2014年4月26日 (土) 掲載

◎紫アスパラ 収獲進む…ソーシャル・エイジェンシー協

 【北斗】北斗市細入の農業用ハウスで、道南でも珍しい紫アスパラガスの収穫が進んでいる。グリーン種に比べ、生のまま食べられて甘みが強く、シャキシャキとした食感が特徴。長さをそろえるため、切り取った茎の部分を漬物に利用することも研究している。

 栽培するのは、環境保全や食育に取り組むNPO法人ソーシャル・エイジェンシー協議会(函館市富岡町1、榊清市代表理事)。紫アスパラは植え付けて4年目の春から収穫となり、今年3月末から始まった。ハウス3棟のうち1棟(990平方メートル)で、現在1日当たり4、5キロを収穫。5月になると同10キロに増える。長さ30センチで鎌で刈り取り、出荷規格は27センチ。収穫は10月まで続く。

 同NPOは設立した2000年から、食品残さを微生物で発酵、さらにミミズに食べさせ、ふんを採取して自家製堆肥(特殊肥料)を作る。この肥料を使うことで農薬と化学肥料を使わずに栽培できる。

 紫アスパラは、抗酸化作用があるアントシアニンの含有量がグリーン種より10倍多いとされる。収穫物は函館市内の約30軒のホテル、レストランなどにプレゼントしており、評判がよければ、今後取引を行い、価格は1キロ当たり3300〜3800円を想定。同NPOが運営する飲食店「有機ダイニングゆうき」(亀田本町23)でも料理に使っている。

 榊さん(74)は「道南ブランドとして育て、北海道新幹線の物産コーナーでも販売したい。地元で太鼓判を押してもらって、将来は海外への輸出を目指す」と話している。

 問い合わせは榊さん(ファクス0138・44・2388)か(TEL090・3773・3003)へ。(山崎大和) 



◎さあGW 準備万端

 春の大型連休突入を前に函館市内では25日、観光客を出迎えるさまざまな準備が進められた。景観を彩る花の設置やおもてなしの心を再認識し、観光シーズンの開幕に備えた。

 ■マンホールの蓋 観光客の目を引く…市内各所で

 函館市企業局は、観光地周辺の下水道のカラーマンホール蓋(ふた)の設置作業を進めた。

 デザインマンホールの絵柄は「イカ」「五稜郭と旧函館区公会堂」「カモメとハリストス正教会」の3種類。市街地で見ることのできるカラー蓋は24枚のみで、十字街、道立函館美術館前など、人通りの多い観光地を中心に設置。秋に通常の蓋に交換し、冬場に色を塗り直している。

 明治館前では3種類の蓋を計4枚設置。観光客や修学旅行生らが作業の様子を物珍しそうに眺め、喜んでいた。上下水道部管路整備室は「塗り直したばかりの蓋は色もきれいで、観光地の美観向上にもつながる。足元から楽しんでもらえれば」としている。

 5月1日からは企業局庁舎(末広町)屋上開放が始まり、3種類に加えてタコの絵柄のカラーマンホールが展示される。(今井正一)

 ■街路灯に花かご 色とりどり69基…ベイエリア周辺

 函館市住宅都市施設公社は、ベイエリア周辺の街路灯にフラワーバスケットを設置した。色や種類が異なるパンジーとアイビーを植えた花かごが数種類取り付けられ、愛らしい花を風に揺らしている。

 観光街路灯フラワーバスケット事業は金森赤レンガ倉庫周辺を中心に54基を設置。明治館に面した二十間坂通沿いでは、企業の協賛を受けた15基を設置した。

 花かごは委託業者が水やりや花摘みなどの手入れを行い、7月以降は夏の花に植え替えて10月15日まで観光客らを楽しませる。同公社は「5月初旬には花もついて、びっしりと咲くようになります」としている。(今井正一)

