2014年12月26日 (金) 掲載

さよならSLクリファン号 本年度で休止 運行最終日

 JR北海道の「SLはこだてクリスマスファンタジー号」(函館—大沼公園間)が25日、運行を終了した。同社は安全対策に集中するため、春、夏、冬に道南を走るSL観光列車を本年度限りで休止する方針を発表しており、函館駅や沿線では、最後の雄姿を目に焼き付けようとする人が訪れた。

 この日は2往復し、計約690人が乗車した。時折吹雪となる中、小沼湖畔などには大勢の写真愛好家が集まり、盛んにシャッターを切っていた。午後4時40分ごろ、最後の列車が函館駅に到着すると、乗客らが蒸気機関車「C11型」の前で記念撮影を楽しんだ。神奈川県川崎市から訪れた主婦・田澤妙子さん(41)と長男・純哉君(11)は「関東でもSL列車に乗っているが、雪景色の中を走るのは初めて。また乗りたいけど、休止は残念」と話した。

 約5分後、機関車がホームを離れると乗客は「ありがとう」「さよなら」と声を掛け、手を振って見送っていた。機関士の菊地修一さんは「無事、運行を終え、感無量の思いです」と語った。

 沿線の各町は北海道新幹線開業時に、二次交通として活躍を期待していた。七飯町の中宮安一町長は「もっとSL列車に乗りたいと願う人は多くいると思う。SL撮影に訪れる写真愛好家による経済効果も大きいので、非常に残念に思う。JR北海道からは『休止』と聞いているので、1日も早い運行再開を望みたい」と話す。同町の田中正彦商工観光課長は「道新幹線とすれ違う姿が見られないのかと思うと悲しい」、森町の菊地一夫商工観光課長は「もっと続けてほしいと思っていた。とても名残惜しい」と話した。(山崎純一、野口賢清)



大間原発差し止め訴訟 地裁、「原告適格」判断を留保

 【東京】函館市が国と電源開発(東京)を相手取り、大間原発(青森県大間町)の建設差し止めや原子炉設置許可の無効確認を求めた裁判の第3回口頭弁論が25日、東京地裁(増田稔裁判長)で開かれた。最初の争点となっている市の原告適格(=訴える資格)について、増田裁判長は「今のところ判断を留保した上で、実体審理に入るつもりでいる」との考えを示した。

 これまでの弁論では、市が訴えの根拠とする「地方自治体の存立を維持する権利」などに対し、国側が「地方自治は函館市の主観的な権利として保障されているものではない」などとして、原告適格はないと主張。電源開発は「現段階では権利内容が不明確かつ未成熟」とし、同じく原告適格を欠くと主張している。

 この日は市と国、電源開発がそれぞれの主張に対して反論する準備書面や意見書を提出した中、増田裁判長は、現段階では本案に入る前の原告適格に関する判断を留保し、大間原発が「安全か危険かどうか」などの実体審理に入る意向を示唆するとともに、市側に対して裁判の争点項目を箇条書きで提出するよう求めた。裁判長は国に対しても、市の請求内容への認否にどの程度時間が掛かるのか、検討するよう求めた。

 市側は原告適格を立証するため、今後の弁論で法学者らの意見書を出す予定としながらも、争点項目の提出に応じる考え。電源開発が申請した新規制基準に基づく適合審査で、基準地震動が引き上げられていることから、原告団は「基準地震動に関する従来の主張をリニューアルしたものを出したい」としている。

 訴状で市は、大間原発で過酷事故が起これば壊滅状態に陥るとし、地方自治体の存立維持権に基づき、運転差し止めを求める資格があると主張。国に対して原子炉設置許可の無効を求めるとともに、市が同意するまで建設停止を命ずるよう求めている。

 次回の口頭弁論は3月19日に行われる。(千葉卓陽)



汚れ落とし新年準備 函館八幡宮で大すす払い

 函館市谷地頭町の函館八幡宮(中村憲由樹宮司代務者)で25日、社殿や境内にたまった1年分の汚れを落とす神事「大すす払い」が行われた。神職が長さ約5㍍の竹に、ササの葉を縛り付けた忌竹(いみだけ)を使い、はりや天井にたまっていた1年分のほこりを払い落とすなどした。

 忌竹に使う竹は、鏡内の山林から切り取って用意。この日は午前9時半に神職や巫女(みこ)が掃除を始める参拝をした後、マスクを付け、約200畳の広さの拝殿の作業に入った。

 忌竹が天井や入り口などを払うと「サー、サー」という音が響き、ほこりが落とされ、床や畳を掃き、きれいにした。今後は、しめ飾りの取り付けなど、新年を迎える準備に入る。(山崎純一)


クリスマスファンタジー 最後まで熱気

 金森赤レンガ倉庫群前で11月29日から行われていた「2014はこだてクリスマスファンタジー」(実行委)は25日に最終日を迎えた。聖夜にイベントを楽しもうと、会場には多くの市民や観光客が訪れ、にぎわいを見せた。

 会場にはカナダ・ハリファクス市から届いた巨大なクリスマスツリー(高さ約20㍍)を設置。今回は「北海道新幹線」を意識し、飾り付けに紫色などを多く取り入れた。多彩なイベントや連日開かれた点灯式では、多くの来場者の歓声が上がった。

 最終日の25日は「クリスマスナイトセレモニー」が行われた。イベントを支えてきたボランティアスタッフらによる最後の点灯式で、メーンツリーのイルミネーションに明かりがともった。

 ライブステージには、函館短期大学エアロビクス部やゴスペルグループ「che☆llow」など、市内近郊で活動する団体が多数出演して盛り上げた。

 毎年家族4人で訪れるという桔梗町の大門丈一郎君(9)は「楽しみにしていた。ことしもとてもきれい」と笑顔を見せた。(斎藤彩伽)