2014年5月13日 (火) 掲載

◎江差線代替バス運行開始

 JR江差線の木古内—江差間の廃線を受けて12日、函館バス(森健二社長)による代替路線バスの運行が始まった。廃止された10駅の区間に停留所を22カ所設置。鉄道と同じ1日6往復を運行し、沿線住民の足を確保する。

 乗客定員32人の車両を新たに3台導入。車体には沿線3町のゆるキャラ「キーコ」(木古内)、「カミゴン」(上ノ国)、「しげっち」(江差)が描かれていて1台ごとにメーンのキャラクターが違う。

 12日は、木古内駅前のバスターミナルで記念セレモニーが行われ、同社や沿線自治体の関係者ら約200人が集まった。

 森社長が「地域の皆さまの生活を支えてきたJR江差線の歴史をしっかりと引き継いでいきたい」とあいさつ。沿線自治体を代表して木古内町の大森伊佐緒町長が「新幹線開業後の大切な二次交通として活躍が期待される。安全運行に努め、多くの人に利用されることを心から願う」と述べた。

 関係者によるテープカット後、地元園児らが「江差線の心を引き継いで」と書かれた横断幕を掲げ、乗客を乗せたバスを見送った。

 バスで木古内に訪れた江差町の岩山忠夫さん(83)は「鉄道がなくなったのは寂しいがバスにはバスの良さもある。運行本数も変わらないのでほっとしている」と話していた。

 料金は木古内駅前—江差ターミナル間で1120円。(金子真人)



◎9万トン豪華客船が初入港

 米国の客船会社セレブリティ・クルーズが運航する豪華客船「セレブリティ・ミレニアム」(マルタ、9万1000トン)が12日、函館港に初寄港した。極東・太平洋横断クルーズの最中で、横浜出港後、初の寄港地。欧米人を中心とした2235人の乗客はシャトルバスなどで函館観光に出掛けた。

 6月に11万トン級の客船が入港するが、現時点では過去最大の客船で、乗客数も過去最高を記録した。白と濃紺に塗り分けられた船体は全長294メートル、全幅32・2メートル。最上階の12階は海面から50メートルほどの高さに位置する。2000年に就航したため「千年紀」を意味するミレニアムと名付けられた。

 船内での歓迎セレモニーで函館市の片岡格副市長は「過去最大の客船の大きさに圧倒され、美しさに魅了された。旅が安全で思い出深いものになるよう願っている」とあいさつ。初入港記念の盾やワイン、いか踊りの法被などが贈られた。コスタス・パッアラス船長は「初めての寄港をうれしく思う。温かい歓迎に感謝したい」と話した。

 同船は、同日午後7時にいか踊りに見送られ、室蘭港に向かった。室蘭の後はペテロパブロフスク・カムチャツキーを経由して、バンクーバーを目指す。また、9月にも函館寄港を予定している。(今井正一)



◎観光情報サイト「はこぶら」にスマホ専用版

 函館市公式観光情報サイト「はこぶら」は、スマートフォン(スマホ、多機能携帯電話)専用サイトを公開した。スマホからの見やすさや操作性を重視したレイアウトで、函館滞在中の人が必要とする情報掲載ページへ誘導する「函館なう!ナビ」を新設した。

 「はこぶら」を運営する「シンプルウェイ」(本通1、阪口あき子社長)によると、昨年度(2013年4月〜14年3月)の年間訪問者数は169万7018件で前年度と比べほぼ倍増した。今年3月の月間訪問者の4割超がスマホからのアクセスだった。

 これまでもパソコン向けのサイトをスマホで閲覧することはできたが、拡大する操作が必要となるなど、画面構成に課題があった。「函館なう!ナビ」では、「函館山ライブ画像」「観光コース」「イベント」などを情報別に9つのアイコンで分類。パソコン用と比べても全体の情報量は落とさずに、必要とする情報へのアクセスを容易にした。

 本年度中にはGPS(衛星利用測位システム)機能を利用し、現在地から最寄りの観光スポットや飲食店を表示する機能や、飲食店店をはじめとする約800件の施設情報を営業時間や入場可能人数などの希望条件で検索する機能を追加する方針。阪口社長は「機能性を高め、より多くの函館の情報を知ってもらうことで、函館観光の満足度向上につなげたい」としている。(今井正一)


◎海産物に函館ロゴ、第1号はイチヨ水産

 函館市は本年度から、昨年7月に作成した観光ロゴマークの商業利用を解禁している。一定の基準を設けて地元産の農水産物や加工品などに無償での使用を認めており、海産物販売のイチヨ水産(大手町、島崎周一社長)が“第1号”として水産物と加工品の2種類で許可を取得、地元で取れた海の幸で表示を開始した。

 ロゴマークは「函」の文字を顔に見立てたデザイン。当初は観光PRに用途を限って運用してきたが、企業から要望を受けて4月から商業利用もできるようにした。水産物は函館沿岸や近海、市内漁港で取れた産品を対象に、農産物・畜産物・林産物は原産地表示を満たすものに対して認めている。加工品はイメージアップやPR効果が得られると判断した製品に対して、市外の業者にも認める。

 同社は市水産物地方卸売市場で仲卸人を行っているほか、水産加工品の製造、販売を手掛けており、「函館にはいい魚が水揚げされており、ロゴがあれば末端の飲食店にも函館産の魚だと知ってもらえ、ブランド化にもつながる」(島崎社長)と早速申請。4月上旬に許可を得て直径9センチの円型シールをつくり、今月8日から使い始めた。

 12日には同市場で地元産のキンキとガヤ(エゾメバル)を仕入れ、箱詰めした魚の上にロゴを乗せた。キンキは関東、ガヤは関西方面に出荷するといい、島崎社長は「函館は食のブランド。アピールを官民一体で進めれば、観光客の入り込みにもつながっていくのでは」と期待を寄せた。8月ごろから水揚げが始まるブリには、エラの部分に貼り付けてPRにつなげたい考えだ。

 市によると、12日までに農水産品では水産物仲卸業者など5件、加工品は社会福祉法人など3件が承認を得ている。本来の観光PR目的では本年度に入り、新たに5社が承認を得た。(千葉卓陽)