2014年4月29日 (火) 掲載

◎湯川33観音もっと知って 函館山から移設100年17、18日記念行事

 江戸時代の天保年間に函館山に置かれていた33の観音像が湯川地区に移されてから今年で100年を迎える。北海道最古とされる観音像で、現在は湯川寺の境内に安置されている。節目を記念し、5月17、18の両日、湯川寺(湯川町3)で記念行事が開かれる。

 観音像は江戸時代の天保年間、山の麓にある称名寺の住職の呼びかけに応じた檀家の蛯子長兵衛が西国三十三観音の分霊所を作る計画を立て、1834年に完成。97(明治30)年ごろ、函館山が旧日本軍の要塞建設のため一般人の立ち入りが禁止になり、観音像は称名寺などに下ろされた。1928(大正3)年に当時の湯川村に移設し、75年に湯川寺境内に集められた。

 記念行事は、「観音様が来湯100年を迎え、市民にも広く知ってもらえれば」と実行委(門脇義治実行委員長)が企画。当日は称名寺の須藤隆仙住職による特別法話や33観音像めぐり、江戸時代の函館山33観音の位置を示した絵図など約100枚のパネルが並ぶ企画展、関連映像の放映などが行われる。

 門脇実行委員長は「観音様は山掛けと言って娯楽の一部として大勢の人に親しまれてきた。観音様の由来などを知る機会になれば」と話している。

 両日とも午前10時〜午後5時。特別法話は17日午後2時、説明付き観音めぐりは17日が午前10時、18日が午後1時。参加無料。写経・写仏は300円。問い合わせは門脇さん(TEL0138・57・6259)へ。(平尾美陽子)



◎春の陽気 桜開花 函館昨年より10日早く

 桜前線が北上し、函館海洋気象台は28日、函館市のサクラ(ソメイヨシノ)の開花を発表した。森町でも観光協会が開花を発表。函館は平年より2日、森も10日早く、ともに4月に咲いたのは2009年以来5年ぶり。大型連休後半には見ごろを迎えそうだ。

 函館の開花は昨年より10日早かった。25日から連日、最高気温が6月上〜下旬並みの暖かい日が続き、一気に花が開いた。

 28日は同気象台職員が午前9時半ごろ、五稜郭公園にある標本木で数輪以上の花が開いたことを確認した。気象庁による道内の開花発表は、27日の帯広市に続き2番目となった。

 同公園では、すでに3分咲きの木もあり、訪れた市民や観光客は、「きれい」と歓声を上げて見入っていた。市内中島町の主婦、佐伯智美さん(33)は「昨年はゴールデンウイークに間に合わなかったが、今年は早く咲いて良かった。何回も花見に来たい」と話していた。(山崎純一)

 ◎森は16日早く

 【森】森観光協会(石岡眞喜雄会長)も28日、青葉ヶ丘公園でサクラが開花したと発表した。昨年より16日早かった。

 同日午後1時半ごろ、町の担当職員らがソメイヨシノの標本木で、基準となる5、6輪以上の花が咲いていたことを確認し、同協会が開花を発表。町によると1971年から統計を取り始めて以来、6番目に早い開花だという。

 同公園では現在、5月3日から始まる「もりまち桜まつり」(実行委主催、種田眞也委員長)の準備が進められている。ソメイヨシノは数日中に見ごろを迎える見込みで、町商工労働観光課は「ここ最近は暖かい日が続いたため、予想より早い開花宣言となった。ぜひ大勢の人に森町のサクラを見に来てほしい」と話している。(野口賢清)



◎市内に太陽光発電所計画 信販大手ジャックス

 信販大手のジャックス(本部・東京)は28日、創立60周年記念事業として創業の地、函館に太陽光発電所を二つ建設し、6月下旬から売電を始めると発表した。このうち1カ所の発電所とその売電収入を函館市に寄付する計画。同社は「人でいえば還暦。地域への恩返しになれば」としている。

 信販会社が発電事業者になるのは同社が初めて。函館市新湊町の市有地約3300平方メートルを借り、太陽光発電の施設を二つ建設する。容量が83・16キロワットの太陽光発電パネルを設置。年間の発電量は20万キロワットで、北電への売電収入は700万円を見込む。

 毎年売電収入の半額を市に寄付する計画で、20年間で6500万円を超す見込み。建設費は約7000万円で、同社と、創業者で函館市在住の山根要名誉会長(94)の寄付金でまかなう。

 同社は1998年に業界で初めて太陽光発電システムの設備購入や設置工事費用を対象とした「ソーラーローン」の取り扱いを開始。2013年度の取扱高は1000億円を超える見込みで、国内トップクラスの実績を誇っている。市との連携、自ら発電事業者となることで、太陽光発電システムの普及を支援する。

 函館市はジャックスから寄贈を受けた後に、市議会に関連議案を提出する方針。「創業の地として函館を気にかけていただき、応援して下さってありがたい」(工業振興課)とし、地域振興や雇用促進に活用したいとしている。(松宮一郎、千葉卓陽)


◎お客さま本位の経営を サービス学会十勝バス社長講演

 サービス学会(会長・新井民夫芝浦工業大教授)の国内大会が28日、公立はこだて未来大で始まった。サービス実践で有名な十勝バス(帯広)の野村文吾社長が「お客さま密着!で地域に貢献する十勝バスの経営〜40年ぶりの利用者増加の実例」と題して特別講演した。

 同学会は2012年10月に発足した新しい学会で、昨年の京都での第1回国内大会に続き2回目。初の函館開催となり、経営や経済、情報、統計、工学など多彩な分野から約150人が集まった。

 野村社長は、お客さま本位に立った創意工夫で会社を再建。「バスは移動の手段であり、目的ではない。だから目的を提案することが重要」と強調し、目的別時刻表や日帰り路線バスパックなどの営業強化策について話した。北海道新幹線の新駅からの二次交通手段の整備にも触れ、「二次交通はあったと言える。既存のインフラをお客が求める形でいかに提案していくかがポイント」と述べた。

 29日は午後2時から、未来大講堂で、鶴雅グループ阿寒グランドホテル(釧路)の大西雅之社長が特別講演する。入場無料。(山崎大和)