2014年5月24日 (土) 掲載

◎水産・海洋センター公開、来月オープン

 函館市は23日、6月2日にオープンする函館市国際水産・海洋総合研究センター(弁天町20)を報道陣に公開した。回遊魚などの生態を研究するための大型実験水槽をはじめ、海水、淡水が利用できる実習室、学会開催可能な大会議室などを備え、産学官が連携して取り組むマリンサイエンス分野の研究拠点として活用される。

 2003年に策定した函館国際水産・海洋都市構想の中心施設として整備。本館(鉄筋コンクリート造一部4階建て、7543平方メートル)、海洋調査研究棟(鉄骨造2階建て、974平方メートル)など4施設の延べ床面積は8866平方メートル。総事業費は約45億円で約41億円は合併特例債を充当した。

 本館には1、2階計31室の研究室があり、道総研函館水産試験場、公立はこだて未来大、北大大学院水産科学研究院などの学術研究機関、函館や札幌、京都などの民間企業が入居。それぞれ漁業技術や海洋資源などの研究開発に取り組む。

 主な設備のうち、大型実験水槽は1階のエントラスホールからの見学が可能。水槽は幅10メートル、奥行き5メートル、深さ6メートルあり、水流を発生させることも可能で、イワシやイカといった魚類の生態、習性の観測、機器類の耐水圧実験などに用いられる。

 隣接する実験水槽室では取水棟でろ過した海水の利用も可能。このほかにも250人収容可能な大会議室、海水利用が可能な実習室、トド、アザラシなどの海獣類の解剖に利用する処理室などを備える。

 市国際水産・海洋都市推進室次長で市企画部の山崎貴史参事は「函館は海洋関連の産業で発展した。新たな産業や経済発展、地域活性につながる研究成果を期待したい」と話している。

 6月2日は関係者による式典が行われる。一般市民への開放は同3日からで、エントラスホール部分と4階の函館港を一望できる展望ロビーを見学可能。同日午後1時半からは「食とバイオ国際交流シンポジウム」が開かれる。(今井正一)



◎トマトで酢きょう発売、JA新はこだて

 【北斗】JA新はこだて(畠山良一組合長)は24日から、北斗産トマトを100%使った清涼飲料水「トマトde酢」を発売する。トマトジュースのコクと酢の酸味のバランスが絶妙。トマトジュースが苦手な人でもジュース感覚で楽しめる。

 昨年、試作品を作って一般の人にも試飲してもらったところ、評判が良かったため商品化に向けて試行錯誤を重ねた。清酒造りなどで縁のある田中酒造(小樽)に製造を依頼、初回は数量限定で100本。同JAはトマトジュースをソフトクリーム原料に使っており、飲料に使用するのは初めて。

 原材料はトマトジュース、砂糖、醸造酢、オリゴ糖、蜂蜜。同JAファーマーズマーケット「あぐりへい屋」(東前62)で販売するほか、25日と6月1日に函館競馬場で開く同JAの農産物即売会にも出す。

 1本210グラム入り300円(税込み)。同店の工藤寛生さん(31)は「果汁100%リンゴジュースで割るとまろやかさが増す。子どもにもジュースで割って飲んでほしい。今後もde酢<Vリーズの開発を検討したい」と話す。

 問い合わせは同店(TEL0138・77・7779)へ。(山崎大和)



◎五稜郭ガーデン来春開業、建設費上昇で計画ずれ込む

 まちづくり五稜郭(函館市本町、青田基社長)が本町に建設する複合飲食施設「五稜郭ガーデン」の開業時期が、当初計画の今年秋ごろからずれ込み、来年春になる見通しとなった。建設コストの上昇を受けて計画を手直ししたため。コンセプトは変えず、年内の完成を目指すという。7月には出店する事業者の公募を開始したい考えだ。

 本町9の建設場所は現在、コインパーキングとして利用されている。行啓通沿いの大型カラオケ店の裏手で、面積は1100平方メートル。市民をメーンターゲットとし、本町・五稜郭地区のにぎわい創出を図る狙い。総事業費は1億9000万円で、国の補助金を活用する計画。

 飲食店24店とサテライトスタジオなどコミュニティー機能を持つ2店の構成。一部2階建てで、施設全体を覆う大きな屋根が特徴。中央にはミニ広場も設置する。当初の計画では秋ごろのオープンを目指していたが、建設費が高騰したことから、設計やデザインを見直してコスト圧縮を図った。また、寒い時期の開業よりも春の方が集客が見込めると判断した。

 欧風料理をメーンとした多国籍グルメコートがコンセプトで、昼と夜の2部で営業する。青田社長は「初めて事業に挑むチャレンジ出店を10店ほどにしたい」とし、7月に公募を開始する予定。エントリー後に事業計画を審査し、出店者を決定する。

 青田社長は「五稜郭ガーデンをきっかけとして本町・五稜郭地区を訪れる人の総数を増やしたい。既存の店への誘客にもつなげ、相乗効果を生み出していく」としている。(松宮一郎)


◎市長「月内にも結論」、菓子工場計画難航で

 函館市の工藤寿樹市長は23日、定例会見を開いた。建設コストの高騰によるJR函館駅前の菓子工場やホテル建設計画の難航を受け、工藤市長は「官民問わず事業に影響が出ている。建設費が上がったことによる事業中断は残念。復興や東京五輪の整備でしばらくこの状況が続くとすれば、さらに影響が出ると懸念している」と述べた。

 工藤市長は駅前の市有地で菓子工場の整備計画を進めるペシェ・ミニョン(函館市湯浜町)の中沢美樹社長と21日に面会し、現状の報告を受けた。「事業費のオーバーは体力的に厳しいという話で、今月中には一定の結論が出るだろう」とした。仮に計画を断念した場合、「中途半端なもので妥協し、新幹線開業までに何かをつくるといった切羽詰まった気持ちはない。駅前・大門地区の集客、活性化につながらなくてはならない」と述べ、市有地の活用方法は白紙とした。

 一方、JR北海道のホテル建設計画凍結にも言及。「新幹線開業後、現函館駅周辺が寂れるのではないかと心配があった中で、ホテル計画はJRが現駅を見捨てていないという安心感があった」とし、「鉄道事業の安全対策が最優先でしょうから、現状況ではやむを得ないと理解している」とした。

 菓子工場、ホテル建設以外にも、駅前・大門地区では中心市街地活性化基本計画に基づき、旧WAKOビルの建て替え、駅前通の整備などの事業計画がある。工藤市長は「駅前・大門地区に人が集まる要素ができれば、民間投資を誘発できると考え、その兆しもあった。建設費高騰にぶつかり、民間も慎重になってきている。市が姿勢を見せることで、民間が追随するよう努力していきたい」と述べた。(今井正一)