2014年6月18日 (水) 掲載

◎函館長雨 観光・商戦・農業に影響

 梅雨のようなぐずついた天気が続く函館・道南では、観光施設の入り込みや夏物商戦、農業などに影響が広がっている。函館は17日も降水を観測、雨が12日間も連続して降った。いつになったら晴れるのか―。観光業者らは分からない空模様に悩まされている。

 函館地方気象台によると、函館は6〜17日に降水を観測。北海道付近が気圧の谷の中で大気の状態が不安定となったためで、「向こう1週間も曇りの日が多い」と気象台。20日に曇り時々晴れの予想が出ており、久しぶりに日が差しそうだという。

 函館を代表する観光名所函館山ロープウェイは17日も、山頂が断続的に分厚い雲に覆われた。同社によると、今月1〜15日の利用者は前年同期比27・1%減の4万2306人。同社の担当者は「6〜12日は昼夜問わず視界不良に見舞われた」と嘆く。

 ロープウェイ前で17日、客待ちをしていたタクシー運転手は「長雨でこの1週間(夜景を見るお客がおらず)夜は相当苦戦。6月は夏休み前ということもあり観光客が例年厳しい時期なので、今後に期待したい」と話した。

 棒二森屋(若松町17)では例年に比べ、半袖シャツや冷房機器などの夏物商品の売れ行きが伸びていない。雨だからといって傘など雨具の需要も鈍く、苦戦を強いられている。「6月初旬の暑い時期には夏物が出たが、その後雨が続いてしまい、気温も上がらず苦しい状況。今後、夏らしくなるのを期待するばかり」と願う。

 農業に影響も。渡島農業改良普及センターの担当者は「日照不足と長雨で、湿度が高く病気が発生しやすいので心配。雨が続くと防除ができないので、天気が回復次第、病害虫の防除をしっかり行うよう指導したい」と話す。(山崎大和、虎谷綾子)



◎市立函病の増改築工事 3社JV落札

 函館市病院局は17日、4月に入札中止となっていた市立函館病院のエレベーター増設と増改築工事の一般競争入札を行い、3社でつくる共同企業体(JV)が落札した。今冬からの道南ドクターヘリ導入に必要な工事で、同局は年度内の運航開始を見込んでいる。

 入札を行ったのは、屋上ヘリポートから患者を直接搬送するエレベーター1基の増設や、高度治療室(HCU)移設に伴う西病棟の改修工事。

 4月の入札時に参加意思を表明していた準大手ゼネコンなど3社でつくるJV(鹿島・高木・高橋)1者が参加。予定価格4億9552万円(税抜き)に対し、同JVが4億9550万円で落札した。関連する2件の設備工事も併せて入札が行われ、それぞれ落札者が決まった。

 同局は4月1日に予定価格3億4505万円(同)で入札を実施する予定だったが、同JVが予定価格では収まらないとして辞退したため、予定価格を再精査。資材高騰や労務単価高騰に加え、設計業者の積算ミスなどが重なり、改修事業全体で1億9000万円の不足が判明。5月の臨時市議会で事業費を上乗せした補正予算を可決し、同月29日に再公告していた。

 同局管理課は「ドクターヘリに必要な部分は来年1月末までに終わらせ、遅くとも3月には運航できる見通し」としている。(千葉卓陽)



◎江差追分や盆踊り…留学生が日本体験

 北海道国際交流センター(HIF)は17日、同センターで、第29回日本語・日本文化講座夏期セミナーの参加留学生を対象に、江差追分を学ぶ講座を開いた。

 江差追分会函館声徳会支部(内村徳蔵支部長)が講師を務め、江差追分やソーラン節のほか、津軽三味線、尺八、太鼓の楽器も紹介。約40人の留学生たちは、講師の歌や楽器の音色に聞き入った。また、江差追分の歌の練習や楽器を演奏し、日本の伝統文化に触れた。最後に「北海盆唄」を全員で踊り交流を深めた。

 米国出身のユンフォンさん(21)は「楽しかった。尺八は音が出せなくて難しかった」と笑顔。内村支部長が「一緒に、伝統ある民謡や楽器に触れ、踊りを楽しむことができてうれしい」とあいさつした。

 留学生は12日に来函、セミナーは14日に開講。日本語と文化を学び、8月9日にプログラムが終了する。(斎藤彩伽)


◎「嫉妬」テーマに本出版、産業カウンセラーの川村さん

 函館市在住で、産業カウンセラーとして活動している川村佳子さん=札幌ウィメンズカウンセリングオフィス所長=が、初の書籍「嫉妬のお作法」(フォレスト出版)を出版した。人間が一生付き合っていく「嫉妬心」をテーマにまとめており、「嫉妬心をどうプラスに変えるかを伝えたい」と話している。

 川村さんは函館と札幌を拠点に、7年前から企業や官公庁、教育機関などでメンタルヘルス関連の相談支援業務を行っている。

 「嫌がらせやママ友同士の悩み、社内の出来事など人間関係に関する相談を受けることが多かった」といい、労働環境やストレスを抱える人々に向けて書籍化を企画。カウンセリング現場の事例や、発達心理学に基づいた解説を交えて執筆し、約1年半かけて出版に結び付けた。

 本は「嫉妬の正体」「男の嫉妬、女の嫉妬」「人の嫉妬から自分を守る方法」など、計6章で構成。嫉妬心について「自分と他者を比較したときにわき起こって来るもの」と指摘し、嫉妬する人、される人の特徴や、他人からの嫉妬から自分を守る方法、嫉妬した時の対処法などを紹介している。

 川村さんは「労働環境の一番の悩みは人間関係で、嫉妬する側もされる側も悩んでいる。マイナスにとらえられがちだが、エネルギーに変えてプラスに生かしたいと思っている人に読んでほしい」と話している。

 定価900円(税別)。函館蔦屋書店(石川町)、文教堂書店函館昭和店(昭和1)、栄好堂美原店(美原3)で取り扱っている。(千葉卓陽)