2014年4月13日 (日) 掲載

◎遺愛高で“感謝の桜”植樹 岐阜から淡墨桜届く

 遺愛女子高校(福島基輝校長)は12日、同校敷地内に、NGOこの指とまれ(岐阜)から贈られた、国の天然記念物「淡墨桜」の苗木1本を植樹した。同校生徒会を中心に東日本大震災の被災地支援に尽力してきたことへの、同NGOからの感謝の証しという。植樹式に参加した生徒会役員7人は心を込めて苗木を植え、今後の活動への意欲を高めた。

 同校は、東日本大震災後、被災地に住む人々を元気づけようと、同NGOを通じて季節ごとのメッセージカードを送り、募金活動にも励んできた。被災地からは「カードを送ってもらって、心が温まった」とお礼の手紙や色紙が届き、昨年の冬には手作りの花のコサージュ約100個が贈られたこともあった。

 植樹には日本で6人しかいないという桜守の浅利政俊さん(83)が七飯町から駆けつけ、生徒たちに植え方や育て方を丁寧に指導。生徒たちは慣れない作業に苦戦しながらも慎重に土をかぶせ、添え木し、水をやった。浅利さんは「北海道の高校で貴重な淡墨桜があるのはここだけ。ぜひ大切に育て、花を咲かせてほしい」と話した。

 3年生の石川ゆりさん(17)は「東日本大震災を忘れることなく、木の成長を見守っていきたい。今後も活動を続け、少しでも被災地の皆さんの役に立ちたい」、八木橋笑里さん(17)も「被災地の人たちからの気持ちが伝わってきて、とてもうれしい」と笑顔。生徒会長の佐々木千夏さん(17)は「とても貴重な桜をいただき、植樹する場に立ち会えたことに感動。大きく美しく、見た人が元気になるよう育てていきたい」と話していた。(虎谷綾子)



◎ドナルド・キーンさん講演 日記通じ啄木の人物像分析

 米コロンビア大学名誉教授で、日本文学・文化の研究分野の第一人者として知られるドナルド・キーンさん(91)を招いた講演会「日記にあらわれる啄木」が12日、函館市芸術ホールで開かれた。約40年前に来函したことがあるというキーンさんは、石川啄木没後100年記念追悼講演会と題し、函館ゆかりの啄木について、当時の日記や短歌を交えて解説。約800人の聴衆は世界的な研究者の貴重な話に聞き入った。

 キーンさんは1922年、ニューヨーク出身。18歳のときに読んだ「源氏物語」に感動し、日本文学・文化に興味を持った。コロンビア大学院を経て、53年に京都大学大学院に留学。伊藤整や谷崎潤一郎、三島由紀夫ら日本を代表する作家とも親交を深めた。2011年の東日本大震災を契機に日本永住を決意し、12年に日本国籍を取得した。

 キーンさんは、歌人・詩人としての啄木について、「一つの歌を練り直すことなく、即興的。不必要な飾りが無いため、歌人が本当に感じていたことが分かりやすく、信ぴょう性がある」と述べた。また、「日記こそ日本文学の最高傑作」と強調。「日記に描かれた啄木は、過去の人物に思えない。ユーモアには現代人ならではの皮肉がある」と独自の感性で指摘。函館在住時に歌った「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」を詠み、「最も愛した街は函館だった」と締めくくった。

 キーンさんと交流の深い、啄木研究家の山本玲子さんとの対談もあり、会場は笑いと拍手に包まれた。(斎藤彩伽)



◎ブルーマーメイド16日就航 津軽海峡フェリー

 青函航路に16日に就航する津軽海峡フェリー(函館市港町3、石丸周象社長)の新造船「ブルーマーメイド」(8820トン)のお披露目会が12日、同船内で開かれた。函館近郊の関係者約200人を前に石丸社長は「津軽海峡は物流の基幹航路。安全、安心を最優先し、安定した物流をお届けしたい」と決意を新たにした。

 2010年就航の「ブルードルフィン」に続く「カジュアルクルーズフェリー」。全長144メートル、全幅23メートルで、定員は583人。トラック71台または乗用車230台を積載でき、青函航路を3時間40分で結ぶ。

 船内にはリクライニングシートに座りながら、進行方向の海上を眺めることのできる「ビューシート」46席や、大型犬と同乗できるバルコニー付きの「プライベートドックルーム」、一般客室も既存船よりゆとりのある空間とした。

 また、災害時多目的船の機能として、ストレッチャーごと収容可能なエレベーターや救護室を備えた。石丸社長は「南海トラフや首都直下地震が起きた場合でも即座に駆けつけることができる」と力を込めた。

 式典では、石丸社長と北海道運輸局の小山内智局長、函館市の片岡格副市長らがテープカットし、就航を祝った。一般市民の見学会に2253人が訪れた。

 同船は16日午後5時半函館発の便でデビューを飾り、青函航路を1日2往復する。(今井正一)


◎レンタサイクル「はこリン♪」営業開始

 函館市や函館商工会議所などでつくる北海道新幹線新函館開業対策推進機構は12日、観光客向けの自転車レンタル事業「はこリン♪」の営業を始めた。回遊性を高め、函館観光を楽しんでもらう。

 事業は新幹線開業を見据えたもので、観光客に市内移動の手段を提供し、利便性を向上させる狙い。2010年にスタートした。自転車は電動アシスト付きのもので、観光客には好評だ。利用者は年々増えており、昨年は1313件の利用があった。同機構は「観光の足として着実に定着してきている」とする。

 貸し出し窓口は駅前と西部地区、本町1カ所ずつ。ロワジールホテル函館(若松町)に6台、地域交流まちづくりセンター(末広町)とホテルネッツ函館(本町)に4台ずつ配備した。

 本年度の営業期間は11月9日まで。時間は6月1日〜8月31日までの繁忙期が午前9時〜午後7時。それ以外の期間は午前9時〜午後6時。料金は4時間まで1000円、1日(営業時間内)は1600円。正午までに返却する朝割は500円。(松宮一郎)