2014年4月6日 (日) 掲載

◎「にっぽん丸」豪華客船 今季初入港 いか踊りで歓送迎

 今シーズンの豪華客船の来港第1号となる「にっぽん丸」(2万2472トン)が5日、函館港西埠頭(ふとう)に入った。肌寒い天候の中、乗客は同日夕方まで函館山や湯の川温泉などの観光を楽しみ、いか踊りに見送られながら石川県輪島港を目指して出港した。

 同船の函館入港は通算35回目で、流通大手イオングループ主催の日本一周チャータークルーズの一環。乗客約230人を乗せて神戸を1日に出港し、横浜などを経て函館に到着した。入港セレモニーでは片岡格副市長が「今シーズンの初寄港で待ち望んでいた」と歓迎。ミスはこだての八戸芹香さんらから乗客代表やイオン関係者、番留誠船長らに記念品が贈られた。

 岸壁では市民団体「カムカムの会」(石塚大会長)のメンバーが横断幕を持って出迎えた。同会の横山悦朗さんは「函館のイメージづくりに役に立てればと思って続けている。今年は客船の寄港数も増え、将来的には若松埠頭の整備が進むことも期待している。(昨年亡くなった)石塚與喜雄前会長の思いを引き継いで続けていきたい」と話していた。

 午後には80人の定員に対し、746人の応募があった船内見学会も行われた。出港時にはそろいの法被姿の市民が「いか踊り」で見送り、船上からは色とりどりの紙テープが投げ込まれ、返礼の汽笛が鳴り響いた。(今井正一)



◎最新型護衛艦に興味津々 すずつき一般公開

 海上自衛隊函館基地隊は5日、函館港港町埠頭(ふとう)で、第4護衛隊群第8護衛隊(長崎県佐世保市)所属の護衛艦「すずつき」(5050トン)の一般公開を実施した。3月12日に就役した最新型護衛艦を一目見ようと、悪天候の中、市民らが大勢訪れた。

 長崎造船所から自衛隊に配備さればかりで、最新の垂直発射システムなどを備えている。訓練のために各地方総監部に向けて航行しており、隊員の休養のために4日午前9時ごろ函館に寄港した。

 公開は午前9時〜11時と、午後1時〜3時の2回に分けて実施。見学者は航空機などの格納庫、甲板、操舵室などを興味深く見て歩いた。函館市内の金子康平さん(59)は「今まで見たことがない装備を見ることができて良かった。悪天候で寒かったが、隊員が親切に説明してくれた」と満足げ。

 同基地隊は「最新の護衛艦に多くの人が見学に来てくれた。今回を機に自衛官の職務を理解していただければうれしい」と話していた。(小林省悟)



◎「視野広げ良識ある生活を」 函大入学式

  函館大(溝田春夫学長)は5日、同大教室で、本年度入学式を開いた。新入生77人(うち3年生編入学7人)が、大学生としての決意を新たにした。

 スーツ姿の新入生たちは、緊張した表情で式に臨んだ。国歌斉唱に続き、新入生一人一人の名前を呼んで起立。代表して久末梨奈さん(18)=函館商業高出身=が、溝田学長から入学許可証を受け取った。

 溝田学長は式辞で「考える力を鍛え、社会に貢献できる人材に育っていくことを期待します」とエールを送った。

 新入生代表の照井和樹さん(18)=函大付属有斗高出身=が「さまざまな体験を通じて視野を広げ、良識ある大学生活を送るよう努力します」と宣誓した。

 木村明希さん(18)=函大付属柏稜高出身=は「アルバイトと勉強を頑張りたい。卒業論文も頑張る。友達がたくさんできるとうれしい」と笑顔を見せていた。

 函大によると、新入生のうち、道内出身者は47人(61%)。うち函館出身は32人という。(山崎大和)


◎反動減対策 あの手この手 消費税8%で道南小売店

 消費税率8%がスタートして間もなく1週間。函館・道南の小売店では、増税後の反動減を食い止めようと、対策を始めている店舗もある。ただ、様子見のところも多く、各店は今後の需要喚起に知恵を絞っている。

 ホクレンショップ函館昭和店(昭和1)は「加工食品や日用品などの動きが鈍っている。分かりやすい価格帯の設定や、味など質を追求した商品をお客さまに紹介していきたい」と前向き。かね万むさしや本店(本町31)は「消費を控えるムードが残っており、客足は鈍い。特別な対策を講じているわけではないが、生鮮食品は買いだめできないので、お客が戻ってくるのを待ちたい」という。

 大型店も集客策に力を入れる。テーオーデパート(梁川町10)では、同店2階の喫茶店で価格を据え置いたほか、今後は店内の商品の割引なども検討していく予定。「カード会員限定で優待割引をするなど、対策を講じていく」と同店。

 棒二森屋(若松町17)では、増税前の3月に商品の売り出しを強化、反動減に備えた。現状では、食品の販売は平年通りで、売れ行きが停滞気味の衣料品や化粧品も、夏に向けて通常通りに戻る見通し。

 イトーヨーカドー函館店(美原1)は「価格据え置き」と銘打ち、衣料品や食品など約1700品目の価格を据え置くセールを展開している。

 丸井今井函館店(本町32)では「消費者の動向を見ながら商品の品ぞろえを充実させ、今月は週替わりで旅行グッズや靴などのアイテム特集を考えている」。各階のフロアと催事場の両方でイベントを組み、「豊富なコンテンツをそろえることで、お客さまに興味を持ってほしい」と期待する。

 冷え込みが深刻なのはたばこ店だ。「4月に入ってからの売上げは通常の3分の1」。たばこ販売が売り上げの大部分を占める商店「セラーズいそ」(宮前町)の磯雅晴店長(63)はため息をつく。「少しでも安く」という客のため、比較的安価な手巻きたばこの作り方を実演するなど工夫も凝らすが、客足は鈍い。

 たばこは、2010年に約100円の大幅値上げがあった。今回の値上げ幅は10〜20円ほどだったため、影響を読みづらかったという。

 常連客が3月下旬にカートン単位で購入した在庫≠吸い終えるのを待つしかないのが実情。磯さんは「暖房費や光熱費を考えると、店を閉めていた方がまし」と嘆く。(虎谷綾子、平尾美陽子、森裕次郎、山崎大和)