2014年6月10日 (火) 掲載

◎水産資源 絶やさない…函水高校生、育てた稚ウニ放流

 函館水産高校(三ッ石茂之校長)海洋技術科生産コースの3年生18人は9日、函館山裏付近の海にキタムラサキウニの稚ウニ3200個を放流した。生徒たちは豊かな水産資源に恵まれることを願い、稚ウニを丁寧に放った。

 昨年に続き2回目。授業の一環で、昨年11月から育成を開始。人工授精から始まり、同校実習棟で約20日間、平田大矢君(18)、佐藤俊輝君(19)、杉本智哉君(18)の3人が中心となって稚ウニになるまで管理。適切な温度管理や朝・夕の餌やり、水替えなど手間暇かけて育ててきた。

 同12月には、成長した稚ウニを同校海洋舟艇格納庫の大型水槽に移し飼育。放流日には、平均30_超に成長した。杉本君は「成長が止まったり、弱ったりしたときには心配だったが、ここまで大きくなってくれて本当にうれしい」。

 舟艇格納庫から稚ウニを回収し、船で放流場所に到着すると、生徒2人が海へ放流。稚ウニの扱いは函館市漁協を通じ地元の漁業者に提供する。

 平田君は「少しでも函館の海にウニが増えたら、苦労も報われる」と話し、小笠原涼太君(17)も「今回の実習を通じ、多くの体験ができた。今は小さいウニが、いつか出荷されるのが楽しみ」と笑顔。同科の楠木茂広主任(54)は「地元に還元できる実習。生徒たちが、生き物の大切さや養殖の重要性を知るきっかけになってほしい」と話していた。(虎谷綾子)



◎過去最大客船が初寄港 11万6000d「ダイヤモンド・プリンセンス」

 函館港入港客船で過去最大となる「ダイヤモンド・プリンセス」(バミューダ、11万6000d)が8日、初寄港した。約2200人の乗客を乗せ、午前7時40分ごろに接岸。あいにくの雨となったが同日深夜の出港まで、函館観光を楽しんだ。

 函館港入港客船で過去最大となる「ダイヤモンド・プリンセス」(バミュ同船はプリンセス・クルーズ社(米国)の豪華客船。船体は全長290b、全幅37・5b、全高62・5b、水面からの高さも54bで、高層ビルに匹敵する。横浜を2日に出港し、釧路、ロシア・コルサコフ、小樽経由で来函し、9日は青森、11日に横浜に戻る日程で、多くの外国人客も乗船している。港町埠頭にはオプショナルツアー用の観光バスがずらりと並び、横断幕を持った市民団体「カムカムの会」のメンバーが乗客を笑顔で出迎えた。

 函館港入港客船で過去最大となる「ダイヤモンド・プリンセス」(バミュ船内のバーでのセレモニーで工藤寿樹市長は「ようこそ函館へ。来航160年となったペリー提督の黒船と比べものにならないくらい大きく、感激しました」と歓迎。ミスはこだての八戸芹香さん、函館港湾振興会の兵頭法史会長らから花束や記念品が贈られた。グラハム・グッドウェイ船長は「雨でも街の魅力に変わりはなく、乗客、乗組員はこの美しい街を楽しむだろう」と話した。

 函館港入港客船で過去最大となる「ダイヤモンド・プリンセス」(バミュ姉妹で乗船している榎並志子さん(77)=愛知県=と林美子さん(67)=岐阜県=は「国内発着のクルーズは今回が初めて。荷物を持ち歩くことなくゆっくり過ごせ、船内はごちそうばかりで快適」と話し、バスで市内観光に向かった。

 函館港入港客船で過去最大となる「ダイヤモンド・プリンセス」(バミュ船内では市民向け見学会も行われたほか、終日、岸壁では多くの市民が足を運び、巨大な船体を眺めていた。同船は年内に計8回の寄港を予定し、次回は26日に入港する。(今井正一)



◎北斗出身の増野選手、陸上・日本選手権110b障害でX

 【福島】陸上の第98回日本選手権兼第17回アジア大会代表選考会(日本陸連主催)の最終日が8日、福島県のとうほう・みんなのスタジアムで開かれ、男子110b障害決勝で北斗市出身の増野元太選手(国際武道大3年)が13秒58(日本歴代6位)で優勝した。増野選手は9日に日本陸連が発表したアジア大会(9月19日開幕、韓国・仁川)の日本代表に選出された。

 同選手権で道南関係者の優勝は、1952年のやり投げで永易晴夫さん(旧函館巴小学校教員)が3連覇を達成して以来。ハードル種目では初。アジア大会出場は第2回(53年、マニラ)の永易さん以来の快挙。

 増野選手は函大有斗高3年だった2011年、岩手で行われた全国高校総合体育大会(インターハイ)で優勝し、さらなる活躍が期待されていた。関係者によると今年は春から調子を上げ、今大会では予選、準決勝を1位通過。決勝は昨年の覇者・矢澤航(デサントTC)を0・01秒差で破った。(山崎 純一)


◎進水式に拍手と歓声 函館どつく、本年度2隻目

 函館どつく(函館市弁天町)で9日、本年度2隻目の新造船「ワンダフル・エスダブリュー」の進水式が行われた。大勢の市民が見守る中、巨大な船体が海面に飛び出していった。

 新造船はパナマの海運会社「ワンダフル・ペスカドレス」が発注した全長175・5b、幅29・4bの木材兼ばら積貨物船。函館どつくが独自に開発した幅の広さと浅い喫水が特徴の船倉ボックス型。2月から建造を始め、7月下旬の完成、引き渡しを予定している。

 この日は市民ら約360人が見学に訪れた。作業員の「進水作業始め」の掛け声とともにサイレンが鳴り響き、船体が海に向かって動き出した。船主のくす玉が割られると、歓声と拍手が沸き起こった。

 総合学習の授業で見学した東山小6年の赤塚裕生君は「迫力があってとても楽しかった。また見たい」と満足そうに話した。(松宮一郎)