2014年5月30日 (金) 掲載

◎道の駅の創作コロッケ売れ行き好調

 【厚沢部】道の駅あっさぶの飲食コーナーで並ぶ創作コロッケの売れ行きが好調だ。大型連休には爆発的な売れ行きで、材料確保が難しくなり、一時、販売中止も検討。しかし、関係者の情熱でイモをかき集め、「新ジャガが出回る7月下旬まで何とか持ちこたえたい」としている。

 人気のコロッケは4月29日から店頭に登場。町が100%出資する素敵な過疎づくり株式会社などでつくる実行委による創作料理コンテストの最優秀作品などを参考に仕上げた。

 焼酎用サツマイモ・黄金千貫(こがねせんがん)やアスパラなど厚沢部産の野菜をふんだんに「シンプルながら味わい深い」と早くも看板メニューに。  ゴールデンウイーク中は特に人気で、飲食店によると一日最大300個、連休期間を通して約2000個を販売したという。

 つくり手の町内の中国料理「彩風塘」の宮川朝広料理長らは連日、コロッケづくりに追われ、次の日に用意していたものを前倒しで出すときもあったという。

 材料のジャガイモ確保では町内の農家などを回り、協力を求めて仕入れた。関係者は「まさかこんなに売れるとは予想していなかった。材料探しも大変で、本当に皆で努力して走り回った。何とか間に合いそう」とほっと胸をなでおろす。

 野菜コロッケは150円、“焼き鳥”コロッケは200円。特製ジェラートやソフトクリームなどもある。(田中陽介)



◎中学生が鯨族供養慰霊塔を清掃

 6月6日に称名寺で開かれる鯨族供養慰霊祭を前に、船見町の鯨族供養慰霊塔で29日、清掃活動が行われた。函館西中学校の生徒や市職員など約20人が一体となり、塔周辺の清掃に当たった。

 同塔は近海で捕獲された鯨類の供養を目的に、1957年に建立。2004年からは毎年慰霊祭が開かれており、併せて清掃活動も実施している。同塔の保存活動をしている「よみがえる箱館丸の会」の澤田石久巳会長(65)は「清掃を通じて塔への理解を深め、子どもたちに命の大切さを知ってもらいたい」と話す。

 生徒らは鎌などを手に草刈り作業に取り組んだ。また、セミクジラをモデルにした像も水洗いし、強い日差しにも負けず、懸命に清掃に励んだ。毎年活動に参加している3年の山本ジュンナさん(14)は「学校の伝統行事なので毎回参加している。きれいになったので良かった」と笑顔。6月4〜6日の3日間、日没から午後10時までライトアップを予定している。(虎谷綾子)



◎イカ漁 序盤は低調予想

 道南スルメイカ漁の6月解禁を前に、函館国際水産・海洋都市推進機構(石尾清広代表理事)などは29日、北大水産学部で、今季の漁模様を予測する講演会を開いた。道南日本海(松前沖)への北上が遅れ、開始直後の漁獲は低水準となり、魚体も小型が多いと予想。日本海全体の資源量そのものは問題ないとの見方を示した。

 約200人が参加。北大大学院水産科学研究院の桜井泰憲特任教授は、序盤に松前沖で漁獲される「秋生まれ群」が、昨年10月の高水温で産卵がいまひとつだったと指摘。「全体に漁期がずれ込んでおり、早い時期に捕れず、遅くまで残るパターンが起きている」と述べた。

 水産総合研究センター日本海区水産研究所(新潟市)の木所英昭資源管理グループ長は、日本海の来遊量について「近年平均を下回り、前年並み」とし、漁期の開始時期は「前年よりも遅く、近年平均並み」と見通した。石川や新潟での漁獲物は、バラ入り中心で魚体が小さいと説明した。

 道総研函館水試の澤村正幸研究主査は、今月18〜23日に松前沖〜秋田沖で行った調査では、松前沖で漁獲がなく、秋田沖でも振るわなかったとして「漁期開始直後の漁獲は、近年では低い水準にとどまる」とした。資源量は比較的高い水準を維持しており、「群れの来遊に伴い漁獲は上向くと考えられるが、楽観はできない。漁場形成の良否が大きく関わっている」と強調した。(山崎大和)


◎函館駅前整備、菓子工場 事業中止

 菓子製造工場を核にしたJR函館駅前市有地の整備事業計画で、函館市とJR北海道、事業者の洋菓子製造販売のペシェ・ミニョンは29日、事業中止の確認書を交わした。当初計画規模では建設工事費で3億円の増加が見込まれ、全体の収支計画の見通しが立たなくなったため。市役所で開いた会見で、市企画部の谷口諭部長は「新幹線開業を見据え、中心市街地に新たなにぎわいを生み、魅力ある空間をつくる事業で、市民も期待していた中でこのような結果となり残念」と述べた。

 会見には谷口部長、JRの平川敏彦開発事業本部長、ペシェ社の中沢美樹社長が出席した。

 市は2012年、市とJR所有の約9900平方bの土地を活用した事業計画を公募。ペシェ社のみが応募し、13年3月に事業協定を締結した。計画では、工事期間1年間を含む26年間土地を借り、スイーツ製造を見学できる3階建ての菓子工場、飲食店、物販店10店が入居するテナント棟を整備。総事業費は11億5400万円を予定した。

 今年5月の着工に向け、準備を進めたが、震災復興需要などを背景に建設関連費が上昇しており、昨年秋ごろから事業規模の縮小を検討。テナント数を4店舗まで減らし、延べ床面積も4分の3程度として建設費を当初事業費程度に抑えたが、テナント賃料の収入減などの収支計画が悪化。土地の契約終了後の原状回復を含めた費用回収が困難となった。

 中沢社長は「大変残念。多少無理なところがあってもという思いもあったが、各方面に迷惑を掛けるのではないかと考えた」と中止の判断理由を明かした。

 今後の市有地活用について谷口部長は新幹線開業時期にはこだわらず、経済や建設の専門家、開発事業者らから意見を聞きながら条件整備を含めて再検討するとし、「状況を把握して協議していく」とした。平川本部長は「駅周辺の活性化は、函館市と取り組んできた。今後も単独では進めず、市と一緒に取り組む」と話した。(今井正一)