2014年5月5日 (月) 掲載

◎母の日商戦 多彩な商品

 11日の母の日を前に、函館・道南のスーパーや専門店では、売り場を強化している。定番の花のアレンジやケーキ、エプロンなど多彩な商品をそろえ、お客のニーズに応えている。

 ダイエー上磯店(北斗市七重浜4)では、4月29日から例年の3倍規模の特設売り場を開設。花を中心に、化粧品やワイン、衣料品など幅広く扱う。母の日の似顔絵展も同時開催している。

 メーンの花は200点以上の鉢物に加え、プリザーブドフラワーやフラワーアレンジメント、造花のプードルブーケ、高額なコチョウランも。価格は1000〜1万円程度。また、2000円代のエプロンが人気で、誕生花をモチーフにした春らしい柄や、北欧調のショート丈がお薦めという。

 森敏男店長(57)は「母の日の贈り物が年々多様化してきており、ニーズに応えられる売り場になったと自負している。日ごろの感謝を込め、じっくりと選んでほしい」と話す。

 スイーツも人気。フランス菓子ペシェ・ミニョン乃木店(函館市乃木町1)では、母の日限定のミルフィーユデコレーションケーキ(2700円)を8〜11日に販売。オリジナルのイチゴショート生地をパイ生地で挟んでおり、2つの味が楽しめる。このほか、焼き菓子の詰め合わせギフトもあり、カーネーションをあしらった母の日用のラッピングも有料で頼める。小林舞店長(32)は「親しみやすい味なので、家族みんなでケーキを囲んで楽しんでほしい」としている。

 浅水フラワーガーデン(函館市昭和2)では、カーネーションをはじめ、ピンクやブルー系のアジサイ、クレマチス、ヒマワリなどを使ったアレンジが売れ筋。特に「Happy Mother’s Day!」と書かれたバルーンを使ったアレンジがお薦めで、3000円程度から用意。このほか、容器にもこだわったプリザーブドフラワー、花言葉が「永遠の幸福」を意味する青色系カーネーションも予約で入荷する。

 浅水由紀子専務は「感謝を込めて、華やかなお花をプレゼントしてほしい。多彩な花があるので、楽しみながら選んでもらいたい」と話している。(虎谷綾子、斎藤彩伽)



◎布目 看板のいか塩辛にしょうゆ味

 水産加工の布目(函館市浅野町、石黒義男社長)は1日、新商品「社長のいか塩辛 しょうゆ味」の全国発売を始めた。看板商品「社長のいか塩辛」の初の姉妹品で、しょうゆの風味を生かした自信作だ。同社では「ロングセラー商品に育てていきたい」としている。

 社長のいか塩辛は15年前に製造、販売を開始。パックは年間60万個、カップは100万個を販売する人気商品。いか塩辛は塩でつくるのが一般的。しょうゆ味は珍しく、試行錯誤を繰り返して完成させた。

 原料へのこだわりが特徴。イカは社長の―と同様、道産のマイカ、しょうゆは有機栽培の大豆を原料としたものを使用した。しょうゆの甘さとうま味、コクが引き立つように工夫。塩分は4%前後に抑え、絶妙な味に仕上げた。同社は「おかずとしてはもちろん、お酒のつまみにもぴったり。子どもや女性にも受けるのでは」とする。

 150c入りのスタンドパックで300円。売れ行きを見ながらカップでの販売を検討する。市内では一部のスーパーや百貨店、函館空港、朝市などで販売している。(松宮一郎)



◎スルメイカ漁解禁まで1カ月 燃油高続き 漁業者不安

 道南近海のスルメイカ漁解禁まで1カ月を切り、漁業者は燃油高の不安を抱えたまま漁期開始を迎えそうだ。価格が下がる要素が見えず、不安感が強い。一方、水産庁が4月末に発表した日本海での来遊見通しは近年(2009〜13年)平均を下回り、前年並みとしている。

 函館市漁協(橘忠克組合長)が組合員に販売するA重油価格は1日現在、前月から据え置いて1g当たり98・2円(税別)。依然として高値が続き、松前沖での漁に向けて懸念材料だ。

 同漁協は「松前小島付近まで片道5時間。1回の出漁で800〜1000gの燃料を使う。1g100円で換算して8〜10万円になる」と窮状を訴える。

 漁業者は現在、船体の汚れを落とし、ペンキを塗り替えるなど整備を進める。佐藤豊次さん(64)は「油代が高いので、漁期前は不安ばかり。漁に出て赤字になっては困る。農業のように、国の手厚い支援があれば」と話す。

 今季の日本海での漁模様はどうなるのか。同庁の発表では、5〜7月の来遊量は近年平均を下回り、前年並み。漁期の開始は前年より遅く、近年平均並み。魚体の大きさは前年と近年平均並みと予測している。

 道総研函館水試(金森浩一場長)の澤村正幸研究主任は「日本海全体の資源量は、ある程度いると思われる。函館での漁況は漁場形成にかかっている」と指摘。「表面水温が平年より1〜2度高く、このままの状態が続くと、来遊が早まる可能性もある」という。

 道南日本海への来遊状況は、同水試が17〜23日に試験調査船「金星丸」で行う調査結果を、漁期開始前に発表する。(山崎大和)


◎江差線 人どっと…廃線直前 連休でにぎわう

 【江差、函館】11日限りで廃線となるJR江差線木古内—江差間。ラストランを満喫しようと、この連休中も大勢の利用者でにぎわう。

 江差駅のホームには、列車の姿がなくても構内や駅舎などにカメラを向ける愛好家の姿が少なくない。列車が出入りするときは、ホームが利用客であふれそうな時もある。  同駅によると4月27日には215人がホームにあふれたという。JRは警備員を置くほか、町も臨時駐車場を用意した。下里聡駅長は「最後まで無事に運行し、皆さんの心に江差線を留めてもらいたい」と可能な限りホームに立って列車に手を振って見送る。

 4日に江差駅から乗り込んだ札幌市の山口道孝君(13)と和穂さん(10)きょうだいは「廃線を前に一度乗ってみたいと思っていた。木古内までの道のりを楽しみたい」と興奮した様子だった。

 函館駅のホームでも出発前に乗客が熱心に写真を撮影。大型連休を利用して遠方から来た人が多く、列車の姿を目に焼き付けていた。東京の大学生河谷晃介さん(21)は「廃止が決まるまではいつでも乗れると思っていたが、今回が最初で最後の乗車になってしまった。記念にゆっくりと写真を撮影しながら、列車の旅を楽しみたい」と話した。

 横浜市の大学教員鈴木義則さん(48)は「廃止はやはり寂しい。近くに住んでいればもっと乗りたかった」と残念がる。「湯ノ岱で温泉につかってから戻ってきます」と、列車に乗り込んだ。(田中陽介、松宮一郎)