2014年12月8日 (月) 掲載

◎青函コラボの「日本酒」人気

 

 函館市大手町の高級ホテルリゾートHAKODATE男爵倶楽部(斉藤将嗣支配人)が青森県弘前市の白神酒造(西澤誠社長)と共同開発した日本酒が、人気を集めている。2015年度末に開業する北海道新幹線を見据え、地域資源の掘り起こしに力を入れる同ホテルが、函館商工会議所を通して同酒造にラブコールを送り、商品化を実現。斉藤支配人は「今後も青函圏の企業と連携し、独自商品を開発していきたい」と意欲を見せている。

 同ホテルは、5月にプライベートブランド「男爵セレクション」の開発に着手。日本酒は第1号のサイダーに続く2作目で、9月から販売を開始。これまでにコーヒーを含む3品の提供を行っている。市外の企業と提携するのは白神酒造のみ。

 商品化する品目は、同ホテルの社員から幅広くアイデアを募集。日本酒の案を出し、採用された社員は、酒蔵を求めて函館商工会議所に相談。道南の企業との連携を探っていた同酒造を紹介されると、自ら現地に赴いて交渉を行い、タイアップ商品の販売にこぎつけた。斉藤支配人は「商品に対して愛着が湧き、お客様へさまざまな情報が提供できるので、おもてなしの向上にもつながる」と話す。

 日本酒の容量は180㍉㍑で、山廃純米酒(432円)・純米吟醸酒(540円)・純米大吟醸(648円)の3種類。酒米には、青森県産の「華想い」「華吹雪」などを使用している。白神酒造の西澤社長は「新幹線開業で、函館市場はにぎやかになる。道南から酒蔵の見学ツアーで多くの客が訪れるなど需要が見込めるので、これを機に北海道へ進出したい」と意気込みを話す。

 同ホテルの宿泊客からの人気も高く、3種類の酒の味比べをし、土産物としてまとめ買いする客が多いという。斉藤支配人は「ギフト商品としても喜ばれると思うので、観光客だけでなく市民にもぜひ手に取ってもらいたい」とPRしている。問い合わせは同ホテル(TEL0138・21・1111)へ。



◎130年の歴史に幕 湯ノ岱小で閉校式

 【上ノ国】本年度末で閉校する湯ノ岱小学校(小助川浩校長、児童4人)で7日、閉校記念式典が行われた。同窓生ら約200人が出席し、130年間地域を支えた母校に感謝を伝えた。

 同小は1884(明治17)年に勝山小湯ノ岱分校として開校。55年ごろには鉄路工事や林業のにぎわいに合わせて児童数も増え、59年に272人とピークを迎えた。来年3月の卒業式までで計1580人の卒業生を輩出し、新年度に河北小に統合される。

 式典では工藤昇町長が「湯ノ岱小は常に地域住民の心のよりどころだった。伝統とその精神は変わることなく子どもたちに受け継がれる」と式辞。加賀俊昭教育委員長は「古里教育の実践は地域の歴史として未来永劫語り継がれていく」と述べた。

 小助川校長は「湯ノ岱小は教師の借家を教室に開校した。一度灯された教育の火は苦難を乗り越えながら絶えることなく受け継がれてきた。尽力いただいた皆さんに感謝したい。子どもたちは新たな環境で生活が始まるが、湯ノ岱小と地域への誇りを心に刻み前進してほしい」とした。

 6年の川嶋夏生君(12)と工藤愛結さん(12)、5年の宮城真衣さん(10)、3年の宮城拓海君(8)がステージでお別れの言葉を述べた。思い出を語る会では宮城輝基・実行委会長(40)が記念事業への協力に対する礼を述べ、料理を味わいながら学びやに思いを寄せた。

 同町内では早川小(児童5人)も本年度末に閉校し、滝沢小に統合される。(田中陽介)



◎全日本バド 佐々木選手が最年長V

 【東京】バドミントンの2014年度全日本総合選手権大会(日本バドミントン協会主催)最終日は7日、代々木第二体育館(東京)で各種目の決勝を行い、男子シングルスで北斗市出身の佐々木翔選手(トナミ運輸)が桃田賢斗選手(NTT東日本)を2—0で破り、7年ぶり2度目の日本一に輝いた。32歳での優勝は同大会最年長記録。

 佐々木選手は7度目の決勝進出で、今大会すべてストレート勝ちを収めた。準決勝では、竹村純(JR北海道)など3人の社会人選手を倒してきた高校生、常山幹太選手(東大阪大柏原高3年)に貫録勝ちした。

 決勝の桃田選手は世界ランキング15位(佐々木選手は18位)。今年は世界大会に出場を重ね、飛躍的に成長してきたが、佐々木選手は力とラリーで寄せ付けず、第1セット21—11、第2セット21—19で勝利した。

 トナミ運輸の荒木純監督は「よくラリーして、よく我慢していた。まだまだ強いですよ」と評価。函館地区バドミントン協会の市田悦雄副会長は「32歳ながらの優勝は大変喜ばしい。リオ五輪を目指す意向を聞いているが、気持ちが高まったと思うので頑張ってほしい」と祝福した。(山崎純一)


◎タイの航空2社 視察へ…市経済再生会議

 地元以外から有識者を招き、函館市の経済振興策を検討する市経済再生会議が7日、函館国際ホテルで開かれた。来年4月の工藤寿樹市長の1期目任期満了に伴う最後の会合で、主に外国人観光客の誘致策について意見を交わした中、同市長は来年1、2月にタイの航空会社2社が函館視察に訪れると明らかにした。

 同市長は冒頭あいさつで、11月に行ったタイでの観光客誘致活動に関し、新千歳空港に週7便運航しているため「対応が昨年からがらりと変わり、北海道人気に火が付いた。非常に有望な市場」と強調。来年1月と2月にエアアジアとタイ国際航空の函館視察が決まったとし、函館特集を放送するため2月に訪れるタイ国営放送と合わせて「こちらで経費を持つことを考えている」と述べた。

 意見交換で、中京大学経済研究所研究員の内田俊宏氏は北海道新幹線開業に関し、「スマートフォンで外国人観光客が情報を入手できるソフト面を充実させ、開業時の利便性を高めていく必要がある」と指摘。また外国人誘客に向け、青森や札幌を絡めた商品づくりの重要性を挙げ「滞在拠点が函館になるようなパッケージづくりを」と求めた。

 また、デザイン会社「コボ」(本社=名古屋市)の山村真一社長は、JR北海道が開発を進めるDMV(デュアル・モード・ビークル)を活用した新交通システムを提言。「市電のない住宅地を走ることで、市民の足として非常にいいのでは」と述べた。(千葉卓陽)