2014年5月10日 (土) 掲載

◎大野農業高にミドリザクラ

 七飯町在住の桜研究家、浅利政俊さん(83)が、大野農業高校の桜公園(北斗市向野2)で、道南では珍しい「ミドリザクラ(別名リョクガクザクラ)」を確認した。

 浅利さんは、4月29日〜5月4日に松前町と北斗市を訪問。その際、桜公園内で「これもサクラの仲間なのか」という市民の会話が聞こえた。近寄って見ると、萼(がく)や萼筒が緑色をしていた。帰宅後、文献や資料で調べたところ、富士山山麓付近に咲く「ミドリザクラ」と判明。道南で確認したのは今回が初めてという。

 ミドリザクラは1916年、御殿場農学校(静岡県)の高沢二郎教諭が発見した品種。同校の山出半次郎校長が植物学の権威、牧野富太郎博士に送り、博士が命名。マメザクラ(別名フジザクラ)が突然変異を起こし、紅紫色系の色素を欠く一型。1・5〜2メートルの高さで、花の大きさが1・2センチほどと小さく、下向きに咲くのが特徴。現在は、関東地方の西南部や伊豆半島の山地でも見られるという。

 同公園のミドリザクラは、40年ほど前に植栽されたものと推測している。浅利さんは「北海道の寒い土地でも、富士山と変わらずに咲いているという情報は大変貴重。自然を注意して見ると、さまざまな珍しい発見があることを多くの人に知ってもらいたい」と話す。

 同公園は、誰でも自由に入ることができる。(斎藤彩伽)



◎「ありがとう江差線」…河北小の窓に張り

 【上ノ国】河北小学校(坂本景子校長、児童26人)では教室窓に「ありがとう江差線」の張り紙をして、11日の廃線を児童たちも見守っている。

 列車が校舎すぐそばを走り、校門と踏切も目と鼻の先。子どもたちが教室から眺める景色に常に江差線があった。

 同校では廃線を前に児童と教職員が積極的に江差線と古里の関わりを勉強。関係者を講師に招いて逸話を聞いたり、最寄りの中須田駅で切符を売っていた人と手紙のやり取りなどを重ね、3月にまとめの学習会を持った。張り紙はこのときに用意したものだ。

 5年生の佐々木諒真君(10)は「切符を売っていた人にインタビューしたり、78年間続いたことなど江差線の歴史を学ぶことができて良かった」、松塚愛実さん(10)も「昔は満員電車だったことを聞いて地域に親しまれていたということを感じた」と話していた。(田中陽介)



◎道南14市町で若年女性半減…日本創成会議分科会2040年の人口試算

 民間有識者らでつくる「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会(座長・増田寛也元総務相)は、独自推計した2040年時点での全国市区町村別人口を発表した。現在のペースで地方から大都市への人口移動が続く場合、子どもを産む中心的年代である20〜39歳の若年女性が2010年から40年までの30年間で半分以下に減る自治体が全国で896市区町村、道南では18市町中14市町が該当すると試算した。

 これらの自治体は、仮に出生率が改善しても人口減少に歯止めがかからない「消滅可能性都市」と定義している。改行 分科会は国立社会保障・人口問題研究所が昨年発表した将来推計人口を基に試算。この中で20〜39歳の女性人口の増減に着目した。この年代の女性が地方から東京などの大都市に流出すると、地方では子どもも増えず、人口減少が止まらないため、最終的に住民サービス提供など自治体機能の維持が難しくなると予測している。

 渡島・桧山管内での若年女性の減少率は、奥尻町が86・7%で道内最大。10年の202人から、40年には27人にまで減るとしている。次いで木古内町の86・5%、松前、福島両町が84・4%で、道内上位10市町村の中に4町が入った。

 函館市は60・6%で、10年の3万746人から、40年には1万2115人まで減ると推計している。全国の中核市43市中、福島第一原発事故の影響で推計を見送った福島県の2都市(郡山、いわき)を除いて、最も減少率が高かった。改行 逆に、減少率が50%を切ったのは38・6%の北斗市のほか、長万部町(41・8%)、今金町(42・9%)、鹿部町(46・2%)の4市町にとどまった。

 分科会は若者が結婚し、子どもを産み育てやすい環境づくりに向けた政策の集中や、東京一極集中の是正などを提言している。

 消滅の可能性を指摘された自治体は試算を厳しく受け止める声が目立つ。

 道内最大の減少率とされた奥尻町は「これまでも人口減少、高齢化社会を見据えたまちづくりをしてきたが、一層の取り組みが必要。ピンチをチャンスに変える契機となる問題提起となった」とコメント。木古内町の大野泰副町長は「厳しい数字。子育てしやすい環境づくりなど、定住人口増加に向けた政策を今後も進めていきたい」と強調。本年度から町立小中学校の給食費半額補助や保育料の独自軽減など、育児環境の整備に取り組んでいる。

 函館市は「大都市への流出が人口減に拍車をかけている構図が、そのまま当てはまる。国レベルの対策と連動して、少子化対策や雇用の安定など、市独自の細かい施策を考えていく必要がある」(企画部)とした上で、「人口が減っても活力を維持できるよう、北海道新幹線開業を生かした交流人口の拡大に活路を見いだしていきたい」とする。(千葉卓陽、鈴木 潤、金子真人)


◎渡島、桧山管内の献血者数 2年連続2万人割る

 渡島、桧山管内の献血者数が2年続けて2万人を割ったことが、北海道赤十字血液センター函館事業所(函館センター、木下透所長)のまとめで分かった。2013年度は前年度より555人減って1万9215人。医療現場での需要が高い400ミリリットル献血は増えたが、成分献血のうち血漿(けっしょう)成分献血を中止したため、献血者減に影響した。

 同センターによると、献血者数は12年度に平成に入り初めて2万人を下回り、今回で4年連続の減少。内訳は200ミリリットル献血が同75人減の3433人、400ミリリットル献血が同24人増の1万3403人、成分献血が同504人減の2379人。

 年齢別では、30代(30〜39歳)の献血者数が同384人減と減り幅が大きかった。同センターは「10代(16〜19歳)、20代(20〜29歳)が前年度とほぼ同様であったのに対し、健康体で働き盛りの30代の減少が響いた」と分析する。

 成分献血には、血小板成分献血と血漿成分献血がある。同センターでは需要に見合った採血により、昨年4月から血漿成分献血を中止した。

 献血者の安定確保に向け、同センターは「日曜の買い物客が多い街頭に移動献血車を振り向けるなどして、利便性を高めていきたい」(事業課)としている。(山崎大和)