2014年5月16日 (金) 掲載

◎「大間は道全体の問題」 工藤市長、知事と会談

 【札幌】函館市の工藤寿樹市長は15日、建設差し止めを求めて提訴した大間原発(青森県大間町)問題に関し、高橋はるみ知事と会談した。工藤市長は「大間原発は道南だけでなく、道全体の問題でもある」として提訴への理解を求めた。知事は「国が説明責任を果たすよう、道議会とも連携して取り組んでいく」としたものの、同原発の建設中止を求めていく旨の発言はなかった。

 大間原発問題に関し、市長と知事が直接会談するのは初めて。改行 知事は「函館や道南の住民の不安は理解できる。提訴直後に函館市から報告を受け、私自身も動かなければと思った」と切り出し、13日に経済産業省を訪れ、同原発のエネルギー政策上の必要性や安全性について、国が説明するよう求める要望書を手渡したと報告した。電源開発に対しては、今秋にも行うとみられる設置変更許可申請に関し、拙速な申請を差し控えるよう文書で要望したことを伝えた。

 その上で、道議会が3月に同原発の厳正な審査と説明責任を求める決議を可決していることから、知事は「市長とわたしが連携し、道議会とも連携しながら国や事業者にしっかり働きかけたい」と述べた。

 一方、市長は「国策だとして、上から強圧的に押しつけられることは、地域や市民を守る立場としては到底納得できない」と述べ、提訴に至ったこれまでの経緯や理由を説明。

 さらに「裁判はUPZ(緊急防護準備区域)の範囲でなければ難しい。函館が代表としてやっているつもり。渡島・桧山の全市町も応援してくれている」と述べるとともに、仮に事故が起きた場合、「函館だけでなく、日本海から太平洋側に風が吹くと胆振、日高や十勝まで(放射能が)行く。北海道全体の問題でもあると思う」と強調し、改めて理解を求めた。

 市は同原発の建設差し止めと原子炉設置許可の無効確認を求め、4月3日に東京地裁に提訴。初弁論は7月3日に開かれ、市長が出廷して意見陳述を行う予定としている。(千葉卓陽)



◎函館市植樹祭、園児ら出席

 第65回函館市植樹祭(函館市、市住宅都市施設公社主催)が15日、上湯川町の市民の森で開かれた。記念植樹として、ヤマザクラやサツキツツジを植えたほか、出席した市民代表者に記念苗木が贈られた。  植樹祭は国土緑化運動の中心行事として1950年に全国で始まった。函館市では「緑の週間」(15〜21日)を定め、毎年、式典を開いている。

 片岡格副市長は「緑地や街路樹、公園の整備に積極的に取り組んでいる。今後も苗木や樹木の育成には官民一体の取り組みが必要」とあいさつ。渡島総合振興局東部森林室の石井良夫室長は函館市内から集まった「緑の募金」が昨年度まで6年連続で道内市町村で1位となったことを報告。北海道森林管理局函館事務所の杉村茂所長が祝辞を述べた。

 記念苗木は、緑化モデル校の函館中央小、函館桔梗中の児童、生徒と公園近隣の旭岡保育園、おおぞら保育園園児に手渡された。

 長男蒼輔ちゃん(2カ月)のために誕生記念苗木を受け取った市内美原の堀卓実さん(35)、裕美さん(34)夫妻は「木と一緒にこの子も大きく成長してもらえたら」と話していた。(今井正一)



◎大妻高新校舎落成祝う

 学校法人函館大妻学園(西野鷹志理事長)は15日、函館大妻高オープンカフェで、昨年12月に完成した新校舎の落成祝賀会を開いた。約70人が新しい学習環境の実現を祝った。

 西野理事長が「木のぬくもりと日の光あふれる新校舎は、多くの人たちの支援のおかげと感謝したい」とあいさつ。学校法人大妻学院(東京)の花村邦昭理事長がお祝いを述べるとともに、「良妻賢母」「恥を知れ」を基にして、大妻教育を発展させる決意を語った。

 西野理事長が、校舎改築改修に貢献した4社の代表に感謝状を贈った。学校法人野又学園(函館)の野又肇理事長の発声で乾杯、食物健康科3年生が手作りしたいかめしや筑前煮、抹茶ロールケーキなど13品を立食形式で楽しんだ。池田延己校長が校舎内を案内したほか、帰りには食物部の生徒手作りのシフォンケーキを手渡した。

 新校舎は、昨年の創立90周年記念事業の一環として建設。鉄筋コンクリート一部3階建て、延べ約2141平方b。木を多用し、自然光を多く取り込んで開放的な雰囲気。隣接する西校舎の改修も3月末で終了し、総事業費は7億5000万円。(山崎大和)


◎江差線三セク準備協議会、8月1日に会社設立

 【札幌】北海道新幹線開業に伴い、JR北海道から江差線五稜郭—木古内間(37・8`)の経営を引き継ぐ第三セクター鉄道の開業準備協議会が15日、道庁で開かれた。事務局の道は三セク鉄道会社の経営計画案を示し、8月1日に道と沿線自治体が出資して札幌で会社を設立、沿線3市町から役員を派遣し、10月に社名を公募する方針を明らかにした。

 協議会には道の荒川裕生副知事、沿線自治体から工藤寿樹函館市長、高谷寿峰北斗市長、大森伊佐緒木古内町長が出席した。

 JRと道は4月30日、経営分離までに検査、修繕をJRが実施することや、鉄道資産譲渡額を16億円程度とすることなどで基本合意している。  協議会ではこれを踏まえた経営計画案を示し、開業準備費用で原案比1000万円減の5億7000万円、開業から10年間の収支不足額を35億円、道と沿線自治体の実質負担額を23億円と見込んだ。

 また、JR線との乗り継ぎ割引に関し、普通乗車券で平均50円割り引くとしたほか、定期券は三セク・JR双方で割引を実施。回数券では運賃上昇率の平準化を図るとした。

 三セク会社は7月の発起人会の後、8月1日に「北海道道南地域並行在来線準備株式会社」として札幌で設立。出資金2億2600万円で道から2人、沿線自治体から各1人の役員と、JRからの出向社員11人を含む職員15人の、計20人体制でスタートする考えが示された。公募で新しい社名を決めた後、来年夏をめどに本社を函館に移転する。

 協議会では、大森町長が「全路線での路盤整備をJRがしっかり行った上で、三セクに譲渡するよう協議してほしい」と要望。道は今月20日に有識者を交えて線路や路盤、トンネルなどの現地調査を行うことを明らかにし、「必要があればさらに調査する」とした。 (千葉卓陽)