2014年5月20日 (火) 掲載

◎ペリー古里の市長ら函館訪問 来航160周年記念行事

 ペリー提督箱館来航160周年記念行事に出席するため、ペリーの墓のある米ロードアイランド州ニューポート市や静岡県下田市の代表団など8人が19日、函館入りした。市役所を表敬訪問し、前夜祭で関係者と友好を深めた。

 来函したのは、ニューポートのハリー・ウィンズロップ市長、ロードアイランド日米協会のスペンサー・ヴァイナー会長、下田市ニューポートクラブの池谷淳(きよし)会長、はこだて観光大使で米在往の声楽家、石田雪子さんら。

 市役所には函館日米協会の加藤清郎会長らとともに訪れた。工藤寿樹市長は「函館にとって歴史的発展のきっかけとなったペリー来航160周年の年に来ていただき感謝します。両市の絆が深まることを期待します」とあいさつし、ウィンスロップ市長は「昨年、加藤会長が招いてくれたおかげで素晴らしい都市に来ることができた。私たちにとって歴史的瞬間」と述べた。ヴァイナー会長はロードアイランド州選出のジャック・リード上院議員からの親書を工藤市長に手渡し、両市長で記念品の交換が行われた。

 函館山山頂のレストランで開かれた前夜祭には工藤市長、両代表団、同協会のほか、函館港に入港中の米海軍横須賀基地所属のミサイル巡洋艦「シャイロー」の乗組員など約30人が参加。目前に広がる函館の夜景を見たウィンズロップ市長は「マンハッタンのように美しい」と話していた。



◎大間訴訟 市への寄付2000万円突破

 函館市が4月に東京地裁に提訴した大間原発(青森県大間町)差し止め訴訟に対する市への寄付金が、19日で2000万円を突破した。同日午前には、保守系政治家を支援している任意団体「政経懇話・谷地頭の会」の村上幸輝代表(73)が300万円を寄付し、工藤寿樹市長に目録を手渡した。

 市総務部によると、19日午後5時現在で560件、2193万2073円。内訳は口座振り込みが346件、1265万6893円、市への持参が125件、835万円、郵便書留が89件、92万5180円となっている。

 谷地頭の会は市内企業約100社が参加しているといい、今回は約35社から寄付金を集めた。村上代表は工藤市長との懇談で「市が立ち上がったので応援したい。子や孫に住みよい函館をバトンタッチしたい」と話した。工藤市長は18日に自民党の石破茂幹事長に大間提訴を説明したことに触れるとともに「ちょっとしたトラブルでも魚が売れなくなり、観光客が来なくなる」などと述べた。

 市は訴訟費用として本年度予算で391万円を計上したが、寄付金を訴訟費用に充てることで税金を使わない方針。寄付金の振込先は北洋銀行函館中央支店の「函館市大間原発訴訟寄付金」名義の普通口座(口座番号4187083)。現金書留の場合は〒040・8666、函館市東雲町4の13、函館市総務部総務課大間原発訴訟寄付担当宛て。同課への持参も受け付けている。(千葉卓陽) 写真=工藤市長に目録を手渡す村上代表(左)



◎市立函館病院改修工事 入札不調 市、来月再実施へ

 道南ドクターヘリの導入に伴う市立函館病院の改修工事の入札が中止となった問題で、函館市病院局は19日の市議会民生常任委員会(日角邦夫委員長)で、当初予定価格より1億9000万円程度の不足額が生じることを明らかにした。資材高騰や労務単価の高騰に加えて、設計を受注した業者によるミスが重なったため。27日の臨時市議会に補正予算案を提出し、6月に再入札を実施する考え。

 入札中止となった工事は、屋上ヘリポートからの患者搬送用のエレベーター増設をはじめ、高度治療室(HCU)の移設に伴う西病棟の改修などの建築主体工事。当初入札予定価格は3億7265万円(税込み)で、4月1日の入札には、共同企業体(JV)1組が参加を表明していたが「予定価格に収まらない」として辞退したため、関連の電気設備、機械設備工事とともに中止となった。

 同局は入札中止後に設計を担当した業者に見直しを請求。その結果、足場の工法の違いや、北海道の基準単価と市場価格の乖離(かいり)があった。さらに免震装置改修工事で、鉄筋や型枠、コンクリートの数量が正しく設計書に反映されていないことも判明。計1億9000万円程度の不足が生じるとしている。

 免震装置改修工事の設計書のミスは、JV側の指摘で把握。渡辺史郎管理部長は「設計業者の瑕疵(かし)は軽微とは考えられない」とし、病院局競争入札の要綱に基づき、この設計業者の指名停止処分を検討している。さらに、再発防止に向けた対策を講じ、関係職員も処分する考え。

 臨時会での補正予算可決後、6月に再入札を実施するが、当初予定より全体スケジュールに2カ月半程度の遅れが生じている。渡辺部長は「エレベーター設置工事を急いで進める工程を組み、ドクターヘリは早ければ2月中にも運航できるようにしたい。(再入札が不調となれば)本年度内の運航開始に差し障りが出る」とした。吉川修身局長は「入札不調となったことをおわび申し上げる」と陳謝した。(今井正一)


◎北方領土・択捉島水産会の事務所 65年ぶり函館に開設

 北方領土の択捉島で水産振興に取り組んだ択捉島水産会の事務所が、65年ぶりに函館に開設された。会員の元島民らが択捉島に持つ漁業権や不動産について、国からの補償を含めた調整を進めていくため、函館在住の駒井惇助さん(80)が活動を本格化させた。

 元島民にとって、北方領土に持つ権利の補償や何らかの措置は長年の課題。同水産会は、ロシア側の実効支配でできなかった1950年の漁業権更新や補償を国に求めている。島に持つ不動産は、領土問題の進展次第で代替地の措置や補償などが必要となる。

 日露首脳による領土返還交渉が進む中で、島の権利関係を整理。元島民らが所有する権利関係の文書、帳簿類、漁業関係の機材、写真などの資料は約270点に上る。

 択捉島水産会は1923(大正12)年、同島の紗那に本部を、水産物の集積地だった函館に出張所を置いた。駒井さんの父は同会の役員を務め、戦後は函館で引き上げ者の生活支援や商取引の決済をしていた。函館事務所は49年に閉鎖され、以来活動が休眠状態となっていた。

 領土返還運動にも長年尽力してきた駒井さんが2012年1月、同会の代表管理役に就任。自宅で同会の仕事をしていたが、4月に市地域交流まちづくりセンターの事務所ブースを借りて入居し、函館事務所とすることができた。

 択捉島に権利を持つ同会会員は現在86人だが、会員の高齢化が進み、実質的に活動をしている人は十数人。紗那にあった本部の建物は一昨年、解体されたという。

 駒井さんは「択捉島をはじめとする北方領土の主権回復が一番の念願で、かつてのように択捉で漁業を営みたい。一方で、領土問題解決の日に備え、権利関係の整理を進めて会員の団結を図りたい」と話している。(高柳 謙)