2014年6月26日 (木) 掲載

◎箱館戦争の戦没者しのぶ、碧血碑で慰霊祭

 1869(明治2)年に終結した箱館戦争で戦死した旧幕府軍兵士の霊を慰める「碧血碑(へっけつひ)」(函館市谷地頭町)前で25日、慰霊祭が開かれた。同会会員や郷土史家、一般の約60人が参列。祭られている約800人の兵士を偲んだ。

 函館碧血会(大谷長道会長)が主催し、今年で146回目。

 箱館戦争後、新政府は旧幕府軍兵士を弔う事を禁止し、遺体は放置状態だったが、侠客・柳川熊吉らが集めて実行寺(船見町)などに埋葬した。このことを知った榎本武揚、大鳥圭介らと柳川が協力し、75(同8)年、碧血碑を建立した。旧幕府軍の運命が決した千代岡陣屋陥落がこの日(旧暦5月16日)で、1941(昭和16)年に同会の会合で法要日としている。

 この日は、実行寺の望月伸泰住職が読経する中、会員、榎本武揚の4代目隆充さん(79)ら来賓、一般の順に焼香、最後は地元の谷地頭保育園の園児が静かに手を合わせた。2年ぶりに参列した榎本さんは「箱館戦争で亡くなった人を慰めるのは榎本の子孫にとって当然のことで、できる限り足を運びたい」と話していた。

 終了後、大谷会長は「来年は碑の建立から140年の節目に当たり、会として事業を考えたい。若い世代が碑に集まって慰霊祭を伝えられるように力を尽くしたい」と話していた。(山崎純一)



◎旧イギリス領事館のバラ見ごろ

 函館市旧イギリス領事館(元町33)の洋式庭園で、彩り豊かなバラが見ごろを迎えた。園内は爽やかな香りに包まれ、初夏の訪れを告げている。

 庭園には、アンクルウォルターやロザンナ、羽衣(はごろも)など45種82株が植えられている。今月は曇天の日が続いたが、晴れ間が広がった21日ごろから一気に咲き始めたという。

 7月上旬まで見ごろが続き、同3、4の両日にはバラ講座(函館日英協会主催)の開催も予定されている。同領事館の木村武文マネジャーは「ようやく天気が良くなって、バラを見に来るお客さまも増えてきた。7月20日ごろまで楽しめるのでは」と話す。

 庭園は入場無料。午前9時〜午後7時。(山崎大和)



◎予算分割審査どう是正

 函館市議会は、長年の慣例で不適切な状態となっている予算審査方法の是正に向けた議論を進めている。一般会計補正予算案は所管事項ごとに3つの常任委員会に分割付託して審査しているが、議案不可分の原則に反する状態。25日に開かれた議会活性化検討会議(道畑克雄座長)では、新たに予算決算常任委員会を設置することなど、具体案が示された。

 議会事務局によると、1954年に示された地方自治法の解釈では「予算は複数の委員会で分割審査すべきものではない」とされている。分割付託の方式は、同法で56年に議員が所属できる委員会数が一つに制限(2006年に撤廃)されたため、全国の地方議会で慣例化したとみられる。

 ただ、委員会では予算案の修正案が提出できないことや、各委員会ごとに採決結果が分かれた場合、対応できない問題点がある。また、函館では、当初予算や決算審査は特別委員会を設置しているが、審査日ごとに委員の大半が交代する方式が慣例化。議案全体を把握した審査とはなっていない現状がある。

 検討会議では予算審査上の課題解消に向け、予算決算常任委の設置、既存の総務委への予算案付託などの案が示された。予算決算常任委の場合は、▽議長を除く全議員が所属し、分科会を設ける▽分科会を必要としない人数とする─の2案を今後の検討課題とした。

 一方、定例会会期中の日程変更も検討課題となった。現行は会期前半に一般質問、後半に各常任委員会で付託議案を審査し、最終日の本会議で議案を採決しているが、変更案では、前半に常任委、会期途中に議案を採決、一般質問を後半に組み込んだ。速やかな予算執行、条例成立など理事者側にも利点があり、議会事務局は「議決機関としての責務を果たすことにつながる」としている。

 このほか、委員会での議員間討議の在り方、理事者への反問権付与などの課題が示され、次回以降の検討会議で継続して意見を交わす。(今井正一)


◎市文学館、新装テラス一般開放

 函館市文学館(末広町22、藤井良江館長)は25日から、同館中庭のテラスを一般開放している。同日には、近隣の幼稚園や学童保育所の子どもたちを招き、文学館テラス読み聞かせ会を開いた。

 1993年にオープンして以来、ウッドデッキの老朽化が進み、近年は立ち入りを禁止していたが、入館者が落ち着いてくつろげる場所にしようと改修。四方を建物に囲まれたテラスは、ひっそりとした雰囲気で、穏やかな日差しと涼しげな風が吹き込む居心地の良い空間に仕上がった。

 読み聞かせ会では、函館朗読奉仕会ピッコロ(室田美保子代表)が、遺愛幼稚園の園児たち23人に「しょうぼうしゃのダッシュくん」など4冊を披露。柳川桜子ちゃん(5)は「1番を決められないくらい、どの絵本も楽しかった」と笑顔だった。

 テラスの開放は8月末までを予定しており、入館者は自由に入れる。飲食は禁止。同館では「入館者の皆さんに穏やかなひと時を過ごしてもらいたい。ぜひ足を運んでみて下さい」とする。入館料は、一般300円、学生150円、市内の小中学生は無料。(虎谷綾子)