2014年3月12日 (水) 掲載

◎震災3年、各所で追悼行事

 

 東日本大震災から3年がたった11日、函館市内各所では市民や被災地から避難した人たちが集い、献花式や被災地支援を目的とした募金活動、大災害を想定した訓練などを行った。追悼、支援、備え—。あまりにも多くの尊い命が奪われたあの日を思い、一人ひとりが「今、自分にできること」を見つめ直した。

 道南で災害支援活動を続ける「函館・むすびば」「みちのく会・函館支部」などの7団体で構成する函館災害支援団体協議会と函館市地域交流街づくりセンターは午前10時から同センターで献花式を行った。

 1階ロビーに設けられた献花台には被災地支援に関わる団体の関係者や多くの市民が来場。白とピンクのデンファレを手向け、手を合わせた。

 同協議会を構成する団体は活動内容を紹介するブースを出展。福島市から避難している「みちのく会函館支部」の鈴木明広支部長(54)は「式を通じて霊を慰めると同時に、自分たちでも立ち止まって考え、今後の生き方を考える機会になった」と話した。

 地震発生の午後2時46分には被災地からの避難者や来館者が1分間の黙とうを捧げ、犠牲者の冥福を祈った。(森裕次郎)



◎放射性物質飛散を調査、大間から風船放つ

 【大間】東日本大震災から丸3年を迎えた11日、大間原発(青森県大間町)で過酷事故が起きたら風に乗って放射性物質がどこまで飛散するか調査するため、「大間風船計画」実行委は、原発敷地に隣接する共有地から1000個の風船を空に放った。

 「バイバイ大間原発はこだてウォーク」など函館と青森の市民団体が初めて企画、函館から24人、青森から20人が参加した。放射性物質に見立てたエコ風船にはがきを付け、拾った人に場所や日時などを書き込んで返信してもらう。

 現地で集会があり、大間原発訴訟の会(函館)の竹田とし子代表(65)が「福島の事故は人災。事故後も大間でなぜ工事を続けるのか。プルトニウムをもてあそばないでほしい。未来にこのような施設を残すわけにはいかない」と訴えた。大間原発に反対する会(青森)の奥本征雄事務局長(68)も「この風船が大間に反対する思いも一緒に届けてほしい」と願った。

 参加者は「空と海に放射能を流すな!」という掛け声で、色とりどりの風船を飛ばした。初めて大間を訪れた函館市港町2の診療放射線技師、桜庭恒夫さん(55)は「大間は近い。風が反対に吹けば、函館まで届きそうな気がした。放射能は目に見えず、色も臭いもない。知らないうちに汚染されてしまうので怖い」と話した。

 青森地方気象台によると、風船を飛ばした同日正午ごろの大間の風向きは西北西の風が4・8b。冬型の気圧配置になると、西寄りの風が吹きやすい。しかし、福島第一原発事故では、原発の北西30〜50`圏にある飯舘村が高濃度汚染された例もある。(山崎大和)



◎青函ツインシティ25周年記念事業固まる

 今年で25周年を迎える函館市と青森市のツインシティ(双子都市)提携記念事業の詳細が固まった。

 青函両市は青函トンネル開業翌年の1989年3月、ツインシティ提携。25周年にあたり、両市や両商工会議所などで記念事業実行委員会を設けた。

 「ツインシティの日」(11月11日)直近の11月9日に記念式典を開催。交流団体への感謝状贈呈のほか、PR映像を上映する。同日には津軽海峡圏の縄文文化をテーマに記念フォーラムを開き、青函圏交流の拡大などについて考える。

 記念式典に合わせて両市の市民計40人の交流ツアーを実施。2016年度の世界遺産登録を目指す「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」への理解を深める内容で、函館からは9日から1泊2日で青森市の三内丸山遺跡、青森からは8日から1泊2日で縄文文化交流センター(臼尻町)などを訪問する。

 スイーツは道南の牛乳と青森のリンゴを使ったプリンなどを計画。昭和製菓(函館)と松栄堂(青森)が開発を担当する。このほか、7月6日のAOMORIマラソンと、9月28日の函館ハーフマラソンに参加する市民を両市から各10人募集して交流を図る。市企画部は「提携、交流団体の事業に25周年の冠を付け、盛大にPRしたい」(国際・地域交流課)としている。(千葉卓陽)


◎JR北改ざん、国交省が函館保線所など常設監査

 JR北海道がレール幅の検査データを改ざんするなどした一連の問題で、国土交通省は11日、同社本社や函館保線所などへの監査を開始し、レールの検査データや業務の改善度合などをチェックしている。

 国交省は1月に鉄道事業法に基づく事業改善命令とJR会社法に基づく監督命令などの行政処分を通知した際に、5年程度の常設の監査体制で、定期的に監査を実施していく方針を固めていたが、今回はその1回目。

 昨年11月の特別保安監査同様に、同社に日時を事前に告知せず抜き打ちで実施。国交省7人と北海道運輸局11人の計18人が14日まで監査を行う。

 同日午前11時半ごろ、同社本社に8人、レールの検査データ改ざんなどの一連の問題に関わった函館保線所にも4人が入った。このほかにも道南を中心に数カ所にも監査員が派遣された。

 函館保線所では午後5時50分ごろまで監査が続き、検査データの管理状況や業務体制などを確認したとみられる。(小林省悟)