2014年5月29日 (木) 掲載

◎イカ漁 先行き見えず、燃油高問題などで

 道南スルメイカ漁解禁が目前となり、函館のイカ釣り漁業者は依然として燃油高問題に対する不安が払拭(ふっしょく)されていない。北上群の遅れを指摘する調査結果もあり、漁模様も相まって先行きが見通せないのが現実だ。

 漁業者は28日、イカ釣り機に釣り針を取り付ける作業を進めた。「漁よりも漁場(松前沖)までの往復に燃料を使う。出てみて商売にならないのなら、休むことも考えなければ」。山本光夫さん(65)は厳しい表情を見せる。

 函館市漁協(橘忠克組合長)の組合員が購入するA重油価格は1リットル当たり98・2円(税別)と高水準。山本さんは「燃油代は当面下がらないだろう。前浜でイカが漁獲できる8月ごろまで松前沖に向かうことになるのではないか」。

 道南スルメイカはここ2年不漁続きだったが、単価の上昇でカバーすることにより、漁業者は何とか食いつないできた。

 道総研函館水試(金森浩一場長)が今月18〜23日に松前沖〜秋田県沖で行った調査では、はしりの漁獲は近年では低い水準にとどまると予想。水産庁によると、日本海全体の資源量は前年並みの見通しだが、楽観はできない。

 佐藤豊次さん(64)は「ここ数日気温が上がって水温も上がるので、イカが来遊することを期待したい」と話している。(山崎大和)



◎函商高珠算部 全道V4

 函館商業高校珠算部(藤村園子部長、部員17人)が23日に帯広市で開かれた「第67回北海道高等学校珠算・電卓競技大会」で、両競技の団体競技と個人総合競技で優勝を飾った。10人が全国大会(8月3日・東京)への出場を決め、意欲をみなぎらせている。

 同校は珠算団体競技で4連覇、電卓団体競技でも2連覇、種目別競技でも7種目中6種目で優勝を果たす好成績を残した。

 日ごろの活動に加え、休日や部活後の自主練習、他校と合同練習するなどして大会に臨んだ。藤村部長(17)=3年=は「3年生は今回で最後ということもあり、昨年以上に熱を入れて練習してきた。部員全員で切磋琢磨(せっさたくま)してきたからこその成果だと思う」と話す。

 珠算団体競技で活躍した京野一砂さん(18)=同=は「今年は良い緊張感を持って臨めた」、西田珠華さん(17)=同=は「全国ではプレッシャーに負けず、自分にできることを頑張りたい」と笑顔。電卓団体競技のメンバー円馬沙彩さん(17)=同=は「全国は1位を目指す気持ちで挑む」、福士夢七(むな)さん(18)=同=も「弱点を克服し、みんなの足を引っ張らないようにしたい」と意欲。団体唯一の2年生部員、高橋孝太郎君(16)は「2年生でもやればできるというところを見せたい。先輩たちと一緒に頑張ります」。

 昨年の全国大会では珠算部門11位、電卓部門9位だった。「今年の目標はベスト5に入ること」と声をそろえ、顧問の谷口真一教諭(37)は「仲間との絆を大切にし、全国でも最高の力を発揮してほしい」とエールを送る。(虎谷綾子)



◎「大間訴訟基金」創設へ

 函館市は、国と電源開発(東京)を相手取り提訴している大間原発(青森県大間町)建設差し止め訴訟に関し、訴訟費用への寄付金の受け皿となる「大間原発訴訟基金」を創設する方針だ。寄付金の使い方を明確化するのが目的で、6月12日開会予定の定例市議会に関係条例案を提出する。

 市総務部によると、27日までに寄せられている寄付金は593件、2266万7313円。

 訴訟費用は年間300〜400万円かかるとされ、本年度予算には関係経費391万円を計上。市は訴訟費用を寄付金で賄うことにしており、現在までに寄せられている分で5年ほど賄える計算になる。

 通常、寄付金は歳入歳出外現金として保管し、翌年度分は市への歳入として扱う形となるが、市総務課は「寄付金も多くなってきており、基金を設けることでためておきながら、翌年度の経費に充当していく」としている。

 大間訴訟の弁護団は訴訟期間について「3年くらいで判決を得たい」としているが、裁判が長引く可能性もあるため、市は今後も募金を継続する。基金は裁判終了後に廃止し、お金が残った場合は市の安心・安全に関する施策に活用する考え。(千葉卓陽)


◎気軽にサッカーを、「なでしこひろば」注目

 【乙部】経験や年齢、性別などを問わず、サッカーボールを追いかけて心を通わす取り組みが、乙部町民体育館を拠点に行われている。日本代表女子の活躍、そして6月開幕のワールドカップ・ブラジル大会での日本代表男子の飛躍が期待されるなか、桧山でもサッカー熱が高まっている。

 日本サッカー協会が競技人口の拡大を提唱する「なでしこひろば」で、道南は乙部のみ。札幌のスポーツ普及活動に取り組む・NPO法人ReBra(リブレ)の三上恵司代表(45)が指導者となり、今年1月から毎月開催している。乙部のほか江差やせたな、函館などから参加がある。

 小中高生や主婦、男性会社員と幅広い世代が“1つのチーム”。ボールパスや腰を低くしての軽快なダッシュのこつなどを丁寧に伝授し、ゲームでは得点の度にハイタッチなどで盛り上がる。また、足がもつれて転んだり、背中にボールが直撃するなど“迷プレー”の続出で笑いが絶えない。

 25日には15人が参加した。江差高校2年の菊谷千里さん(16)は俊足を生かしてゴールを量産し「少年団でサッカーをやっていて、こういう場があるとすごくうれしい」と笑顔。三上代表も「サッカー経験の有無、上手下手にかかわらず興味を持って楽しむことが大事」と参加を呼び掛けている。

 次回は6月22日午前10時〜正午。参加料は小学生500円、中学生以上1000円。問い合わせは三上代表(TEL090・2058・4499)へ。(田中陽介)