 ■「ルール守って」関係者が巡回…函館朝市

 函館朝市では関係機関が巡回し、観光客らが安全で楽しく買い物ができるようにするため、目を光らせた。

 市役所経済部や市民部、保健所、函館西警察署、朝市連合会などから総勢約30人が参加。各店舗にチラシを配りながら「接客マナー、商品表示のルールを守って」などと声を掛けた。

 朝市連合会の井上敏廣理事長は「違法駐車やはみ出し営業が散見される。ルールを守るように今後も呼び掛けていく」、市経済部は「悪質なものも目につく。粘り強く指導していきたい」と話した。(松宮一郎)

 



◎函館・大船で山火事

 25日午後0時45分ごろ、函館市大船町の山林で火災が発生した。消防車両が現場に進入ができず、消火活動が難航。市は渡島総合振興局を通じて陸上自衛隊に災害派遣を要請した。札幌からヘリコプター4機が出動し、空中からの散水で同6時半ごろまでに現場をほぼ制圧、少なくとも約25ヘクタールを焼失したとみられる。けが人はいなかった。再燃する可能性があることから、26日午前7時から消火活動を再開する。

 市消防本部によると、船で海上にいた地元住民が山から煙が出ているのを見つけて通報。消防車両11台、消防職員と団員合わせて約105人体制で現場に向かったが、車両が進入できず、消防隊員らが背負い式の消火資器材を持って徒歩で山をかけ上がった。

 市は午後1時半に同本部からの第一報を受け、地域防災計画の林野火災対策に基づき、農林水産部を中心とした情報収集、連絡体制を整えた。陸上からの消火活動が困難となったため、同3時ごろ、同振興局長が自衛隊を要請した。

 市は火災現場の東約1キロに位置する大船地区緑地広場グラウンドを臨時のヘリポートとし、空中からの消火活動に備え、必要な資器材を八雲町の渡島森林管理署などに手配した。

 自衛隊からは函館駐屯地隊員や、札幌丘珠駐屯地のヘリコプター計4機などが出動。ヘリは午後4時半ごろに鹿部上空に到達。同グラウンドで800リットルの水のうを装着し、午後6時5分ごろに散水を開始し、2機で陸上と海上からの給水を繰り返し、計8回の散水で現場をほぼ制圧した。

 函館地方気象台によると、函館市内では24日明け方から乾燥注意報が発令されていた。今月1日からの降水量は平年比約10%の7ミリで、乾燥した状態が続いていた。


◎大門再生へ学生のお知恵拝借…都心商店街振興組合 大谷短大が協力

 函館都心商店街振興組合(渡辺良三理事長)は本年度、駅前大門地区の再生、活性化に向け、学生の知恵や力を借りて事業を展開する。函館大谷短大が協力し、学生がワークショップやフィールドワーク調査などに参加。若者のアイデアを事業に反映させるほか、まちづくり積極的に関わってもらう。

 商店街が協力を依頼し、同短大側も快諾。学生が参加することになった。若い人にまちやまちづくりに関心を持ってもらうことが狙いで、コミュニティ総合学科の1年生15人ほどが参加する。

 商店街では2016年3月の北海道新幹線開業を見据え、集客力アップや定住促進、安全安心なまちにするための事業を繰り広げているが、学生の視点を取り入れることで、若い人を地域に呼び込むきっかけにする。

 商店街は本年度、安全安心なまちづくりの施策として街路灯のLED化を進めている。ほかに定住促進事業「大門に住もう! プロジェクト」、商業施設誘致に向けた調査を行う計画で、これらの事業に参加してもらう。具体的には商店街側に提案するため、フォラームやワークショップで議論したり、フィールドワークを展開したりする予定。

 渋田昌士准教授と商店街の企画室長で短大の講師を務める小川佳也さんは「学生が子育て世代になった時に必要なものを今から準備しておきたい。まずは学生にまちを好きになってもらうことから始める」と狙いを話した。(松宮一郎)