・運輸機構がJR北海道の協力を得て行い、本年度は来年3月1日までの期間、新函館北斗駅—奥津軽いまべつ駅(青森県今別町)間で、冬場の走行で線路、架線などの設備が正常に機能するかを確かめる。

 この日は、運転士のほか約70人の職員が乗車し、車両を30㌔以下の低速で走らせ、構造物や線路上などに不具合がないかを確認する第一段階の「入線・架線試験」を実施した。車両基地を午後1時20分に出発し、午後2時10分頃に、大勢の来場者が待つホームに入線した。

 セレモ二ーでは、高谷寿峰北斗市長と渡島総合振興局の宮内孝局長がそれぞれ歓迎のあいさつを述べた後、車両に乗ってセレモニー会場に来た同機構北海道新幹線建設局の金山洋一局長が「乗り心地の良い快適な新幹線、安全安心で皆さんのお役に立つ新幹線になるよう全力で取り組む」と述べた。  用意したくす玉が割られると拍手が沸き起こり、来場者は1年4カ月後の開業に思いをはせた。

 同機構によると、この日の検査は電車線や無線などの状態、ホームと車体との離隔が適正かどうかを確認。走行に問題はなく良好だったという。

 2日も新函館北斗駅—木古内駅間で同様の試験走行を行い、7日には青函トンネルを通過する予定。年内には最高速度260㌔まで上げて走行する計画。



◎スケトウ初水揚 乙部漁港

 【乙部】日本海・桧山沖のスケトウダラ延縄(はえなわ)漁が1日解禁となり、乙部漁港などに初水揚げされた。昨年初日を大幅に上回る漁獲で浜は活気づいた。

 ひやま漁協本所によると初日は26隻の出漁で43㌧(昨年初日27㌧)の水揚げ。浜値の平均は1㌔200円ほど(同140円)だった。乙部漁港では11隻が夜明け前に出漁し、午前11時半ごろに帰港。岸壁では家族らが手際よく出荷作業をこなした。

 桧山のスケトウダラは、一本釣りによる鮮度の良さに加え、魚体を海洋深層水で洗浄と氷漬けなど関係者の努力がブランドを支えている。また、チゲ鍋の高級食材として韓国などでも人気だ。東電福島第1原発事故に伴う風評被害対策で今季も独自の検査をするという。

 漁は来年1月末までの見込み。 (田中陽介)



◎マレーシア航空就航へ 函館で初18日から

 函道は1日、マレーシア航空がマレーシアの首都クアラルンプールと函館を結ぶチャーター便18日から計3往復運航すると発表した。同社の函館への乗り入れは初めて。18、26、31日の計3往復を予定し、旭川空港でも10日以降、計3往復運航する。函館市は東南アジアを外国人観光客誘致のターゲットに見据えており、同地域からの来函者増加に向けた弾みとなりそうだ。

 道総合政策部航空局によると、昨年12月など、過去に新千歳空港へのチャーター便を運航した実績がある。今回、新千歳の利用を検討していたが、国際線の発着枠などの関係で、函館と旭川への乗り入れが決まった。

 道内を訪れるマレーシアの観光客は2012年度に2万2000人、13年度は3万6400人と増加。多くはタイ・バンコクや香港、韓国などアジアの各空港を経由しての来道が多い。今回の使用機材は279人乗りで、函館、旭川を合わせて約1600人の利用を予定し、両空港を組み合わせた道内周遊も見込まれる。同社東日本地区旅客営業部は「マレーシアでは冬の北海道人気は過熱している。新千歳の国際便が飽和気味で、今後も道内の地方空港を利用する可能性はある」とする。

 市は初便が到着する18日午前9時に合わせて、国際線到着口で歓迎行事を予定する。市港湾空港振興課は「函館に直接、降りたってもらえることで、観光の魅力を印象づけることができる。今回のチャーター便が今後につながることを期待している」としている。  (今井正一)


◎函館市合併10周年フォーラム 旧4町村の未来語り合う

 函館市と旧戸井町、旧恵山町、旧椴法華村、旧南茅部町が合併し、1日で10周年を迎えた。恵山コミュニティセンターで開かれた市主催の記念フォーラム「函館市東部4地域のあゆみとこれから」(市主催)には約200人が参加、人口減少や過疎化が進む中でのまちづくりや将来像などについて意見をかわした。

 工藤寿樹市長は冒頭あいさつで「平成の大合併は人口減や地域衰退が進む中、少しでも衰退を食い止める意味での消極的選択だった」と振り返り、「顔見知りの職員がいなくなる寂しさは理解している。不安を和らげ、取り除く思いを持ち続けて行政をやっていく」と述べた。

 フォーラムでは今年9月に北海学園大地域経済学科の西村宣彦准教授のゼミ生が行った、4地域住民への聞き取りとアンケート調査の内容を報告。10年前と比べ、合併に肯定的な住民がやや減る一方で懐疑的な人が増え、両者がほぼ拮抗(きっこう)した結果を示し、「合併後の住民サービスは行政で把握する客観的事実と、住民が感じる主観的評価にギャップがあり、不満という形で表れている可能性がある」などとまとめた。

 その後のパネルディスカッションには、4地域の支所長と住民代表の計8人が参加した。

 戸井漁協の森祐組合長は「漁業を継続できる体制作りができなければ衰退する。他国から研修生を受け入れるなどし、労働力を増やすことが必要」と指摘。南茅部町内会連絡協議会の熊谷儀一会長は「地域の声が届かなくなっており、各団体が一堂に会し、まとめて要望していくための組織作りに向けた動きがある」と報告した。

 一方、山田隆嗣椴法華支所長は「さまざまな課題に町会中心に対応するのが一つの方法論。行政も支援したい」と述べた。また坂野昌治恵山支所長は来場者からの「情報発信が不足している」との指摘に対し、「1泊2日の観光客が多く、どう足を向けてもらうかが重要。4地域で一つの観光協会を作ってほしい」と提案した。  (千葉卓陽)