2014年3月5日 (水) 掲載

◎大間訴訟、市長「法廷で地域代表し訴える」

 函館市議会第1回定例会は4日、各会派の代表質問が始まり、3氏が質問に立った。大間原発の建設差し止めを求める訴訟について、工藤寿樹市長は4月第1週に弁護団に同行して東京地裁に自ら訴状を提出する考えを示し「弁護団から出廷の要請があれば、私自身が地域の声を代表して訴える」と述べた。

 浜野幸子氏(市政クラブ)の質問に答えた。改行 工藤市長は提訴後、口頭弁論が年4回程度、一審判決まで5年程度かかるとし、弁護団会議費用などの訴訟費用は、年間400万円で合計2000万円程度を要するとの認識を示した。

 また、安倍首相が大間原発は新増設に当たらないと発言したことを受け、工藤市長は「新増設の定義以前に、電力需給に影響しない建設中、計画中の原発は無期限で凍結すべきと訴えている」と述べた。自民党員でもある浜野氏は「政府の考え方と全く異なるが、市民の生命、財産を守るという、市長の考えを否定することにはならないと感じている」と理解を示した。

 小山直子氏(民主・市民ネット)は「市民に改めてメッセージを発する必要がある。全国的な関心も長く持たせなくてはならない」と述べ、工藤市長は「全国的な注目を集め、世論の賛同を得ながら進めることが重要で、裁判所の判断に大きな影響を与えるのではないかと考えている。提訴後も情報を発信し、全国に訴えていく」と述べた。

 一方、小野沢猛史氏(市民クラブ)は「原告適格が争点となり、門前払いや却下もあり得る。敗訴になれば大間原発の建設、稼働にお墨付きを与えることになる」と指摘。工藤市長は「仮定の話にはお答えしないが、自治体運営の責任者として、市民の生命、財産を守り函館市を将来の世代に引き継いでいくという強い決意で訴訟を進める」と述べた。

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 本会議終了後、予算特別委員会が開かれ、委員長に金沢浩幸氏(市政クラブ)、副委員長に池亀睦子氏(公明党)を互選した。(今井正一)    



◎大震災から3年の11日、まちセンで献花式

 東日本大震災から3年を迎える11日、午前10時から函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で献花式が行われる。道南で災害支援活動をする団体でつくる協議会が主催し、地震が発生した午後2時46分に黙とうして犠牲者の冥福を祈ると同時に、市民が災害への備えを改めて考えるきっかけにしたい考え。

 「函館・むすびば」「みちのく会・函館支部」などの7団体で構成する函館災害支援団体協議会と同センターの共催。同センター1階に献花台を設置し、300本の花を来場者に無料で配布する。同協議会を構成する各団体は活動の現状を市民に知ってもらおうとブースを出し、取り組みの内容を紹介する。

 また、震災で被災し、函館近郊に避難した住民のための法律相談コーナーも設けるほか、地震発生時やその後の避難生活の様子を撮影したドキュメント映像の上映も予定している。

 同協議会は「3年の月日がたつとどうしても忘れがちになる。いつ起こるかわからない災害に対してどう支援できるのか、どんな対策があるのかを考える機会にしてほしい」としている。問い合わせは同センター(電話0138・22・9700)まで。(森裕次郎)



◎セラピアで「いか姫エコストラップ」再販売

 障害者の就労を支援するNPO法人「セラピア」(函館市亀田町20、平田聡理事長)のおやき「いか姫」をかたどった携帯用「いか姫エコストラップ」が完成した。函館大妻高(池田延己校長)家政科の生徒たちが製作を手掛け、「かわいい」と人気を呼んでいる。

 同ストラップは、もともとセラピアで製作・販売していたが、飲食店登録に伴い異物混入の恐れがあるため、昨年1月に中止。しかし「ストラップがほしい」という客の要望を受け、家政科のある同校に相談したところ、製作を快諾した。

 使用したのは、市民から寄贈された不用な着物生地とひも。3日に卒業した家政科3年生34人が、進級前の2年時に被服製作の授業の中で作った。生徒が耳、胴体、足を手縫いやミシン縫いし、セラピアの障害者5人が目、口、リング、ストラップを取り付けた。

 全部で42体完成、セラピアで1個315円で販売している。不用品をリサイクルしていることや、外国人あこがれの着物を使っている点が土産品として受けている。平田さんは「函館を代表する土産品に育てたい」と意気込んでいる。

 問い合わせはセラピア(電話0138・45・1287)へ。(山崎大和)


◎函館港「クルーズ船新時代」、寄港地観光 広域化を推進

 官民でつくる函館地区クルーズ振興協議会(会長・樋口道雄函館運輸支局長)の本年度の総会が4日、豊川町のレストラン「みなとの森」で開かれた。今年函館港には大型クルーズ客船が過去最多となる36回寄港する予定。同協議会は「クルーズ船新時代」と位置付け、寄港地観光の広域化を推進する考えだ。

 函館のクルーズ客船寄港は、年間約10隻、乗客乗員約1万人ほどで推移。昨年は国内外合わせて14回、過去最多の1万8000人だった。今年はそれを大幅に上回り、寄港36回、7万人になる見通し。11万d級の「ダイヤモン・プリンセス」(米プリンセス・クルーズ社)も寄港する。

 総会には35人が出席。樋口会長はあいさつで「函館港は新しいステージに入った。地域ならではの心のこもったおもてなしが必要」と述べた。

 新年度は受け入れ体制の強化、リピーター向けとして、寄港地観光の広域化を進める。木古内町や松前町、江差町、七飯大沼国際観光コンベンション協会など近隣の自治体、団体が協議会に加わり、新たな観光メニューづくりに取り組む。

 木古内町や江差町などは2016年3月の北海道新幹線開業をにらみ、観光資源の掘り起こしや受け入れ体制の整備を進めており、同協議会がクルーズ船寄港の際に生かす計画という。(松宮一郎)