2014年5月31日 (土) 掲載

◎ツチクジラ初水揚げ

 道南日本海でのツチクジラの捕獲が解禁となり、函館港豊川埠頭(ふとう)に30日未明、今年初の水揚げがあった。6月30日までに10頭を捕獲する。

 操業するのは下道水産(網走市、下道吉一社長)の小型捕鯨船「正和丸」(15・2d)。29日午前4時20分に乙部港を出港。1つの群れ15〜20頭を見つけ、午後2時45分に乙部沖北西18`で1頭を捕獲。鮮度を保つため腹を割いて海水で冷やしながら曳航、26日午前0時10分に入港した。

 同社によると、雌で体長9・5b、体重10・8d。中よりもやや大きめのサイズという。接岸後、待ち構えた陸上作業員の誘導でクレーンでつり上げ、トレーラーに載せて市内の処理場へ運んで解体。肉は食用のほか、缶詰やつくだ煮など加工用途もある。改行 同社の小坂政明工場長は「群れが見えていたので、2頭目以降も順調に捕獲できそうだ」と話した。

 農水大臣許可による商業捕鯨で、国際捕鯨委員会(IWC)の規制対象から外れている。(山崎大和)

 佐藤豊次さん(64)は「ここ数日気温が上がって水温も上がるので、イカが来遊することを期待したい」と話している。(山崎大和)



◎厚沢部小児童、カワヤツメ8000匹放流

 【厚沢部】厚沢部小学校の4年生24人が30日、人工ふ化に成功したカワヤツメ8000匹を厚沢部川に放流した。1a弱の幼生を丁寧に放ち、「元気に育ってね」と見送った。

 厚沢部町河川資源保護振興会(坂本和晃会長)の協力で実施。人工授精は5年ほど前から同校で取り組み、2年前に当時の4年生が初成功。昨年は親魚が少なく、事業を見送った。今年は水温管理などを児童らが率先し、坂本会長は「カワヤツメの人工授精、ふ化の成功は全国でもここだけだと思う」と褒める。

 沼地に幼生を放流。3、4年は泥にもぐり込み一帯の栄養分で育つ。近海で3年ほど過ごし、7年後に体長45〜50aで遡上(そじょう)するという。改行 児童は「どのくらい戻ってきますか?」と質問し、坂本会長は「1%が戻ればいいほう」と答えた。

 笹森孔銘(こうめい)君(9)は「早く大きくなってこの川に戻ってきてほしい」。笹木佑良(ゆら)さん(9)も「長生きしてほしい」と笑顔。同振興会の西川由一副会長(60)は「子どもたちが古里の自然に触れる機会が大事」と話していた。

 カワヤツメの生態は未知な部分が多く、各地で激減する傾向もあり、厚沢部の取り組みは注目されている。(田中陽介)



◎受験生が熱心に情報収集、大学進学説明会

 函館新聞社は30日、ベルクラシック函館で大学進学説明会を開いた。受験生約140人が来場し、進路実現に向けて各ブースに足を運んだ。

 北海道・東北の大学・短大28校が参加。公立はこだて未来大や弘前大学、函館大学、札幌学院大学といった、幅広い地域の大学がブースを設け、学校の特色やカリキュラムの特徴、入試制度などを丁寧に説明していた。受験生たちは、大学担当者の話に聞き入り、質問するなどして、大学生活のイメージを膨らませた。

 社会福祉系の進路を希望している、市立函館高校3年の寺崎春香さん(17)は「どこに行くかまだ決まっていないが、集めた情報を元に考えていきたい」と意欲的。野呂星来さん(17)も「オープンキャンパスにも行ったけれど、あらためて話を聞けて参考になった」と話していた。(虎谷綾子)

 大間訴訟の弁護団は訴訟期間について「3年くらいで判決を得たい」としているが、裁判が長引く可能性もあるため、市は今後も募金を継続する。基金は裁判終了後に廃止し、お金が残った場合は市の安心・安全に関する施策に活用する考え。(千葉卓陽)


◎ツチクジラ召し上がれ、魚いち亭2日から提供

 ツチクジラ漁解禁に合わせ、函館市水産物地方卸売市場(豊川町)2階の魚市場食堂「魚いち亭」(佐々木博樹代表)は6月2日から、ツチクジラ肉をたっぷり使った竜田揚げ定食と照り焼き丼を提供する。

 函館水産連合協議会鯨(くじら)普及部会(利波英樹会長)が協力、30日までの期間限定でクジラメニューを出す。

 ツチクジラの赤肉は、ミンクやイワシクジラに比べ臭みがなく柔らかい。価格はどちらも600円(肉とご飯の大盛り800円)。

 利波会長は「クジラ肉は天然の貴重なタンパク源。毎年楽しみにしているファンも多い。捕る文化、食べる文化を継続していかないといけない」と話す。

 日曜定休。期間中4、11、18日は休市のため休業。午前7時〜午後2時。問い合わせは同連合(TEL0138・22・5804)へ。(山崎大和)

 次回は6月22日午前10時〜正午。参加料は小学生500円、中学生以上1000円。問い合わせは三上代表(TEL090・2058・4499)へ。(田中陽介)