2014年3月23日 (日) 掲載

◎引っ越し混雑「例年以上」、市内でピーク

 新年度を前に、函館市内で引っ越しの繁忙期を迎えている。21日からの3連休、月末までの期間が混雑のピークだ。3月は例年引っ越しが集中する時期だが、加えて今年は4月の消費税増税を控え、駆け込み需要で物流が急増。引っ越しのトラックが不足している状態で、業者の忙しさに拍車をかけている。

 全日本トラック協会(東京)は1月、繁忙期の混雑緩和を図るため、3月中旬から4月中旬の引っ越しを避けるよう消費者に異例の呼び掛けをした。消費税増税に伴う駆け込み需要の影響で、物流が大幅に増加。引っ越しに回すトラックが不足することが見込まれたからだ。

 函館地区トラック協会によると、予想通り市内でも2月中旬から物流が活発化し、トラック、人手ともに不足する状態が続いているという。

 「今年の件数は申し込みが多かった昨年並み。ただ、今年はトラックの数が足りない。混み具合は例年以上」と話すのは西桔梗町の運送業者、キョーツーの担当者。増税の駆け込みで新築した住宅への引っ越しも多いのが今年の特徴という。

 同社によると、月内は混雑が続き、4月上旬にずれ込むケースもある。「申し込みは断っていないが、引っ越しの日にちを変えてもらうなどしている」という。別の業者も「消費税が5%の3月中に引っ越しを済ませたいという要望が多かった」とする。

 JR貨物北海道支社の函館貨物駅にもひっきりなしに引っ越しの荷物を運ぶトラックが入り、コンテナの積み下ろし作業が続く。同社は「ほとんどが引っ越しの荷物で、今年は昨年よりも多い」とする。

 引っ越しの混雑はホテル業界にも波及。本町のビジネスホテルの支配人は「この時期は入居する部屋が空くまでホテルを長期で利用する人が目立つが、今年は昨年よりも多い印象」と傾向を語った。(松宮一郎)



◎海外の魅力語る、フェアにぎわう

 函館市は22日、函館蔦屋書店(石川町)で「第2回Let’s Go 海外フェア」を開いた。映像作家・フォトグラファーの貫井勇志さんによる講演会や、同店の「旅のコンシェルジュ」坂本幹也さんも加わったパネルディスカッションに大勢の市民が訪れ、海外経験が豊富な2人の話に聞き入った。

 パネルディスカッションでは、貫井さんが撮影した世界遺産の映像をバックに2人が海外渡航の目的や仕事について講演。貫井さんは20歳のときに初めて海外留学した当時を振り返り、「情報が少なく、わからないことはたくさんあったが、行きたいという思いが勝っていた」と話した。

 坂本さんは「小さいころから漠然と世界に興味があった」といい、20代のときに世界1周旅行をしたことを述懐。「気持ちさえあれば手ぶらで行っても何とかなる。『行く』という第一歩が大事」と語った。

 会場ではこのほか、市内の大学に在籍する留学生による現地情報の相談ブースも設けられ、海外留学に興味のある学生らが訪れて情報収集をした。(森裕次郎)



◎秘密保護法の廃止訴える、元新聞記者が講演

 昨年12月に成立した特定秘密保護法とメディアの報道を考える講演会「何がヒミツか、それがヒミツだ」(実行委主催)が22日、道教育大函館校で開かれた。読売新聞の元記者で、フリージャーナリストの山口正紀さん(人権と報道・連絡会世話人)が同法の問題点を示し、廃止を訴えた。

 山口さんは同法の問題点について、憲法で保障されている表現の自由や国民の知る権利を侵害する法律だとし、「秘密の対象があいまいで、条文によっては取り締まる側が拡大解釈して処罰できる内容」と指摘。ジャーナリストの取材や市民団体の活動に影響が出てくるとし、「秘密情報にかかわる取材が漏えい教唆とされ、たとえ報道しなくてもアクセスしただけで未遂と扱われる。取材活動の委縮を招く」と危機感を募らせた。

 また、同法成立をめぐる大手新聞社やテレビ局の報道の内容を解説。一部のメディアが法案提出後反対キャンペーンを展開したが、「対応が遅かった。もっと早くから警鐘を鳴らし、国民的な議論になっていればこんなに早く成立しなかったはずだ」とメディアの報道姿勢を批判した。

 函館市の大間原発建設差し止め訴訟の意義についても言及。「全国的に注目された画期的な自治体訴訟だ。原子力行政が前に行くのか後ろに戻るのか境目になる裁判になる」と期待し、「反対運動や訴訟の過程で秘密保護法が立ちはだかる。同法廃止と絡めて考えていく必要がある」と述べた。 (鈴木 潤)