2014年3月2日 (日) 掲載

◎旅客船埠頭整備へ予算計上 函館市 

 函館市は若松地区の旅客船専用埠頭(ふとう)の整備実現に向けて、港湾計画の変更に着手する。新年度の港湾事業特別会計予算案に計画変更の経費として6000万円を計上。15万d級の大型旅客船が接岸可能な埠頭とするため、港内を航行するルートや係留施設の安全対策などを調査する。

 近年、カジュアルクルーズの浸透に伴い、客船の大型化が進み、6月には11万d超の大型客船が初寄港を予定。国内有数の観光地であることに加え、クルーズ専門誌でも魅力ある寄港地として、横浜、神戸、長崎に続いて高い評価を受けるなど、今後も寄港数増加が見込める。ただ、大型船が接岸可能な埠頭は延長520bの岸壁がある港町埠頭のみで、市街地から離れているため、交通の便が悪いことが課題となっている。

 現行の港湾計画では若松地区の客船用埠頭の想定は青函連絡船摩周丸の係留地東側に延長310b、水深9bの岸壁を整備する内容。2005年の計画変更時のもので、国内最大の旅客船「飛鳥U」(5万142d)クラスに対応できる規模で、客船の大型化を想定したものではなかった。

 計画変更では市は全長300b以上、15万d級の大型船の接岸が可能な規模の埠頭としたい考えで、港内における航路などのシミュレーションを外部に委託し、港湾関係者や学識経験者らを交えた検討会議の開催を予定。新年度中に函館港地方港湾審議会に変更案を諮問する方針。

 市港湾課は「若松地区の埠頭整備はクルーズ振興と同時に中心市街地の活性化にもつながる。早期の完成に向けて、新規の事業着手が認められるよう国に対して引き続き要望していく」としている。 (今井正一)



◎華やかドレスでパチリ 「ハイカラ衣裳館」営業開始

 旧函館区公会堂(元町11)で1日、華やかなドレスなどを着て館内を散策することができる「ハイカラ衣裳館」の営業が始まった。早速観光客らが訪れ、バルコニーや大広間で記念撮影を楽しんだ。

 同館で1992年から始まり、函館観光に欠かせないメニューとして定着。昨年は前年比1500人増の約2万人が利用した。大西正光館長は「観光客だけでなく、地元の方が誕生日や記念日に利用することも多くなってきた」と話す。

 衣装は1着1000円(20分)。女性用は53着、男性用は9着、子ども用も男女計32着を用意。女性用ドレスでは新作も導入したという。ポイントメークやヘアセットのほか、ティアラやネックレスを付けることができるヘアメーク料金は1000円。

 営業時間は31日まで午前9時〜午後4時半、4〜10月は午前9時から午後5時、11月〜12月25日は午前9時〜午後4時半。問い合わせは同館(電話0138・22・1001)まで。 (森裕次郎)



◎100歳カップル 誓い新たに 旧イギリス領事館築100年記念挙式 

 旧イギリス領事館が築100年を迎えたことを記念したメモリアルウエディングが1日、同館で開かれた。2人の年齢が計100歳になるカップル1組が招待され、アンティーク家具に囲まれた趣ある館内で誓いを交わした。

 同領事館が昨年築100年を迎えたことから、同領事館を管理、運営する函館国際観光コンベンション協会が人前スタイルの結婚式を企画。応募者29組の中から、北広島市の自営業金山雅章さん(50)と佳代さん(50)夫婦が選ばれた。

 2人は高校からの同級生。雅章さんは測量関係の仕事をし、「出張が多く、家にいる時間も限られる」という。佳代さんが「2人の思い出になれば」と応募。函館への旅行は2回目という。

 挙式は英国の調度品に囲まれたティールーム「ヴィクトリアンローズ」で行われた。2人は生涯のベストパートナーとしてありつづけることを新たに誓い合い、参列者から祝福を受けた。

 雅章さんは「このような機会をいただけてありがたい」と話し、佳代さんも「恥ずかしい気持ちもあるが、ドレスが着れてうれしい。築100年を迎えた場所で結婚式が挙げられていい思い出になった」と笑顔で話していた。 (平尾美陽子)


◎縄文 世界の新たな価値観に シンポジウム

 地域の縄文遺跡群の重要性を学ぶシンポジウム「環太平洋の文明拠点…津軽海峡圏の縄文文化」が1日、函館北洋ビルで開幕した。争いのない時代が1万年続き、命を大切に自然と共存した「縄文」が、21世紀の世界をリードする新たな価値観となることが指摘された。

 立命館大学環太平洋文明研究センターの主催、函館新聞社など後援。世界遺産登録に向けて再度、機運を盛り上げようと開いた。

 同研究センター長の安田喜憲氏(環境考古学)が基調講演。従来は1万年前とされた地球の気候変動(温暖化)が、福井県の水月湖の湖底堆積物の分析で1万5000年前と判明し、それが縄文時代の始まりと符合することを説明した。命や自然を大切にした縄文こそ「世界のライフスタイルの標準となる」とし、最古の縄文土器が北海道や青森で出土していることから、北海道から発信できることを強調した。

 パネルディスカッションでは4人が登壇。立命館大学文学部の矢野健一教授が、縄文時代に津軽海峡で独自の文化圏が形成されたことを説明し、北海道開拓記念館の石森秀三館長は、この地の縄文が世界遺産登録を進める普遍的価値があることを指摘。「縄文の持つ重みを世界に知らしめる必要がある」と述べた。

 NPO法人函館市埋蔵文化財事業団の坪井睦美事業課長が、南茅部の遺跡調査の報告や遺跡を生かしたまちづくり、世界への情報発信の取り組みを紹介し、笹川平和財団の高木雄次理事長が、縄文の国際的、現代史的な意義を語った。

 あいさつした工藤寿樹市長は、2016年3月の北海道新幹線開業で津軽海峡圏の結びつきがますます強くなることを挙げ、「世界遺産への登録で日本の基層文化である縄文の関心が高まる。縄文を活用したまちづくりを進め、観光振興や地域の活性化につなげたい」と述べた。

 2日は午前10時から市縄文文化交流センターで研究発表が行われる。 (高柳 謙)