2014年6月13日 (金) 掲載

◎看板、ポスター…対応急務 駅名「新函館北斗」決定 

 北斗市に建設される北海道新幹線新駅の名称が「新函館北斗」に決まったことで、自治体や関係機関はこれまで作成してきたポスターや看板、印刷物の修正、変更に向けた対応が急務となっている。駅名の周知とともに、開業に向けたイベントやPR活動を積極的に進めていく方針だ。

 函館市は市役所本庁舎正面に掲げている看板をはじめ、公式封筒や函館アリーナのPRリーフレットなどで、これまでの仮称「新函館」を使用。他の団体と連携して作ったのぼりやパンフレットも数多い。

 市企画部は「庁舎の看板をまず直し、パンフレット類をどうしていくか早急に協議する」(政策推進課)と話す。市観光部は今春、「新函館」を入れた対外キャンペーン用のポスターを約200枚作っており、「冬バージョンを作成する際に修正したい」(観光振興課)としている。

 北斗市は市内10カ所に設置している「北斗市開業」と記された看板を、今秋をめどに新駅名を入れたものに変える。庁舎の出入り口に設置していた開業までのカウントダウンボードは新駅名を入れてリニューアルする予定で、12日にはボードを一端撤収した。

 本年度中に改訂する計画だった観光パンフレットは夏までに駅名を入れて発行。PR用に使っていたグッズなどはできるものから逐一改めていく。

 北海道新幹線新函館開業対策推進機構が「ようこそ! はこだてへ。」と書いたポスターを製作したのは今春。駅名問題が流動的だったこともあり、新幹線の路線図には「新函館(仮称)」を入れなかった。「観光客に歓迎の意を伝えることがメーンで、新駅名を入れたものを新たに作る予定はない」とする一方、新しく印刷物を制作する際には順次、駅名を入れてPRするという。

 函館国際観光コンベンション協会は、観光案内所などで配布している市内の観光マップに「新函館」が入っている。「今あるものを配布し、新たに作るタイミングで新駅名を入れたい」としている。  (千葉卓陽、鈴木潤、松宮一郎)



◎大漁で帰ってきます 中型イカ釣り船出港

 日本海でのスルメイカ漁に向け、中型イカ釣り船が12日、函館港を出港した。燃油高が続いており、高騰分に見合った豊漁と好値を願って岸壁を離れた。

 函館渡島いかつり漁業協議会によると、渡島管内の30d以上のイカ釣り漁業の許可隻数は14隻。今月4日に最初の船が出港、日本海でおおむね1カ月沖に出て加工原料となるイカを漁獲し、船内の冷凍装置で冷凍して函館港に水揚げ。来年2月まで北海道に向けてイカを追って操業する。

 この日は、イカ釣り漁業会社「天海」(西桔梗町、虻川幸城社長)の5隻が神事の後、石川県沖を目指して出港。幸雄丸(138d、乗組員9人)の斎藤保船長(58)は「燃油高への不安と豊漁への期待が交錯している。燃料高騰分だけ、イカの値段が良ければ」と話した。

 各船は家族らに見送られて色とりどりの紙テープが舞う中、「元気で大漁で帰ってきます」と出漁した。(山崎大和)



◎らっくる号に函館ロゴ提示

 函館市企業局交通部は、超低床電車「らっくる号」の9603号車に函館ロゴマークが入った広告の掲示を始めた。運転士の制帽をかぶせた交通部オリジナル仕様で、今月3日から運行を開始。乗車口近くの窓に片側1カ所ずつ張り付けて、電車を利用する観光客を歓迎している。

 同部では5月から車両前後にロゴマークを付けた系統板を採用。らっくる号は系統板を使用しないため、窓に大きく掲示した。広告の大きさは1b四方で、市観光部ブランド推進課によると、ロゴの使用例としては最大。同課は「目に触れる機会も多く、ロゴの普及に向けて宣伝になる」とする。

 ロゴの回りには歓迎の意を表すの文字と市電の観光利用を呼び掛ける文章を載せた。交通部事業課は「1日乗車券のPRと合わせて、電車の一番目立つところに掲示した。市民、観光客に関心を持ってもらえたら」としている。 (今井正一)


◎札幌の「北清」函館進出 市産業支援センターに入居

 函館市産業支援センター(桔梗町)内のインキュベーターファクトリーに6月から札幌市東区の「北清」(川井雄一社長)が入居した。北大水産科学院動物生理学研究室の浦和寛助教(46)=水産学=と連携し、深刻化する磯焼け地域に生息する未利用資源「やせウニ」を蓄養し、生食用とするための餌料開発、製造などを手がける。

 磯焼けは、道南の日本海側をはじめ、世界各地で沿岸地域の海藻群落(藻場)がなくなる環境問題で、浦助教は、海藻を餌とする「ウニの食圧」を要因の一つに挙げる。餌が少ない環境となる磯焼け地域のウニの生殖巣は食用に適さず、資源価値のない「やせウニ」となる。わずかな海藻の芽も食べ尽くすため、藻場が再生できない悪循環となり、環境悪化はウニ以外の漁業資源も影響を受ける。

 浦助教はこれまでの研究で、やせウニの生殖巣を生食に適した味や色、大きさに成長させる餌料を開発。水産残さを利用し「2〜3カ月の短期間で、苦みもなく、色の良いウニにすることができる」と話す。この餌を使った蓄養技術が確立されれば、未利用資源の高付加価値化、食用ウニの安定供給に加え、海の環境改善にもつながる可能性がある。

 廃棄物処理事業が本業で環境分野での新規事業開拓を進めている同社は、浦助教の研究シーズに着目し、餌料の生産拠点として同センターを市から借りた。餌料製造用の機械は今後設計に着手し、秋ごろの稼働を目指す。先行して隣接する道立工業技術センターの協力で餌料を生産し、今夏に浦助教と道南沿岸部で蓄養試験を実施する。

 また、浦助教は「ウニにはこれまで知られていなかったお腹の調子を整える機能があることが分かっている」と話す。予防医療分野での将来性が見込めるといい、同社はウニ由来のサプリメント開発も函館で手がける考えだ。

 同社の今村聖祐取締役市場開拓企画部長(55)は「未利用資源を利用した試みは、本業から離れたものではなく、事業を成功させたい。個人的にも好きな函館の街を活気づける一助となれば」と話している。  (今井正一)