2014年3月14日 (金) 掲載

◎小規模発電で海洋エネ推進…函館市、新年度

 

 函館市は海洋再生可能エネルギーを推進するため、新年度から小規模発電システムの開発に向けた研究に着手する。津軽海峡に面する戸井・汐首岬で実施した流速調査が国の公募基準を上回るなど一定の潜在能力を持っている点を生かし、基幹産業の漁業と協調する形で研究開発を進めていく考えだ。

 本年度の汐首岬沖合での基礎調査は、函館高専に委託して夏、秋、冬の計3回行っており、最大流速は夏が毎秒約2b、秋が約1・9b。昨年12月から1カ月間実施した冬の調査も約1・5bを記録した。市は、道が実施した昨春の調査と合わせ、現在最終的な取りまとめを進めている。

 国が2月末まで公募していた実証実験海域の基準(同1・5b以上)は満たしているが、市企画部は「実証実験の利用者となるメーカーが見込めず、利用者が決まらないため、漁業者の了解を得るための具体的な協議が行えない現状にある」として、公募を見送っている。

 これらの状況を受け、新年度からは市独自で小規模発電システムの開発を模索。新年度予算案に関係経費300万円を計上し、基礎研究を学術研究機関に委託する。具体的には、風力発電などすでに実用化されている技術を応用し、津軽海峡の特性に適した発電装置の簡易モデル設計、試作や小型水槽などでの試験、評価を行う考え。

 また、地元関係者による勉強会を継続し、関係機関への誘致活動を進めていく。

 谷口諭企画部長は6日の市議会で、海洋エネルギー利用が実現した場合の漁業者への利点について「発電した電力を種苗施設や冷蔵庫、製氷施設などの漁港施設に優先的に供給することで、漁業経営にも具体的に貢献できるのでは」と述べた。吉田崇仁氏(市政クラブ)の質問に答えた。 (千葉卓陽)



◎廃止予定の知内駅・江差線看板窃盗相次ぐ

 【木古内、知内】JR江差線(木古内―江差間)の3駅と津軽海峡線知内駅で、ホーム内に設置された看板が盗まれる被害があったことが13日までに、分かった。木古内署は窃盗事件として捜査している。

 知内駅は14日で廃止となる。江差線(同区間)も5月12日で廃線の予定。廃止決定後には多くの鉄道ファンが訪れる“名所”となり、休日などにはにぎわいをみせる日もある。

 同署やJR北海道函館支社によると、江差線では吉堀駅、渡島鶴岡駅(いずれも木古内町)の2駅でホームにある「ワンマンカー乗車口表示板」(タテ50a×横30a、時価5000円相当)各1枚がないと匿名で連絡が同社に入った。同社が確認すると「江差方面」だけの表示板がなくなっていたという。木古内駅は12日、同署に被害届を提出した。桂岡駅(上ノ国町)でも駅名を記した看板1枚がなくなっていたことも分かっている。

 また、知内駅でも1月15日に「しりうち」と書かれた駅名看板(タテ113a×横140a、時価5万円相当)が盗まれ、同社がすぐに看板を付け替えたといい、「手で簡単に外せるものではない」と指摘する。

 同署はパトカーなどによる警戒を強化するとともに、詳しく捜査している。



◎市公民館を大規模改修

 函館市教委は新年度に、市公民館(青柳町)の大規模改修を実施する。建設から80年以上経過し老朽化が進んでおり、2億3000万円を投じ、耐震補強とともにエレベーターを新設するなどバリアフリー化を進める。7月着工、来年4月の再オープン予定。

 公民館は鉄筋コンクリート造地下1階、地上2階建て延べ1230平方b。1933(昭和8)年に篤志家の寄付を得て函館青年会館として建設され、47年から公民館として開館。コンサートやサークル活動の場として幅広く使われており、昨年度は約2万9100人が利用した。

 2009年度の耐震診断では国の基準値を満たしているが、コンクリートの劣化が確認され、10年にも有識者による懇話会から時代のニーズに合った整備が必要との提言を受けていた。

 坂の中腹に位置し、建物に入るには正面玄関前の階段を上らなければならない構造で、高齢者の利用が多い点を踏まえて改修。建物の左横に地下1階と1階を結ぶエレベーターを設置し、正面玄関前の階段も段数を減らすして傾斜を緩める。トイレも増やし、多目的トイレも設置する。

 講堂は、座席の前後幅が狭かったことから間隔を広げる。座席数は346席から282席に減少するが、後部座席を車いす対応にする。また、騒音の大きさが指摘されていた講堂内の暖房施設を取り換え、演奏に配慮する。

 市教委は「レトロな雰囲気を残してほしいという声が大きかった。外観は極力手を付けずに延命措置を講じ、利便性向上を図りたい」(生涯学習文化課)としている。 (千葉卓陽)


◎前年比11%増9万4000人…函館空港2月

 函館空港事務所がまとめた2月の乗降客数によると、前年同月比11・0%増の9万4319人となり、13カ月連続で前年同月を上回った。関東地方の記録的な大雪の影響で欠航が相次いだことから、羽田線は微増にとどまったが、引き続き台湾からの観光客の入り込みが好調で全体を押し上げた。

 国内線は、同7・1%増の8万1655人で、11カ月連続で前年を上回った。全日空函館支店は「利用者が落ち込む時期だが、運賃種別を増やすなどサービスを充実させたことが個人客の利用増につながった」と分析する。

 羽田線は臨時便を含め、同1・1%増の6万41人だった。大雪の影響で日本航空は8往復16便が欠航。同社函館支店は「欠航がなければ前年を超えていただけに残念」とする。日航の伊丹線は2095人で搭乗率は77・6%。3月に就航1年を迎える同路線。同社は「冬場の利用は課題だったが、まずまずの結果だった」とみる。

 関西線は同0・5%増の3398人。中部線は同0・9%減の4516人となった。道内便では、丘珠線が同31・5%増の6016人、新千歳線は同52・5%増の4881人に伸びた。  国際線はすべて台北線。旧正月の「春節」があったことから利用が増加。同46・3%増の1万2664人だった。 (松宮一郎)