2014年5月1日 (木) 掲載

◎新幹線・青函高速走行求め協議会設立、道や青森など

 2016年3月開業予定の北海道新幹線で、貨物列車との「共用走行区間」となる青函トンネルなどでの高速走行の早期実現を目指そうと、道と青森県、沿線市町村、商工団体28団体が4月30日、協議会を設立した。同日、ロワジールホテル函館で開いた初会合では、国への要望活動などに連携して取り組むことを確認した。

 協議会の名称は「青函共用走行区間高速走行早期実現協議会」。

 新青森―新函館(仮称)間約149キロのうち、青函トンネルを含む82キロは在来線との共用区間。最高時速260キロの新幹線は、貨物列車とすれちがう際、安全確保のため時速140キロに減速しなければならない。

 国は、開業2年後の18年春から1日1往復で時速200キロ以上の高速運行する案を固めている。函館・道南や青森県は、利便性や波及効果の点から全ダイヤでの高速走行実現が不可欠として協議会設置を決めた。

 会合の冒頭で、青森県の青山祐治副知事は「全ダイヤ高速走行が本来の姿。地域で勝ち取るために共に頑張ろう」、道の荒川裕生副知事が「地域の活性化に向け高速走行問題の解決は不可欠だ」と意欲を示した。

 国への要望活動として、高速走行の着実な実現と増便、さらに中長期的な視点で全線ダイヤの実現を求めることを申し合わせた。

 意見交換で、函館市の工藤寿樹市長は「道、青森県が連携することで今まで以上に国への働き掛ける力が強まる」と期待を寄せた。

 国などの試算によると、同区間を時速140キロで走った場合、新函館―新青森間は57分かかるが、時速260キロでは18分短縮され、39分で走行できる。(鈴木 潤)



◎中古コンナテを観光案内所に、函大生が実証実験へ

 函館大(溝田春夫学長)の4年生2人が5月3日から、JR函館駅〜ベイエリア間の中継地点(大手町5)に、中古貨物コンテナを設置して無料の観光案内所を運営する実証実験を始める。少ない初期投資で小規模店舗を開業できるビジネスモデルを検証。この通りが新たな観光ルートとなり得るか調査するのも狙いだ。

 津金孝行准教授のゼミに所属する山田潤さん(21)、新明巧さん(21)が卒業研究として取り組む。コンテナ(幅3・7メートル、奥行き2・5メートル)は、函大地域連携コーディネーターの高橋和将さんの私物。JR貨物は輸送に使えなくなった中古コンテナを販売しており、価格が20万円程度と安く、頻繁な運搬に耐えられる強度。トラックで容易に運搬でき、廃棄品のリサイクルという点でエコ=Bテントより丈夫で移動販売機能も持つ利点がある。

 はこだてビールの協力で中庭にコンテナを設置。同所は、函館駅・朝市方面からベイエリアに向かう観光客が「不安になるところ」(津金准教授)と判断、案内所を設けて対応する。

 期間中(6日まで)は1日当たり学生ら8人程度が参加。観光客に道案内したり、ベンチやテーブルを置いて無料休憩エリアを提供したりする。

 このほか、案内所に対する評価アンケートを取り、通行料調査なども行う。汎用的な空間提供の可能性を探り、夏には焼き鳥店(販売店舗)としての活用を目指す。

 山田さんと新明さんは「初めての試みで、いろんな人に協力してもらっているので、良い結果が出せるよう頑張りたい」と意気込む。実験は午前11時〜午後4時。雨天中止。(山崎大和)



◎4月の道南雨不足、露地野菜に不安

 4月の道南はカラカラだ。29日現在で函館の降水量は7・0ミリ(平年70・1ミリ)、北斗も3・0ミリ(同69・7ミリ)と極端に少なく、乾燥状態が続いている。ニンジンなど露地野菜の生育に不安を抱く農家は「1日も早く、ひと雨ほしい」と願う。

 気象庁によると、函館では4月11日の0・5ミリを最後に雨が降っていない。北斗でも同10日の2・0ミリ以降、雨が遠ざかっている。函館地方気象台は「4月は比較的、高気圧に覆われて晴れた日が多かった。低気圧が北海道付近を通過する日もあったが、渡島半島に大きな影響はなかった」と説明する。

 七飯町中島の浅野宏隆さん(51)=町野菜生産出荷組合組合長=は、トンネルマルチによる早出しニンジンを3・5ヘクタール作付けする。「土壌水分が少ないので、生育が1週間〜10日程度遅れている。高温や土壌の乾燥で、遅くまいたものは発芽が悪くなる可能性がある」と心配顔。同じくトンネルマルチ栽培のダイコンも生育遅延が懸念されており、浅野さんは「まとまった雨が降ってほしい」と話す。

 少雨傾向を受け、渡島農業改良普及センター(北斗)は4月25日、技術情報を出して農作物の管理を徹底するよう農家に呼び掛けた。早い人で4月中旬から定植が始まった長ネギは、圃場(ほじょう)が乾燥しているため活着に時間が掛かったり、葉の生育が十分に進まなかったりする影響があるという。「畑づくりをしたら、土壌が水分を含んでいるうちに早めに定植することや、カンカン照りの日には定植しないことなどに注意してほしい」と同普及センター。

 同気象台は、1日午後に気圧の谷の通過により渡島管内で約10ミリの雨が降ると予想している。(山崎大和)


◎増税で市電運賃改定、きょうから

 函館市企業局交通部は消費税率引き上げに伴い、1日から、市電運賃を一部改定する。普通運賃は初乗りから2キロまでと、2〜4キロの区間で大人、小児ともに10円値上げし、それぞれ210円、230円となる。

 市電運賃改定は1997年以来。3月26日付で道運輸局に変更申請し、4月18日付で認可された。普通運賃と乗り継ぎ料金が10円の引き上げ。貸し切りは一律1万9000円。定期券や1日乗車券などの価格変更はなく、全体の料金収入で消費税率引き上げ分が転嫁されるよう調整、平均改定率は2・85%となる。

 同部は1週間ほど前から車内や電停の掲示物の入れ替え準備を進め、4月30日に営業終了した車両から順次、旧料金の掲示物を撤去した。事業課は「始発からトラブルがないように準備を進めている」とする。

 一方、市内近郊で路線バスを運行する函館バスも1日から料金を改定。市内中心部の路線で一律10円引き上げるほか、地方路線を含む全系統では10〜80円の値上げ。定期券や1、2日乗車券は据え置く。(今井正一、松宮一郎)