2014年5月9日 (金) 掲載

◎昭和40年代の「江差駅」再現 ジオラマ制作

 【江差】JR江差駅に隣接する、江差運送の増田吉伸社長(58)と北大鉄道研究会の学生が、昭和40年代の江差駅周辺を再現するジオラマづくりに励んでいる。11日の江差線廃線当日に初めて展示する。増田社長は「近所の人に当時の雰囲気を懐かしんでもらいたい」と話している。

 ジオラマは縦1・35b×横3・6b。江差運送は江差駅での貨物の荷降ろし、積み込みを原点に1951年に開業し、増田社長も「幼少時から江差駅に親しみ、この駅とともに生きてきた。廃線は寂しいがこのジオラマを見て昔の思い出をいつまでも大事にしたい」。

 ジオラマづくりは増田社長の知人を通じて北大鉄道研究会とともに昨年6月から始めた。経費は増田社長が負担し、「学生の熱心な姿に感心する。模型づくりや色塗り、写真など各自の得意分野があって学生との交流も楽しい」と笑う。

 11日の展示は江差駅近くの同社車庫で。また住民有志の協力で昭和30年代後半〜50年代半ばの関連写真も飾る。

 ジオラマの完成は数年かかる見込み。増田社長は「忠実に再現するのに昭和40年代の駅周辺の建物の写真や資料がほしい。当時を知る人の助言もあれば」と協力を呼び掛けている。

 情報提供は江差運送(TEL0139・52・0373)へ。  (田中陽介)



◎市内で30年ぶり 本格的古本市

 札幌古書籍商組合に加盟する4書店による「棒二古本まつり」が8日、棒二森屋店(函館市若松町17)で始まった。約3万点の古書やCD、ビデオなどが会場に所狭しと並ぶ。13日まで。

 函館では約30年ぶりに開かれる本格的な古本市。古本市ならではの楽しさを知ってもらおうと、同組合に所属する三浦書房(三浦健太郎代表)を中心に企画した。以前はデパートの催事として人気の高かった古本市だが、現在ではインターネットの普及などもあり、開催されることは少なくなったという。三浦さん(38)は「多くの本の中から思いがけない出会いや発見があるのが魅力。古書店が減っている現状だからこそ、古本文化の継承や普及に努めたい気持ちもあり、函館の人たちの好みを踏まえつつ、次回の開催にもつなげたい」と意欲を見せる。

 4店が持ち寄った本は多彩で、専門書や児童書、漫画、小説など幅広く、映画のパンフレットや昭和期の雑誌などもある。中には北海道に関わりある本のコーナーや、北海道庁立函館高等女学校(現在の西高)の卒業アルバムなど、なじみ深い物も。安価で質の良い商品をそろえたといい、売り場をじっくりと眺め、お目当ての本を探す来場者の姿も多く見られた。広告を見て足を運んだという、七飯町の米地隆さん(82)は「こんな大規模な古本市を函館で見るのは初めて。掘り出し物は見つからなかったが、大変おもしろかった」と話していた。午前10時〜午後7時。 (虎谷綾子)



◎3月高卒 業況改善で高い就職率 求人数も過去10年で最高

 函館公共職業安定所は、3月に卒業した高校生の就職状況をまとめた。3月末現在の就職率は前年同期を大幅に上回る97・1%となり、97・6%だった1991年以来で最高となった。管内の求人数も過去10年では最も高い1・18倍となり、高校生の就職をめぐる環境は改善が続いている。

 過去10年の同時期の就職率をみると、80%台後半で推移。2013年3月卒業の生徒は92・1%と上昇。今年はさらに5・0ポイント上昇し、97・1%となった。同職安は求人の出足が好調だったと傾向を指摘。「業況の改善による採用意欲の高まりと、建設業を中心にこれまで採用を抑えていた企業が年齢構成を考慮し、若い人の採用に踏み切った」と要因を分析する。

 就職希望者は生徒数の減少で同7・4%減の871人に減少。一方、管内企業からの求人数は同2・1%増の1030人に増加し、過去10年で最多となった。就職者数は同2・4%減の846人。未就職者数は同66・2%減の25人で、過去10年では最も少なかった。

 産業別の就職状況は、建設業が同26・2%増の82人。卸売・小売業は同12・5%増の135人。サービス業は同38・3%増の65人だった。減少したのは製造業で同14・9%減の177人に。宿泊・飲食サービス業は同14・0%減の86人。医療・福祉も同15・2%減の106人だった。 (松宮一郎)


◎予想上回る津波判明 道が最新調査報告

 【江差】道が道内の日本海沿岸の津波浸水予測図の点検と見直しを進める中、桧山振興局で8日、最新の調査報告があり、道南の自治体と消防や自衛隊など関係機関の計63人が説明を受けた。

 道は北大名誉教授の笠原稔氏を座長にワーキンググループを設置。調査では津波堆積物調査で奥尻島および北海道日本海沿岸南部(上ノ国〜せたな)で現行の津波浸水予測を上回る高さの津波堆積物が見つかり、笠原氏は「これらの地域では(1993年の)南西沖地震以上の津波が発生した可能性がある。現行の予測図は直近の地震を基にしているが、最新の調査からこれを上回る複数の津波が判明したため、見直しが必要だ」と提言した。

 ハザードマップについて「より詳細な地形図との比較でまちの特性も合わせて、再度各自治体や集落単位で津波浸水予測図の設定作業をしてもらいたい。まちの特徴を踏まえ、その場所に必要な避難路と避難場所を」とした。

 結びに「自分がいるところの海抜を把握することが大事。より高いところ、逃げ場のないところでは鉄筋コンクリートの高建造物に。避難で助かった人は日々の備えや決断の早さが安全につながる」と述べた。 (田中陽介)