2014年1月1日(水)掲載

◎住宅街で馬を飼う、鈴木勝美さん

 函館の住宅街の真ん中に馬がいる。市内昭和4の鈴木勝美さん(78)が、自宅近くに小屋を構えて馬の世話に励んでいる。運送業の主役はトラックに変わったが、好きな馬を残して現在12頭を飼う。「体が続く限りは続けたい」。馬を見つめるまなざしは誰よりも優しい。2014年は午年(うまどし)—。

 鈴木さんは16歳ごろから馬力運送を始め、輸送手段がトラックになっても馬を手放さなかった。登喜運送(現在は廃業)を営む傍ら、まちなかで馬の世話を続けてきた。

 現在飼うのはばん馬、北海道和種馬(ドサンコ)、ポニーの3種類。敷地内に4月オープン予定の高齢者施設の新築工事が進んでおり、馬を運動させる場所が狭まったため頭数を減らしたが、市街地で馬を多頭飼育する例は珍しい。ふん尿を適正処理しているため、近所からの苦情もないという。

 午前5時半に起床して餌やりや運動、小屋の掃除と息つく暇もない。ほとんど一人で手入れをしており、「毎日成長する姿を見るのが楽しい。わが子同然」。かつて共進会でチャンピオンを獲得した経験も。

 近年は馬を肉用に売っても安値で取引されることが多く、飼料代の値上がりなど飼育環境は厳しさを増す。それでも、飼い続けるのは生きがいだからだ。「馬は賢くてかわいい。馬がいなくなったら、一気に気力を失ってしまうかも」と笑う。馬と歩む人生。80歳を前にしても馬への強い愛情が衰えることはない。



◎学習塾で正月特訓

 努力は裏切りません—。道南でも年明けに入試を控えた小・中学生が正月休み返上で、学習塾での受験対策講座に臨んでいる。志望校合格に向け、教室内には受験生の熱気がみなぎっている。

 学習塾大手の北大学力増進会は12月31日から3日間、函館・近郊の5会場で「正月特訓講座」を開催。小学6年生、中学3年生計100人がオリジナルテキストを使って実力を磨く。冬期講習も合わせ、受験生を万全のサポート。

 函館美原本部(美原1)では、午前9時半から公立高受験対策がスタート。ハイレベルコースの教室で、足立憲裕函館本部長が「正答率が低い問題を中心に3日間元気に頑張っていこう」と励ました。

 受験生は講師の説明を集中して聞き、地理の資料問題が出たときの対処の仕方を学んだ。

 函館では、7日に道教育大附属函館中、8日に函館ラ・サール中の入試があり、道内の公立高一般入試は3月5日。


◎亀田八幡宮にぎわう

 新年を迎える準備をしようと、函館市八幡町3の亀田八幡宮(藤山豊昭宮司)では、12月31日の午前中から、お守りやお札などの授与品を求める市民でにぎわった。

 社務所には、通常のスペースでは対応できないため大安の同27日から特設コーナーを設置。破魔矢や絵馬、えとの置物などがずらりと並び、訪れた人が目的に応じて品定めした。

 函館市赤川の無職、溝口健一さん(69)は、お札や破魔矢を手にし「家内安全の願いを込めた。良い1年になってほしい」と話していた。

 函館西署によると、同八幡宮の三が日の参拝客は約2万5000人と予想している。


◎16年度に「青函博覧会」計画

 函館市と青森県青森市、弘前市、八戸市の4都市でつくる「青函圏観光都市会議」が、北海道新幹線開業後の2016年度に合わせ、4市全体で「青函圏博覧会」(仮称)の実施を計画している。4市の代表的な観光地やイベントを、それぞれパビリオン風に見立てて通年で紹介し、観光客らが各地域を周遊できる取り組みを目指していく。

 4市は昨年3月、15年度の北海道新幹線開業を見据え、都道府県の枠組みを超えて連携し、広域観光を推進しようと同会議を設立。工藤寿樹函館市長、鹿内博青森市長、葛西憲之弘前市長、小林眞八戸市長が共同代表に就任している。昨年は観光ポスター作成をはじめ、青森県の3市が「はこだてグルメサーカス」に参加したり、9月からは周遊キャンペーンなども展開している。

 「博覧会」は何らかの施設を建設するのではなく、今ある観光資源や施設、イベントに磨きをかけることで、国内外の観光客へのアピールを強める狙いがある。

 東北地方では2012年3月から1年間、観光庁が主導し、東日本大震災で落ち込んだ観光の盛り上げを目的に「東北観光博」を開催。東北6県を28地域に分けてパビリオンに見立て、祭りや郷土料理などを売り込んだ。青函圏も東北での取り組みを参考にしながら、事業を進めていくものとみられる。

 4市は違った個性を持ちながら、すべての都市が縄文遺跡を有しているほか、サクラや温泉、豊富な海の幸など共通項も数多い。一方で、北海道新幹線の1年前には北陸新幹線の開業も控えており、地域間競争に打ち勝てる大型観光圏の構築が課題となっている。

 同会議の事務局となっている市観光コンベンション部は「4つの都市がそれぞれに魅力を高めていく取り組みを進め、観光客にとっての満足度を高くしていく必要がある」と指摘。新幹線開業によって首都圏や北関東、南東北との距離感が縮まることを契機としてホスピタリティー(もてなしの心)や観光資源の磨き上げを図る構えで、同部は「滞在型観光を進める上での手法の一つとして、広域連携を進めていきたい」と意欲を示している。