2014年3月22日 (土) 掲載

◎函館大火から80年 記憶、教訓心に刻む

 2166人の命を奪った函館大火から80年がたった21日、函館市消防本部(大坂晴義消防長)は函館市役所前の東雲広路で、烈風下での火災を想定した消防訓練を実施した。函館市大森町の函館大火慰霊堂では、函館仏教会主催の殉難者慰霊法要が執り行われ、犠牲者を悼んだ。

 1934(昭和9)年3月21日に住吉町から出火。強風にあおられた火は瞬く間に広がって延焼。市内の約3分の1となる1万1105棟が焼失した。

 同日の訓練は、犠牲者を忘れず、大火を繰り返さない意識を高めるのと同時に、消防職員、団員の技術向上を図ることが目的。同本部職員、消防団員、地域住民約140人が参加した。

 訓練は東雲町の一般住宅から出火し、強風が吹き荒れ延焼拡大の恐れがある状況を想定。緊迫した雰囲気の中で、同本部付近にいた地域住民を消防団員が誘導して函館市役所側へ避難させた後、発煙筒をたいた小屋などに実際に放水した。

 また、飛び火による延焼防止の訓練として、消防車7台を使用し、上空に向けて一斉放水。約20bの高さまで上がった水の壁をつくり上げた。

 同本部の吉田勇司警防課長は「今回の訓練は速やかだった」と振り返り、市民に向けては「大火を風化させてはならない。今後、空気が乾燥して風も強くなる季節。火の取り扱いには十分に注意してほしい」と呼び掛けている。(小林省悟)

 函館大火殉難者81回忌慰霊法要は、函館大火慰霊堂で開かれた。市職員や犠牲者の遺族らが参列し、読経と焼香で犠牲者の冥福を祈った。

 函館大火は死者2166人、行方不明者662人。被害世帯2万2667世帯という甚大な被害をもたらした。

 法要では市仏教会の僧侶が読経する中、参列者が次々と焼香し、犠牲者への思いを胸に手合わせた。

 市内在住の小川さとみさん(54)は「大火で母親の妹が0歳で亡くなった。10年ほど前から母親の代わりに毎年参列している。亡くなった人たちの冥福をこれからも祈りたい」と話していた。(平尾美陽子) 



◎筋ジストロフィー 田村さんの油絵見て

 筋肉が衰えていく病気「筋ジストロフィー」を抱え、国立病院機構八雲病院に入院している田村忠規さん(31)が制作した油絵「埠頭(ふとう)から見た景色」が、障害者の就労を支援するNPO法人「セラピア」(函館市亀田町20、平田聡理事長)内に展示されている。今月末まで。

 田村さんは、生まれつき筋ジストロフィーの障害を持ち、24時間人工呼吸器を着けて生活。社会とのつながりを持つため、院内の就労活動支援プロジェクト「コレクトスペース」に通っている。同プロジェクトでは、セラピアが発売する「いか姫のつぶやき癒しカレンダー」(今年で第4弾)のイラストをパソコンで制作するなどしており、今回、田村さんの油絵を披露する場としてセラピアが快諾した。

 田村さんは指先しか動かないため、電動イーゼルでキャンバスを移動させながら筆やパレットなどの道具を工夫して油絵を描く。今年で16年目となり、油絵が生きがいの一つ。現在12枚目の制作を進めているという。

 展示作品(F6サイズ)は10作目で、神戸港の写真を見ながら制作に3年近くを費やした。船や建物、海、空を柔らかく温かいタッチで表現。田村さんは「建物の部分が細かい作業で苦労した。海と空の色合いを見てほしい」と話す。

 平田さんは「神戸に行った気分になって制作した雰囲気が伝わる。力作なので、ぜひ見に来て。4月以降もどこかで飾ってもらえたらうれしい」と呼び掛けている。

 セラピアの営業時間は午前10時〜午後6時。問い合わせはセラピア(電話0138・45・1287)へ。(山崎大和)



◎土笛 優しく心強く…縄文笛さんコンサート

 函館市縄文文化交流センター主催の縄文笛コンサートが21日、臼尻町の同センターで開かれた。視覚障害を抱えながら、自ら粘土を焼いて作った土笛を演奏している縄文笛毅(本名・柴田毅)さん(46)=神奈川県在住=が、優しくも力強い音色を奏で、来場客を太古の世界へといざなった。

 同センターの展示室を使ったコンサートは初めての試みで、約60人が来場。縄文笛さんは生まれつきの弱視で、大学在学中にインドで病に倒れて視力をほぼ失ったが、療養中に偶然出合った土笛に魅せられ、土笛製作を開始。1989年から自作の笛に「縄文笛」と名付けて、演奏活動を続けている。

 縄文笛さんは「縄文人がどのような思いを土笛に込めていたのかを知ってほしい」とあいさつ。自作の土笛や、垣ノ島遺跡の出土品を見本にNPO法人市埋蔵文化財事業団職員が製作した土笛などを使って自作の曲を披露した。

 土笛の素朴な音色とともに、足で地面をたたく音や鈴の音を重ねることで、縄文の世界をエネルギッシュに表現し、来場客から大きな拍手を受けていた。(千葉卓陽)


◎蔦屋書店にエステとスタジオ 来月1日にオープン

 全国でエスティックサロンなどを手掛けるビーゲイト(神奈川県)は4月1日、函館蔦屋書店内(石川町85)に「エスティックサロンビ・タ・ス」と「マグマスタジオ オンド」をオープンさせる。3月29、30日にトークショーとヨガ体験会を同書店で開く。

 「エスティックサロンビ・タ・ス」は日常生活の中に「美を足す」をコンセプトに、ヘッドスパや肌ケア、体や顔などのマッサージを、30分から受けられるのが特徴。特殊な超音波で脂肪やセルライトを破壊して脂肪細胞を減らすマシン「キャビテーション」も導入している。

 同社の藤崎智子さんは「エステは敷居が高い、時間がかかるなどのイメージがあるかもしれないが、書店に来たついでにふらっと立ち寄ってもらいたい」と話す。

 一方、同施設に併設する「マグマスタジオ オンド」は、富士山の溶岩プレート(非混合鉱石)を取り入れたホットスタジオ。血行促進、老化防止、疲労回復などの効果があり、「遠赤外線で間接的に体を温め、ダイエット効果が高い」と同社。ヨガやピラティス、ストレッチなどのプログラムを用意している。

 29、30日のトークショーでは、女優でヨガインストラクターの田中律子さん、相澤加奈さんが健康や美容の秘訣(ひけつ)について語る。時間は29日午後3時、30日午後0時半で参加無料。2人によるヨガ体験会は予約必要。申し込み・問い合わせはナ・キ・レコールセンター(電話0120・22・0808)へ。(平尾美陽子)