2014年4月24日 (木) 掲載

◎青函が互いに情報発信 観光分野で進む連携

 2016年3月の北海道新幹線開業まで2年を切り、青函両地域で連携の機運が高まっている。特に観光分野での連携は活発化しており、互いに相手地域の観光情報を発信する取り組みが始まった。協力して全国各地から観光客を呼び込むことはもちろんだが、青函域内での交流を促進させることも狙いのひとつだ。

 ■さくらまつりPR

 函館タクシー(函館市日乃出町、岩塚晃一社長)は23日、タクシー全90台の車内に弘前市のサクラを紹介する写真集、助手席のヘッドレスト部分には絵はがきを設置。昨年初めて実施して市民や観光客に好評だったことから継続した。

 岩塚社長の発案。きっかけは函館市が青森、弘前、八戸市との広域観光圏形成に向けて動き出したこと。岩塚社長は「新幹線開業が迫る中、青函連携の強化、互いの観光振興につなげていければ」と力を込める。

 今年は弘前側でも同様の取り組みがスタート。同市のタクシー会社、北星交通が協力し、函館の観光パンフレットを車内に設置。市民や観光客に函館のPRに一役買っている。弘前観光コンベンション協会の坂本崇事務局長は「行政が旗を振って始まったわけではない。民間ができることを積み重ねていくことが重要で、本当の意味での青函連携なのでは」と語る。

 ■津軽海峡二都物語

 弘前観光コンベンション協会も北海道新幹線開業に照準を合わせる。18日に発行したまち歩きガイドブックは、「津軽海峡二都物語」と題し、弘前の観光スポットのほか、函館を大々的に取り上げた。毎年発行するものだが、函館を特集するのは今回が初めてという。

 同協会は「函館と弘前の共通点のひとつは洋風建築。対比する形で紹介したことが特徴」とする。これまでは弘前市内でしか販売していなかったが、函館市内の書店でも購入できるようにした。坂本事務局長は「新幹線は遠くから人を運ぶだけではなく、双方の行き来を活発にすることにも力を発揮する。青函の距離は確実に縮まっている」と話した。(松宮一郎)



◎ギネスに挑戦、コスプレ…催し多彩 五稜郭築造150年祭 26日開幕

 五稜郭築造150年祭(実行委主催)が26日に開幕する。期間は来年2月までのロングランで、市民参加型イベントや観光客を楽しませる企画を繰り広げ、全国に函館、五稜郭をアピールする。開幕を前に五稜郭をかたどっとキャラクター「かく・ルン」の着ぐるみも完成。1年間さまざまな場所に登場し、地域とイベントを盛り上げる。

 祭りは26日午前11時から、箱館奉行所そばで開くセレモニーで開幕。「箱館戦争抜刀隊」と題し、旧幕府軍と新政府軍に分かれ、箱館戦争の激闘の様子を再現する。

 6月15日には市民参加型の記念イベントを開く。1500人が手をつないでギネス世界記録に挑戦するという企画や、全国各地のコスプレファンに集まってもらう「幕末コスプレフェス」など多彩なイベントを展開する。ギネス挑戦の参加者募集など詳細は後日発表する。

 また、公募したキャラクター「かく・ルン」のかわいい着ぐるみも完成。26日のオープニングイベントでお披露目される。五稜郭がモチーフで、背中には天使の羽も付いており、自由に動かすことができることが特徴。実行委は「函館、五稜郭の顔として旅行プロモーションなどにも連れていき、五稜郭やイベントのPRをしたい」と意気込む。

 ほかに五稜郭や西部地区など函館市内に17カ所に「リトファスゾイレ」と呼ばれる展示物30本設置。函館ゆかりの人物と歴史を紹介する。中野晋事務局長は「観光客はもちろん、市民に函館や五稜郭の歴史を再認識してもらいたい。未来につながる1年、イベントにしたい」と話した。(松宮一郎)



◎「フードカン」26日移転オープン ねばねば本舗内に

 道南産品アンテナショップ「フードカン」(ノーステック運営)が26日午前10時、「かごめ昆布ねばねば本舗」(函館市若松町19、田中理絵店長)内に移転オープンする。記念として5月7日まで毎日先着30人に、ガゴメコンブを使った浅漬けのもとをプレゼントする。

 ねばねば本舗(58平方メートル)内で2店舗が一緒に営業する。アイテム数はそれぞれ120とし、スタッフはねばねば本舗が2人、フードカンが3人。田中さんがフードカン店長を兼務する。

 26〜28日には、森町産の高糖度カボチャ「くりりん」を使った特製コロッケを1日30個限定で販売。価格は1個100円(税別)。お客の反響を見て定番化も検討する。

 ガゴメと、そのほかの産品を融合させることにより相乗効果を出し、1カ月の売り上げ目標は2店舗合わせて300万円。

 ノーステックの橋本真一社長は「地域密着という考えを引き続き重視する。店内で生産者と触れ合えるイベントを開き、商品に対する思い入れを伝えたい」と話す。

 フードカンは渡島総合振興局の委託事業として昨年8月、JR函館駅構内に開設。今年3月まで駅内で営業していた。

 営業時間は午前10時〜午後6時。毎月第2水曜が定休。駐車場が2台分ある。問い合わせは同店(TEL0138・27・4777)へ。(山崎大和)


◎開花へ膨らむ期待とつぼみ 29日から夜桜電飾

 函館の桜の名所、函館公園(青柳町)と函館五稜郭公園(五稜郭町)で、電飾の設置作業が進められ、今年も29日から5月18日までの20日間、夜桜見学が楽しめる。1930年から夜桜電飾が始まったと記録が残る函館公園内の日当たりの良い場所では、ピンク色に色づいたつぼみがほころび始めた。

 函館公園には約420本、五稜郭公園には約1600本のソメイヨシノを中心とした桜がある。市土木部緑化推進課によると、今年はサクラの芽をついばむ野鳥「ウソ」による大きな被害の報告はないという。

 両公園には400〜450個の電飾を設置し、期間中、平日は午後7時〜午後9時、土日祝日は午後7時〜同10時に点灯、函館公園では露店も並ぶ。両公園内ともに指定区域内でガスコンロなど火気使用が認められるが、五稜郭公園の郭内では炭火は使用できない。

 函館公園近くの住吉グラウンドを臨時駐車場として開放。五稜郭公園は29日など、土日祝日の午前9時から午後6時まで公園入り口付近で交通を規制する。

 市土木部緑化推進課は「今年もきれいなサクラが開花することを期待している。ルールを守り、両公園のそれぞれの歴史を感じながら花見を楽しんでほしい」としている。

 日本気象協会は23日、サクラの予想開花日を発表(第10回)した。函館は5月1日で、江差は同3日。予想満開日は、函館は同5日、江差は同7日。いずれも昨年より1週間程度早い見込み。函館はゴールデンウイーク中に花見ができそうだ。(今井正一)