2014年6月3日 (火) 掲載

◎海の研究拠点開所 函館市国際水産・海洋センター

 函館市国際水産・海洋総合研究センター(弁天町)の開所式が2日、同センターで開かれた。関係者約300人が出席。工藤寿樹市長、高橋はるみ知事らがテープカットを行い、函館から世界に発信するマリンサイエンス分野における研究成果の創出を願った。

 市が2003年に策定した「函館国際水産・海洋都市構想」を推進する拠点施設。3つの海流が流れ込む地理的、自然条件と、学術研究機関が集積する地域全体の優位性を生かし、産学官の連携でマリンサイエンス分野の革新技術の創出を目指す。総事業費は約45億円。

 施設内の研究室には、道総研函館水産試験場、北大大学院水産科学研究院、公立はこだて未来大学をはじめ、民間企業を含めた10機関が入居。水産・海洋分野のさまざまな研究開発に取り組むことのできる実験設備を備える。開所式に合わせて大型実験水槽には近海で取れたホッケ50匹が放流された。

 式典で工藤市長は「函館の持つ優位性を生かし、国際的な水産海洋に関する学術研究拠点都市の形成を目指している。地域活性化につながる成果がより一層生み出されることを期待している」とあいさつ。高橋知事は「これまでにない恵まれた産学官の連携環境が実現した。北海道、日本の未来につながる新たなイノベーション創出に向け、大きな励みになる」と期待を込めた。

 また、自民党の前田一男衆院議員は「函館の文化と歴史は海とともにある。思いが結集したセンターの完成は意義深く、函館のさらなる発展が期待できる」と述べた。このほか、公明党の佐藤英道衆院議員ら、道内選出の国会議員が祝辞を述べた。

 3日から一般市民もエントランスホール、4階展望室など一部区域内の見学が可能。同日午後1時半からは「食とバイオ国際交流シンポジウム」が開かれる。(今井正



◎スルメイカ不漁 道南で初水揚げ 店頭に並ぶ

 道南スルメイカ漁が始まり、2日早朝、136`の初水揚げがあった。前年(9・8d)を大きく下回る記録的な不漁となり、漁業者は肩を落とした。群れの北上の遅れが影響したとみられ、燃油高も相まって漁を休む動きが出そうだ。函館市内では鮮魚店やスーパーに並び、市民が初夏の味覚に舌鼓を打った。漁期は来年1月末まで。

 1日夜に松前沖で操業し、水揚げしたのは4隻。通常は午前4時ごろ函館漁港に帰港するが、漁が振るわず2日未明に戻った船が多かった。イカ漁師の越野洋さん(62)は「初日なので赤字覚悟で出漁したが、魚体が小さく、数量も捕れないので帰って来た。青森で捕れていないと聞いており、案の定駄目だった。漁模様が良くなるまで漁に出られない」と嘆いた。

 午前5時半から市水産物地方卸売市場(豊川町)で「いけすイカ」の初競りがあり、1`当たり5000円の値が付いた。函館魚市場営業1部の小林太史次長が「水温の上昇とともに量が増えてくれれば」と話した。競り落とした仲卸業者「二階商店」の横山亜暁(あき)鮮魚部課長は「少ないながらイカがあって良かった」と胸をなで下ろした。

 はこだて自由市場(新川町1)のイカ専門店「富田鮮魚店」(富田貞雄社長)では同日、いけすイカを5匹1500円で販売。「水揚げが少なくて残念。漁獲が本格化するまで、もう少し待ちたい」と期待を込めた。(山崎大和)



◎「道南メディカ」の特徴学ぶ パラグアイから職員、市立函館病院で研修

 国際協力機構(JICA)の研修で来日したパラグアイ政府の厚生省職員3人が2日、市立函館病院を訪れ、道南地域医療連携ネットワーク「道南メディカ」の説明を受けた。

 一行は、5月26日から6月7日までの日程で、佐久総合病院(長野)や高橋病院などを訪問。市立函館病院では、下山則彦副院長が2008年から運用が始まった「道南メディカ」の特徴を説明。情報秘匿性、利便性などを特徴にあげ、持続するポイントとして「医者の患者に対する判断がしっかりしており、公開情報の質と量の高さやネットワークの形成・維持、理事会などの会合を地域へ公開していること」と話した。

 パラグアイは乳幼児死亡率、妊産婦死亡率の高さが問題といい、マリアテレサバラン公共衛生副大臣は「公民の連携は非常に大事で、技術力が地域の末端までいけるような取り組みは必要。妊産婦死亡率などの問題を解決するのは簡単なことではないが、プライマリーヘルスケアを通して健康を守っていきたい」と話した。(平尾美陽子)


◎駆け込み反動減 想定内 日銀支店5月金融経済動向

 日銀函館支店(中川忍支店長)は2日、各指標に基づく5月の道南地方の金融経済動向を発表した。消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減で主要小売店の4月の売上高は前年を下回った。ただ、減少幅は「想定内」という声が多かったことから、持ち直し基調の判断を据え置いた。会見で中川支店長は「人手不足から賃金上昇に向かう環境にある」と指摘し、好循環への期待を示した。

 4月の統計と5月末までのヒアリングをもとにまとめた。今回は主要項目すべての判断を据え置いた。「個人消費」は消費税増税による振れがあるものの、「横ばい圏内」とした。4月の主要小売店(10社)の売上高は前年同月比4・9%減と、4カ月ぶりに前年同月を下回った。

 家電販売はパソコンが堅調なものの、白物家電や薄型テレビで駆け込みの反動がみられるという。新車販売は前年を大きく下回ったが、「1、2月の駆け込みの分を食いつぶしていない」とした。中川支店長は反動減について「『想定内』『想定より悪くない』という声が聞かれる。業種でばらつきはあるが、6月までに影響は出尽くすのではないか」と述べた。

 また、「雇用」に関して「道南でも人手不足となっており、賃金が上がりやすい環境になっている」と指摘。「所得増、7月の賞与、支出増という景気の好循環に期待できる」とした。 (松宮一郎)