2014年6月27日 (金) 掲載

◎菜の花酵母でパン、函高専が試作

 函館高専(岩熊敏夫校長)の学生3人が、菜の花酵母を使ったパンを試作した。同酵母を使った地酒が既に商品化されており、学生たちが別の活用法として考案。味の改良を進め、商品化を目指している。

 高専の小林淳哉教授が研究を重ね、菜の花から抽出した酵母を使った純米吟醸酒「函館奉行」が販売されている。

 今回は3人1組で課題解決に取り組む授業の一環として、物質環境工学科2年の藤山聖梨さん(16)、堀川智帆さん(16)、松田直貴君(16)がパン作りに臨んだ。

 研究では、酵母を増やして繁殖力旺盛な2種類を選定。パン酵母として働くかどうかを確かめた。1種類は悪臭が発生して適さず、もう1種類はパンとして成功。焼きたては香りも良く、フランスパンのようにかみ応えがあるという。今後学内アンケートで食味評価を行う。

 藤山さんと堀川さんは「パンが膨らんだときはうれしかった」と声をそろえ、さらに味の改良への意欲を高めている。

 パンの販売店舗を持つNPO法人ひまわり(函館市本通1、久保田豊滋理事長)も、高専から提供された菜の花酵母を使い、パンを試作中。小林教授は「菜の花を細かく切って生地に練り込んだパンはあるが、酵母で膨らませたパンは珍しいと思う。ひまわりとも連携し、商品として出せるところまで研究したい」と話している。(山崎大和)



◎「イカのまち函館」PR、市がポスター制作

 函館市は特産のスルメイカをあしらったポスターを制作した。イカ釣り漁船の集魚灯に照らされる海面や、七飯町方面から見た津軽海峡に浮かぶいさり火の夜景写真を背景に、泳ぐイカを配置し、「イカのまち函館」をPRしている。

 水産関係の流通事業者らの要望を受けて制作。農林水産部企画調整課は「イカをPRするポスターは久しくなかった。近年はイカ漁が振るわない面もあるが、市の魚でもあり、水産加工を含めてイカの街であることを市民の皆さんにも再認識してもらうきっかけにもなれば」とする。

 B2判カラーで1000枚制作し、水産関係の事業者などに配布。さらに1000枚を追加する予定。同課は「イカ料理を提供している飲食店や加工品を販売している土産品店などにも掲示してもらい、市内全体に広めていきたい」としている。(今井正一)



◎函館市 道内最多の人口減

 総務省は、1月1日現在の住民基本台帳に基づく人口動態調査を発表した。函館市の人口は前年比2967人減の27万3712人(日本人住民のみ)で、道内で最多の減少人数となった。渡島・桧山管内の18市町すべてで人口が減っており、少子高齢化や過疎化対策が急務となっている。

 全国の日本人人口は前年比24万3684人減の1億2643万4964人で、5年連続で減少。北海道の日本人人口は同2万9639人減の544万1079人で、16年連続の減少とともに、全国最多の減少数となった。人口が増えたのは札幌市や千歳市、苫小牧市など、179市町村中10市町村にとどまった。

 函館市は死亡数が出生数を上回る「自然減」が1883人、転出が転入を上回る「社会減」が1084人で、下がり幅がともに昨年を上回った。出生数は1737人で前年を上回った。

 年齢階級別では年少人口(0〜14歳)が2万8924人(全人口比10・5%)と全国平均(13・64%)、全道平均(11・67%)を下回った一方、老年人口(65歳以上)は8万1442人(29・75%)で全国平均(24・98%)、全道平均(26・85%)を上回っており、少子高齢化が深刻、顕著化している。

 北斗市の人口は前年比332人減の4万8235人で、自然減が235人、社会減が97人だった。町村部では七飯町が同38人減の2万8800人と、減少数が18市町中最も少なかったが、森町、八雲町は前年から300人以上減少。増加率では鹿部町がマイナス3・48%で、島牧村、夕張市、上砂川町に次いで全道4番目だった。

 函館市の工藤寿樹市長は24日に開かれた市町会連合会中央地区協議会との懇談会で、来年度予算で少子化対策に力を入れるとし、「市がやれる政策には限界があり、国が本腰を入れていない面があるが、半年かけて調査し、予算に反映させたい」と述べた。北海道新幹線開業後には企業誘致とともに、「東北や北関東をターゲットとした特産品の販路拡大策を進めたい」とし、雇用創出に取り組む方針を示している。(千葉卓陽)


◎「熊石産アワビ」実は韓国産、地元催しで販売

 【八雲】八雲町熊石地域で5月に開かれた「熊石あわびの里フェスティバル」(実行委主催)で、地元産と銘打って来場者に販売などしていたアワビ約2万個のうち、半分以上が韓国産だったことが26日、明らかになった。地元で養殖していたアワビが海水の異常低温で死滅し、販売量を確保できなかったため。実行委事務局の町は「これまで理解、協力していただいた皆さんの信頼を裏切るようなこと。心からおわびします」と謝罪している。

 町によると、フェスティバルの直前の5月12日から15日に実施した調査で、海中に養殖したアワビの8割が死んでいることが判明。急きょ函館の業者を通じて韓国産を仕入れた。取り扱ったアワビ1万9120個の約半数の9850個が韓国産だった。

 当日、開会宣言の際、「地元産に大きな被害が出て他地域から確保した」と説明したが、韓国産だったことは伝えず販売などを行った。

 町は「熊石特産のアワビの名に傷をつけてしまった。早い時期から万全の準備をするなど、このようなことが二度とないように再発防止を徹底する」としている。

 この不祥事に対して、渡島総合振興局は25、26の両日、原産地表示の疑いもあるとみて、日本農林規格(JAS)法に基づき、熊石総合支所を任意で調査した。