2014年5月28日 (水) 掲載

◎函館市、通学路の安全に本腰 30日に対策会議設置

 函館市は市立小学校の通学路の安全対策に本腰を入れている。市教委などが2年前に実施した緊急安全点検に基づき、昨年度までの2年間で対策が必要な16路線中6路線で横断歩道やカーブミラーなどを設置、本年度も5カ所で歩道新設などを行う。30日には市教委を中心に関係機関が集まって「市通学路安全対策会議」(仮称)を立ち上げ、今後の具体的な取り組みを定めることにしている。

 国は2012年4月に京都府亀岡市で集団登校中の児童の列に乗用車が突っ込み、児童ら10人が死傷した事故をきっかけに、全国の自治体に緊急合同点検を要請。同年6月に市教委を中心に警察や保護者らが緊急合同点検を行っており、全46校から上がった78カ所の危険個所の中から、「横断歩道がない」など16路線で優先的に対策を施している。

 市教委や市土木部によると、12年度は土木部がカーブミラーを2カ所に取り付けたほか、警察が5カ所で横断歩道や道路標識などを設置。各学校もボランティアでの立ち番や指導強化に取り組んでいる。昨年度は上湯川、桔梗、中の沢の各小学校校区で計4カ所に歩道を新設し、本年度も継続を含めて5カ所に歩道を設ける。

 対策会議は、合同点検の実績を踏まえて今後も安全点検に取り組もうと新たに設置する。市や警察、学校関係者のほか、道路管理者や町会など計20団体で立ち上げる。

 初回は通学路の交通安全プログラムをまとめる方針で、市教委保健給食課は「改めて関係機関が連携し、引き続き通学路の状況調査を行っていきたい」としている。(千葉卓陽)



◎五稜郭公園 フジ棚みごろ 寒さ一転20度超え

 27日の道南地方は、冷たい風が吹いた前日から天候、気温とも持ち直し、最高気温は北斗で21・3度、木古内で21・0度、函館で20・3度を記録した。

 函館市の五稜郭公園では、二の橋付近にあるフジ棚の花が見ごろを迎え、鈴なりとなった紫や白の花が来園者を喜ばせている。

 同公園管理事務所によると、今年は例年より10日ほど早い5月20日ごろから開花が進んだ。フジ棚は高さ約3b、長さ約30b。頭上をdネルのように花が覆い尽くし、甘い香りで来園者を魅了する。堀に登って上から眺めるのも五稜郭ならではの楽しみの一つだ。同事務所は「6月初めまでが見ごろ」としている。(千葉卓陽)



◎変電所完成 新幹線開業へ準備着々

 【北斗】2016年3月の北海道新幹線新新函館(仮称)開業に向けて本道と青森で建設していた変電所が完成し、北斗市中野の新函館変電所で27日、道運輸局による検査が行われた。本年中に予定されている新幹線車両の試験走行、2年後の開業に向け、設備の準備が着々と進んでいる。

 変電所は、北電から送られる高圧の電気を新幹線用に減圧するための設備。鉄道運輸機構が建設し、JR北海道が運用する。JR北海道管内では本道側に3カ所、青森側に1カ所建設した。

 新函館変電所は新函館駅から7`ほどの場所にあり、2011年1月に着工。北電からは187`ボルトで送電され、変電所では2段階で変圧。架線には25`ボルトにして送電する。

 この日は道運輸局の職員3人が訪れ、実際に電気を通して変圧されているかを確認した。検査は30日まで行う。同社は「今後は通信設備や信号装置などが完成次第、順次検査していく」としている。

 新幹線車両は今年秋に本道に陸揚げされる予定で、12月から開業に向けた試験運転を行う。(松宮一郎)


◎紅藻「ダルス」活用に期待 食品加熱しても緑色保持

 道立工業技術センター(函館市桔梗町)が、道南に分布する紅藻の一種「ダルス」の素材特性を明らかにした。緑色化させると、高温で長時間加熱しても緑色が失われず、加熱殺菌する食品に緑色を添えられる。色合いのきれいなレトルト食品を食べられる日が来るのか—。

 27日、ロワジールホテル函館で開いた研究成果発表会で、同センターの木下康宣研究主査が報告した。

 ダルスは寒海性の海藻。紫色がかった紅色で、カナダや北欧では「海のパセリ」と呼ばれ、食される。日本では利用されておらず、収穫対象になっていない。コンブの養殖ロープに繁茂し、コンブに日が当たらないため除去。資源量は函館市南茅部地区だけで年間100dと推計される。

 生では赤紫色だが、一定条件でボイル加熱すると緑色になる。発現した緑色は120度で15分間のレトルト加熱を施しても良好な緑色を保持。法律上は120度で4分以上相当と定義されており、さらに過酷な条件で加熱処理を行っても緑色が残っていることが分かった。この特徴はコンブやワカメにはなく、陸上の野菜も持っていない。

 木下さんは「ダルスは世界的に生か乾燥で利用されており、ボイル文化は日本独自。ボイルすると、こういう特徴を持っていると知ったのは初めてと思われる」と話す。例えば、レトルトの親子丼で黄色の中に鮮やかな緑があれば価値が高まることが期待される。

 この成果はFOOMA JAPAN2014(国際食品工業展)=6月10〜13日・東京=でも、木下さんが口頭発表する。(山崎大和)