2014年5月14日 (水) 掲載

◎多重債務相談240件 くらし安心課昨年度

 函館市市民部のくらし安心課に昨年度寄せられた多重債務相談は、前年度比26件減の240件となった。2009年度の開設から年々減少傾向にはあるものの、弁護士や司法書士に対応を引き継いだ案件では、自己破産を選んだ相談者が25件と最も多かった。同課は「一人で悩まず、気軽に相談してほしい」と呼び掛けている。

 同課のまとめによると、昨年度は248人から240件(電話対応を含む)の相談が寄せられた。このうち専門家に対応を引き継いだのは45件(18・7%)。多重債務の整理方法として自己破産を選んだ人は25件と、前年度からは19件減少。債権者と弁護士間で返済方法を和解する「任意整理」は13件で、前年度から4件減り、09年度(130件)からは10分の1に減少している。

 相談件数の減少は全国的な傾向。年収の3分の1を超える借り入れを禁じる、いわゆる「総量規制」を導入した改正貸金業法の施行から4年が経過して過払い金の請求相談が落ち着いていることや、法律事務所などによる出張相談会の増加など、相談窓口が多様化していることが要因とみられる。

 一方で、専門家に対応を引き継いだ人のうち、経済的に余裕がない人の弁護士・司法書士費用などを国が一時的に立替える「民事法律扶助」を利用した相談者が37人(82・2%)いた。民事扶助の人数は年々減少しているが、利用率は09年度の19・79%から右肩上がりで増加。同課は「収入が少ないという根本的な要因を抱えている市民が一定数いる」として相談を呼び掛けている。

 くらし安心課は本庁舎1階。相談時間は平日午前9時から午後4時まで。問い合わせは同課(TEL0138-21-3160)へ。 (千葉卓陽)



◎市電でめぐる函館100選 電子書籍版を発売

 函館市弁天町の出版社、新函館ライブラリ(大西剛社長)が、昨年出版した市電沿線の名所や歴史を紹介する「市電でめぐる函館100選」の電子書籍版を、4月下旬に発売した。大西さんは「タブレット端末などからの情報と同時に、市電やまちを楽しんでほしい」とPRする。

 本は、大西さんと箱館歴史散歩の会を主宰する中尾仁彦さんとの共著。昨年の路面電車の100周年に合わせ、電停周辺のまち並みや歴史を紹介する100の話題を選び、文章と写真、地図を多彩に使いまとめた。B5判で144n(税込1543円)あり、携帯性が悪いことで電子化を計画していた。

 端末を使用することで、地図や写真は見やすい大きさに拡大でき、文字の大きさも設定できる。「観光客が函館を見て疑問に思ったことを解決するような内容。インターネットの観光ガイドにはない情報をパッケージ化し、要点がよく伝わると思う」と大西さん。

 電子書籍版は800円(税込み)。書籍版と同じ内容で、インターネット通販大手・アマゾン社の電子書店「キンドルストア」で発売中。大西さんは「電子書籍が身近なものになることにつながれば」と話している。函館山ロープウェイの売店では、電子書籍版と連動するQRコードが付いた絵はがきも販売している。  問い合わせは同社(TEL0138-84-1620)へ。  (山崎純一)



◎2歳馬セリ 熱気 函館競馬場で初の市場

 サラブレッド2歳馬の「HBAトレーニングセール」(日高軽種馬農協主催)が13日、初めて函館競馬場で開かれた。今夏にデビューする2歳馬を対象した競り市場で、馬主ら関係者250人以上が足を運び、場内は威勢の良い声が響き渡るなど、熱気に包まれた。

 競りは改修中の札幌競馬場から函館競馬場に場所を変えて開催し、183頭が上場された。国内馬主のほか、海外からも訪れて競りに参加した。

 午前中は上場馬の調教を公開し、1〜2頭がダートコースを疾走。参加者は目を光らながらフットワークやタイムなどを確認し、能力を見極めた。午後からパドックで競りが始まると、目当ての馬に次々と手を挙げ、値をつり上げた。約130頭が落札され、最高額は2750万円。平均落札額は昨年より約80万円高の約620万円だった。

 日高管内新ひだか町から買い求めに来た30代の男性は「今年の2歳馬は調教タイムの良い馬がそろっていた。例年よりも雰囲気が良く、熱気のある競りだった」と話していた。 (小林省悟)


◎砂糖から化粧品 道立工業技術センター 地元企業と商品化へ

 道産砂糖を原料に生成したバイオポリマーの一つ「バクテリアセルロース(BC)」を用いた化粧品を、道立工業技術センター(函館市桔梗町)と北大、東京工業大の研究グループが開発、地元企業と商品化する計画を進めている。BCは函館に生息するチガイソ、アオサなどの未利用海藻でも生成する技術を確立しており、海藻原料の化粧品開発も期待される。

 函館マリンバイオクラスター(中核機関・函館地域産業振興財団)、とかちABCプロジェクト(同・とかち財団)の連携成果。  砂糖は原料が調達しやすい一方、チガイソやアオサなどの海藻は採取時期が夏場に限られるため、供給面が課題。このため、まず砂糖で商品化に乗り出した。

 BCは微生物が作るセルロースで、研究グループは未利用海藻から微生物を介してBCを生成する技術を開発。砂糖からBCを生成する技術も既に確立されている。

 BCには保湿機能があり、道産生薬(江別市の農場で栽培)を配合することで薬効を持続させることができる。この化粧品を6月ごろから半年間、東京の美容外科クリニックで臨床試験(治験)し、皮膚への効果を確認する。結果が良ければ、今秋以降に都内クリックで販売、フランス、台湾、中国への輸出も目指す。

 マリンバイオに参画する函館の企業が化粧品の製造・販売免許を取り、市場流通させる予定という。同センターの小林孝紀主査は「ラインアップを増やすため、海藻を原料に化粧品を試作することも検討中」としている。(山崎大和)