2014年6月19日 (木) 掲載

◎江差の土蔵に交流の場 「皐月蔵チャミセ」来月オープン

 【江差】長年閉ざされてきたいにしえ街道の「旧江差日石土蔵」(姥神町18)が、町と住民らの手によって飲食・交流の場「皐月蔵(さつきぐら)チャミセ」として7月2日にオープンする。まちの一層の魅力向上や情報発信の拠点を目指す。

 土蔵はガソリンスタンドや商社の備品置き場などに使われていた4棟(延べ床面積317平方メートル)で、大黒柱の墨字から江戸時代に建築された可能性が高い。2年前に所有者から寄贈を受けた町が、昨年6月から平屋1棟(42・6平方メートル)の水回りや電気などを520万円をかけて整備した。このうち250万円は桧山振興局地域づくり総合交付金を活用した。

 運営は住民団体「江差いにしえ資源研究会」と「歴まち商店街組合」が担う。厨房や照明などの内装は両団体が主導し、同研究会が採択を受けた公益財団法人トヨタ財団の助成金(2年間で380万円)を内装費と関連事業に充てる。

 店名は「江差の五月は江戸にもない」といわれた北前船交易のぎわいにあやかろうと、4棟全体を「皐月蔵」、軽食の1号店を「チャミセ」と名付けた。

 チャミセの目玉は、地元で祝い事に振る舞う郷土料理「ケイラン」。鶏卵に見立てた甘いあん入りの白玉をコンブだしの吸い物に浮かべ、「塩味と甘みの絶妙な組み合わせを楽しめる」と関係者。岩のりソーメンや近所の人気店のはちみつ抹茶トースト、シフォンケーキもある(いずれも500円)。

 17日夜には関係者が集い、料理を試食。運営代表の室谷元男さんは「まちづくりは染み込みの運動。皆さんの足跡や笑い声など、思いが重なって歴史や交流が育まれる。ここを拠点に新幹線開業の効果につなげ、青森の半島交流にも力を入れたい」と話していた。

 オープン後の営業は水曜〜日曜の午前11時〜午後3時の予定。(田中陽介)



◎「準防火地域」見直しに着手 函館市議会

 函館市議会第2回定例会は18日も一般質問を継続、5氏が質問に立った。市都市建設部は、市街地での火災の危険を防ぐために都市計画で定めている「準防火地域」に関し、本年度から見直しに向けた現況調査に着手することを明らかにした。指定地域内では建築物の建設に一定の制約がかかることから、解除も視野に既存市街地への居住を誘導する可能性を探るのが目的。

 小林芳幸氏(公明党)の質問に答えた。

 準防火地域は1934(昭和9)年の函館大火後、建築物が密集している地域を対象に翌35年から指定が始まり、市街地の広がりに伴って順次拡大。現在は約716ヘクタールが指定されている。

 指定区域で木造2階建て住宅を建てる場合、外壁を防火構造とするほか、窓に網入りガラスを使用するといった基準があるため、小林氏は「住居系用途地域で指定していることが、既成市街地の居住促進を阻害している要因の一つでは」と指摘した。

 平井等都市建設部長はこれに対し「多くは指定から50年以上経過しており、建物の防火性能も大きく向上していることから、指定範囲見直しの必要性を判断するための基礎調査を行う時期にある」と答弁。

 その上で、本年度に住居系用途地域の防火・準防火地域に指定されている区域とその周辺で、木造建築物の防火性能に関する現地調査を行うとし、現在は明確に定められていない指定基準も明らかにしていく考えを示した。

 同部によると、現地調査は7月ごろから西部地区や中央部地区などで、古い木造建築物約2万戸を対象に行う予定。目視調査を行い、道立総合研究機構に分析を依頼し、見直しができるか検討する。同部は取材に対し「準防火指定が街なか居住の阻害要因になっているのであれば、少しでも排除したい」(都市計画課)としている。(千葉卓陽)



◎市議の見付氏擁立へ 民主8区総支部 道議選函館市区

 民主党道第8総支部(逢坂誠二代表)は18日までに、来年4月の道議選函館市区(定数6)の新人候補として、函館市議の見付宗弥(みつけひろやす)氏(44)を擁立する方針を固めた。22日に予定している支部幹部の会合で最終確認し、党道連への公認申請を決める見通し。

 見付氏は1969年、函館市出身。法政大学経済学部卒。金田誠一元衆院議員の秘書を経て、2007年、市議に初当選し、現在2期目。

 同支部では、次期道議選で現有3議席の維持を目標に掲げ、今期限りでの引退を表明した斉藤博道議(63)の後継候補の選定作業を進めていた。同支部と連合とでつくる政治戦略会議で見付氏を候補とする方針を固めた。同選挙区で同党からは、現職の高橋亨氏(60)、平出陽子氏(65)の再出馬が見込まれている。

 党道連は29日の臨時大会で道議選の1次公認候補の発表を予定している。

 同選挙区では現時点で、自民党現職の川尻秀之氏(68)と佐々木俊雄氏(64)、公明党現職の志賀谷隆氏(60)の出馬が決まっている。(今井正一)


◎舞台づくり着々 函館野外劇

 7月11日に開幕する第27回市民創作「函館野外劇」(NPO法人市民創作「函館野外劇」の会主催)に向け、五稜郭公園内で舞台づくりが始まっている。今回から採用する椅子席から見やすいように工夫を凝らしており、メーンステージは今月下旬に完成予定。

 昨年まで舞台を設置していた国の特別史跡・五稜郭跡の内堀の石垣が一部崩落。このため開催が危ぶまれていたが、文化庁から郭内での上演が認められ、箱館奉行所付近で開催することになった。

 新しい舞台は郭内の景観を意識しながらも、高さ約1・8メートルあり、観客席の前方だけでなく、後方からも見やすいように配慮。地面に設置する椅子席からの観覧を考慮し、劇の演出も一部変更する。

 18日はメーンステージの骨組みや板張り、照明を置くやぐら設営などの作業が進められた。

 同NPOの里見康彦事務局長は「堀がなく、水上舞台ならではの演出はできないが、その分、観客が一体感を味わえるような演出を考えている。今まで見た人にも、初めて見る人にも楽しんでもらえる野外劇にしたい」と意欲を見せる。メーンステージが出来上がり次第、練習に移る。

 同NPOでは、出演者やスタッフを引き続き募集している。対象は7月下旬から8月上旬にかけてのフラッグダンスの出演者や、野外劇当日の裏方スタッフら。問い合わせは同NPO事務局(TEL0138・56・8601)へ。(虎谷綾子)