2014年1月17日 (金) 掲載

◎介助訓練犬が客室初搭乗 認定試験向けJALが配慮

 体が不自由な人の暮らしを助ける介助犬見習いのホビット(雄、2歳)が16日、パートナーの田畑つかささん(23)とともに、名古屋で介助犬の認定試験を受けるため日本航空(JAL)の便に搭乗した。認定試験を受ける前の訓練犬が客室に入るのは初めてで、認定試験に合格すれば函館初の介助犬になるという。

 ホビットは、昨年2月末から介助犬としての訓練を開始。9月末から市内在住の田畑さんと在宅の合同訓練に励んでいる。ドアの開閉や物の受け渡しなど、身の回りの小さなことを助けている。

 16日は、今月と来月の2回、名古屋市総合リハビリテーションセンターでの介助犬の認定試験を受けるため、飛行機で移動。身体障害者補助犬法では、交通機関などで介助犬、盲導犬、聴導犬の同伴を拒んではならないと定めているが、認定試験前の「訓練犬」は対象になっていない。そのため、合同訓練中から交通機関での練習はできないのが現状だが、田畑さんらの相談に応じたJALが配慮。ホビットが十分な訓練を受けていたことから搭乗を認め、訓練士2人も同行した。

 「飛行機の貨物室では、犬がストレスをためたり、コンディションが悪くなる可能性などがある。搭乗を認めてもらえてありがたい」と日本介助犬協会の水上言さん。田畑さんは「一緒の搭乗は緊張する。ホビットが近くの人に寄っていかないよう気をつけている」とし、「介助犬や盲導犬の認知度が高まっていってほしい」と話していた。 (平尾美陽子)



◎甘くて肉厚 ニラ収穫

 【知内】知内町で「一番ニラ」の収穫が始まった。独特の甘い香りが漂うビニールハウスの中では、青々と育ったニラを生産者が刈り取っている。

 「北の華」の名で出荷される町特産のニラは、徹底した品質管理で国内有数のブランドに成長。昨年は天候の影響などで需要期に対応できなかったことなどが影響し4年連続の販売額10億円突破とはならなかったが、出荷量は1695dと増加した。年明けすぐに収穫される「一番ニラ」は甘みと肉厚な食感が楽しめるという。

 知内町ニラ生産組合(大嶋貢組合長、71軒)では5日から一番ニラの収穫を開始した。町重内の北島道男さん(42)のハウスでは50aほどに成長したニラを刈り取る作業が本格化している。

 北島さんは「出来は上々。定番のニラ玉やみそ汁、ニラシャブなどで食してほしい」と話している。 (小杉貴洋)



◎江差線三セク会社 開業10年で 自治体負担5〜10億円増

 北海道新幹線開業に伴い、JR北海道から江差線五稜郭—木古内間(37・8`)の経営を引き継ぐ第三セクター鉄道会社の経営計画原案が16日、道と沿線自治体でつくる開業準備協議会で了承された。開業から10年間の累計収支予測が示され、道と沿線自治体の実質負担は当初試算よりも5〜10億円膨らむ見通しだ。

 協議会には、道の石橋秀規交通企画監、沿線自治体から工藤寿樹函館市長、滝口直人北斗市副市長、大森伊佐緒木古内町長が出席した。

 道によると、建物や線路設備など鉄道資産をJR側から総額16億円程度で譲り受けることで調整を進めており、それらを踏まえて10年間の累計収支を予測した。

 素案で4億程度と見込んでいた開業準備費用は5億8000万円に膨らみ、4億8000万円を道と沿線自治体で負担し、残り1億を民間の出資を募り充てる考え。

 開業から10年間で32〜37億円の収支不足が出ると試算。道と沿線自治体の実質負担額は開業準備費も含めて20〜25億となり、当初試算よりも5〜10億円増となる見通し。

 原案ではこのほか、人員配置体制や運賃などを盛り込み、開業時の人員体制は指令業務をJRに委託し、当初の人数よりも15人多い70人に設定。経営企画部門が10人程度、乗務員、車両保守に40人程度、施設保守要員などに20人程度とし、委託終了後に85人程度にする。運賃は現行のJR運賃よりも3割ほどの値上げを検討する。  協議会では、JR北海道の相次ぐ事故やレール幅改ざん問題を教訓に、三セク会社として経営計画とは別に安全対策全般の指針を本年度中に定めることを申し合わせた。  (鈴木 潤)


◎市水産・海洋センター6月にオープン 研究室満室へ

 函館国際水産・海洋都市構想の中核である「函館市国際水産・海洋総合研究センター」(弁天町20)が、6月にオープンする。既に建物の外観が出来上がり、3月の引き渡しに向けて現在は内装などの工事が進む。研究室31室のうち、使用が決まっていない2室は、審査を経て今月末にも入居者が決まる見通しだ。

 国際的な水産・海洋分野の学術研究拠点都市として、新たな歴史を切り開く時が近づいている。完成すれば、産学官連携による地域産業の活性化や、マリンサイエンス研究で世界をリードする最先端の研究成果を生み出す効果が期待される。

 建物は延べ8866平方b。メーンの本館棟(鉄筋コンクリート造一部4階建て)をはじめ、海洋調査研究棟、取水棟、車庫棟の4つからなる。本館棟の研究室は、道総研函館水試や北大大学院水産科学研究院など4研究機関に加え、函館や札幌、東京の民間企業4社が計29室を使用予定。残る2室も公募により決まり、満室になる見込みだ。

 本館棟では、国内最大規模の300dという大型実験水槽(10b×5b、水深6b)が見られる。大会議室や展示スペース、展望ロビーも備え、市民や観光客も足を運べる施設となっている。総事業費は約45億円。

 研究施設と調査研究船用岸壁が隣接するのも珍しい。函館開建が函館港で延長460b(水深5〜6・5b)の岸壁工事を進めており、北大水産学部附属練習船「おしょろ丸」や「うしお丸」、函館水試の試験調査船「金星丸」の3隻を係留する。

 同センターを運営する指定管理者の指定は、3月の定例市議会で議決される運び。開所式は6月2日。

 水産・海洋に関連する国内学会開催のオファーが来ており、2016年3月開業予定の北海道新幹線も人の往来を後押ししそうだ。市国際水産・海洋都市推進室の本吉勲参事は「水産海洋の研究拠点として認知されることで、世界中や全国から研究者が函館に集まり、地域活性化につなげたい」と話している。(山崎大和)