2014年5月22日 (木) 掲載

◎大間訴訟への追い風期待、大飯原発再稼働差し止めで

 福井地裁が21日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働差し止めを求める住民訴訟で、差し止めを命じる判決を言い渡した。大間原発(青森県大間町)の建設差し止めを求めて提訴している函館市や、住民訴訟の関係者も今回の判決内容を歓迎するとともに、今後の裁判への追い風となることに期待を寄せている。

 自治体として全国で初めて、原発の建設差し止め訴訟を起こしている函館市。工藤寿樹市長は「福島第一原発の事故後に提訴し、事故を踏まえての判決で、非常に大きな意味がある」と高く評価した。

 同市長は「周辺住民の不安は高まり、いろいろな疑問を持っている。国や事業者が危険性も含めて説明しなければならない。なし崩し的な建設、稼働は住民側として決して納得していないと理解してもらわなければ」と指摘。

 東京地裁での初弁論を7月3日に控える中、「今回の裁判内容を参考にし、期待した結果が出るように頑張りたい」と述べた。

 また、大間原発訴訟の会代表の竹田とし子さん(65)も「司法が住民意見を汲んでくれたのはうれしい」と喜ぶ。「これまでの住民訴訟は結論ありきで、原発は大丈夫という宣伝の中で敗訴判決が下されてきた。しかし、福島の原発事故以降、裁判官の考えも変わってきたと信じたい。世論の支持もあって差し止め判決になったと思うので、私たちもこれにならって大間原発を止めたい」と意気込んだ。(千葉卓陽、山崎大和)



◎美原の共同住宅、物置から白骨化遺体

 20日午後7時40分ごろ、函館市美原4の共同住宅の物置で、ビニール袋内に一部白骨化した男性の遺体があるのを函館中央署員が発見した。同署などはこの住宅の1階に住む男性(91)とみて調べている。死後かなりの時間が経過しているとみられるが、男性の年金が昨年12月まで引き出された記録が残っており、同署は男性宅に出入りしていた50代の女性から詳しく事情を聴いている。

 同署は21日に司法解剖したが、腐敗が進んでいたため、遺体の身元や死因、死亡時期は確定できなかった。今後DNA鑑定などで身元の特定を急ぐ。

 同署などは20日午前から、男性宅などを家宅捜索し、同日夜に施錠していた物置からビニール袋に入った遺体を見つけた。21日も男性の部屋などの現場検証を行った。

 同署が事情を聴いている女性は、男性の妻(04年に死亡)の子どもで、一時、男性と同居していたという。

 日本年金機構函館年金事務所によると、10年8月に同機構から指示を受け、年金受給者を調査した際、この男性と連絡がとれなかったため、12年12月、同署に相談していた。その後も職員が男性宅を訪問するなどして、一度だけ女性と会ったが、男性の所在は確認できなかったという。

 男性の年金は2カ月に1度、40数万円が支給されていた。男性の金融機関の預金口座には昨年末まで、金を引き出した記録が残っているという。

 住宅の管理人によると、男性は04年に女性と入居。06年に男性が入院し、08年ごろに一時退院した際に、女性が家に入れてくれなかったことを男性から相談されたという。「その後、(男性を)目撃したことはないが、女性が車で出かける姿を見たことはある」と話している。



◎事故で高次脳機能障害、真島さんが24日ライブ

 函館市白鳥町14の「マーキーズカフェ」オーナーの真島輝(あきら)さん(33)が、高次脳機能障害を抱えながら音楽活動に打ち込んでいる。店長で妻の章子さん(34)や音楽仲間の献身的なサポートを受け、ソロでライブができるまで回復、24日にも店内でライブを開催する。

 市内柳町で営業していた同カフェは、4月9日に移転リニューアルオープン。札幌のレストランでシェフ経験のある高島啓之さん(44)が料理を担当。

 3人はそれぞれシンガー・ソングライターとして活動。しかし、昨年3月、輝さんが胆振管内豊浦町で運転中に事故に遭い、右半身まひの後遺症を負った。輝さんと章子さんは結婚から3週間しかたっておらず、前日には高島さんと3人で初めて、市地域交流まちづくりセンターでライブを開催したばかりだった。

 高島さんは2007〜10年に、就労継続支援B型事業所「コロポックルはこだて」(宝来町)で指導員を務めていた経験があり、「料理をしながら、高次脳機能障害に関する知識を夫妻に伝えることができれば」と相談に応じる。

 事故後も音楽活動を諦めず、新店舗で新たなスタートを切った。店内ライブは第2・4土曜、満月の日の月3回(午後8時〜同10時)。輝さんは左手を使いアフリカ太鼓、ブルースハープを演奏するほか、リハビリを兼ねて歌も。

 4月下旬には、3人で市内の特別養護老人ホームも慰問した。章子さんは「寝たきり状態を想定していたので、ここまで回復できてうれしい。つえを付いて自立歩行、一人で入浴も可能になった」、輝さんは「障害があっても頑張っています」。

 ライブは、ワンドリンクを注文する。営業は午後5時〜同10時。日曜・祝日定休。問い合わせは同カフェ(TEL080・4046・7946)へ。(山崎大和)


◎色鮮やか稚児行列

 函館市仏教会(島潤二会長)は21日、函館市内でお釈迦(しゃか)様の誕生を祝う「花まつり」を開いた。函館仏教保育協会に加盟する市内8幼稚園、保育園の園児による稚児行列などが行われ、色鮮やかな衣装を身につけた子どもたちが釈迦の誕生を祝った。

 一般には、釈迦の誕生日とされる4月8日に開かれるが、函館市では寒さが緩むこの時期に行っている。

 この日は、小雨が降るあいにくの天気だったが、園児は保護者とともに、JR函館駅前から大門グリーンプラザまで元気よく稚児行列。続く法要では、設置された花御堂の誕生仏の前で、島会長があいさつ。その後僧侶に続き、各園の園児代表が誕生仏の頭上からひしゃくで甘茶を掛け、手を合わせた。

 最後は、認定こども園キッズサポートくにのはな国の華幼稚園の年長児、渋谷季羽沙ちゃんと山岸柚葵ちゃんが「お釈迦様の教えを守り、心優しい子どもになります」と誓いを述べた。(平尾美陽子)