2014年1月30日 (木) 掲載

◎函館 市税8億円増収へ

 函館市の本年度の市税収入が、当初予算比から8億円程度増える見通しとなった。昨年12月の段階で前年同月から約4億6800万円増加、法人市民税が好調に推移しているほか、軽自動車税や入湯税も伸びている。特定業種で業績回復の傾向がみられることから、市は新年度の税収も約8億円増えると見込んでおり、予算規模は事業費増も重なって、本年度を大幅に上回る見通しだ。

 市税務室によると、市税収入は昨年12月の段階で269億9260万円。現年度分と滞納繰越分を合わせた収入率は、前年同月比1ポイント増の79・3%となっている。

 このうち法人市民税は、同2億9370万円増の25億6694万円と好調に推移し、製造業や保険・金融業の業績好調に支えられている。軽自動車税は同4%増の4億3458万円、入湯税も観光客の増加によって、同5・6%増の1億6513万円。また、固定資産税は116億3093万円で、前年同期からは横ばいとなっている。

 1月末には市・道民税の第4期締め切りを控えることから、同室は「最終的には年間8億円程度の増収が見込まれる」とし、2月27日開会予定の定例市議会で8億円余りを追加補正する考え。本年度当初予算では基金を8億円取り崩して財源不足を補うとしていたが、市財政課は「税収や交付税の伸びを勘案すれば、取り崩しも圧縮できる見通し」としている。

 市は本年度の流れを受け、新年度の税収も約8億円の増加を見込む。新年度予算の市長査定は29日までに終了、2月12日に発表を予定しており、新年度予算では北海道新幹線開業に向けた中心市街地活性化対策関連事業が数多く盛り込まれるとみられる。

 工藤寿樹市長は1997年度以来18年ぶりの収支均衡予算を目指す一方、25日に開かれた公明党の会合では「(本年度当初予算から)5%以上の伸び率が確保でき、60〜70億円程度増える見通し」と言及している。(千葉卓陽)



◎歌で紡ぐ函館 二代目ムックリ襲名・高島さんCD発売

 函館在住のシンガーソングライター高島啓之さん(44)が、フォーク歌手「ムックリ横内」として函館で40年間活動を続けてきた横内輝美さん(67)から「二代目ムックリ高島」を襲名し、待望のCDアルバム「函館を唄(うた)う」を発売した。函館をこよなく愛する2人による伝承がついに実現し、新しい形で市民の応援歌≠ェ歌い継がれていく。

 横内さんは昨年2月、函館の演奏集団「ムックリ七味」(会員18人)のリーダーを、引退という形で高島さんに譲った。高島さんはメンバーではなかったが、横内さんの曲を中心に毎週日曜、市地域交流まちづくりセンターでギターの弾き語りをしている。2人は音楽活動を通じて知り合い、横内さんが歌い続けてきた曲を高島さんが歌い継ぐことが決まった。

 CDは、HAM函館芸術会議(木村公一議長)が制作した。収録曲は横内さんの代表曲で函館野外劇のテーマソングにも採用された「この子らにはこだてを」をはじめ、「心なごむ連絡船」「野の花たちの声が聴こえますか」「古い路面電車」のご当地ソング4曲。高島さんのオリジナル「逢える街 函館」も盛り込んだ。

 横内さんは「これらの歌は路面電車の存続など市民運動と密接な関わりがある。函館の情景を通じて、関わった人たちの思いを紡いでいきたい」と話す。高島さんは「歌に込められた重みをしっかりと受け止め、何十年も歌い続けたい」と決意を新たにしている。

 CDは1枚500円。まちセン内のカフェドリップドロップ、カフェくあふぉり(松風町9)で販売している。(山崎大和)



◎雪だるまがお出迎え 函館空港

 函館空港の屋外広場に大小4基の雪だるまが登場し、空港利用者を出迎えている。高さ3メートル50センチのひときわ大きな雪だるまの回りに2メートルサイズを3基設置。国内外の観光客に冬の魅力を伝えている。

 七飯町の大沼公園で開かれる「大沼函館雪と氷の祭典」(2月1、2日)のPRを兼ねて、毎年この時期に設置している。今年は20日に同祭典の告知看板や「熱烈歓迎」と書かれたウエルカムボードとともに設置。ただ、先週末の雨で一部解けてしまったため、25日に補修した。

 31日からは台湾の春節(旧正月)休暇が始まり、多くの台湾人が函館を訪れる。函館空港ビルデングは状態が悪化するまでは設置を継続する予定で「雪だるまの前で記念撮影をしたり、多くの人に楽しんでいただいています」としている。(今井正一)


◎脱線火災を想定し乗客避難 石勝線の事故受け

 【七飯】JR北海道函館支社は29日、JR函館線の新峠下トンネル(1・25キロ)内で、列車脱線火災を想定した訓練を実施した。

 訓練場所は昨年9月に発生した貨物列車脱線事故現場から函館側に約2キロの地点。今回の訓練は、2011年5月に発生した石勝線の特急車両脱線火災事故を受けて実施した。冬季間にトンネルで訓練するのは初めてで、JR社員のほか、JR貨物、函館中央署員ら約160人が参加した。

 函館発大沼行きの普通列車(3両編成)を使用。脱線後に最後部の1号車床下から出火し、トンネル入口から約700メートル先で停車した—という想定。

 午前11時10分ごろ、函館指令センターから連絡を受けた運転士と車掌が車両を降りて火災を確認後、エンジンを止め、先頭車両の貫通扉を開け乗客役のJR社員ら92人がはしごで一人ずつ降車した。発煙筒の煙が充満する中で、社員らはハンカチを口に当てるなどし、誘導に従ってトンネル内を歩いて移動した。同45分ごろ、すべての避難が完了した。

 訓練後に鈴木理夫次長は「厳冬の訓練をやっておきたかったので、状況に適した場所として以前から計画を立てていた。また、一連の問題で社員も安全意識を持っていたと思う。想像以上にスムーズにできた」と講評した。今後は参加した社員を対象にアンケートを実施し、意見を反映させて訓練を生かしていく方針。(小林省悟)