2014年6月7日 (土) 掲載

◎クジラの恵みに感謝、称名寺で供養慰霊祭

 道南日本海でのツチクジラ漁が始まり、函館水産連合協議会の鯨(くじら)普及部会(利波英樹会長)は6日、函館市船見町の称名寺で、鯨族(げいぞく)供養慰霊祭を行い、自然の恵みであるクジラに感謝した。

 今年で10回目。須藤隆仙住職の読経が響く中、約30人が焼香して祭壇に手を合わせた。南極海での調査捕鯨の中止を日本政府が命じられたことを受け、須藤住職は「クジラの国際的な状況は非常に厳しくなっている。感謝をあらためて思い起こし、クジラ問題が好転するよう祈りたい」と話した。

 利波会長は「クジラは貴重なタンパク源。クジラ文化を継承していきたい」とあいさつ。同部会副会長を務める北大大学院水産科学研究院の松石隆准教授と大学院生2人も参列し霊を慰めた。近くの鯨族供養塔前で記念写真も撮った。

 慰霊祭は調査捕鯨船が2004年に函館に寄港したのを機に、05年から始まった。ツチクジラ(捕獲枠10)は6日現在、2頭の水揚げとなっている。(山崎大和)



◎市立小中学校、給食に「和食の日」始まる

 函館市教委は6月から、市立小中学校の給食に「和食の日」を設ける取り組みを始めた。地元産の魚や野菜を使い、日本人の伝統的な食文化を知ってもらう趣向で、児童・生徒が和食ならではの繊細な味わいを楽しんだ。

 昨年末にユネスコが「和食 日本人の伝統的な食文化」を無形文化遺産に登録するなど、和食が見直されている機会をとらえて実施。米飯給食時に毎月1回行い、小中学校を10ブロックに分けて献立を作る。

 6日は的場中学校(高橋登校長、生徒326人)の2、3年生徒67人が一緒に食べる交流給食に和食が出され、山本真也教育長らが参加。教育長は「和食は自然からの恵みを大切にする。気に留めながら味わい、文化や歴史を考える機会にしてほしい」とあいさつ、栄養教諭の猪狩亜衣さんが、バランスが良く素材の味を生かしてつくる和食の良さを説明した。

 この日のメニューは米飯、牛乳のほか、ドンコのごま味噌汁、ブリの竜田揚げ、白カブとキュウリの香味あえの3品。生徒たちに「おいしい」と好評で、次々とおかわりする生徒も出るなど人気だった。

 岡河苑香さん(3年)は「魚はあまり食べないけど、ドンコが柔らかくておいしかった」とにっこり。小川翔大君(同)は「和食が自分たちにとって大事なものだと改めて感じた。もっと食べて、文化を残したい」と話していた。(千葉卓陽)



◎函館市、昨年度の観光客481万9000人

 函館市は6日、2013年度の観光客の入り込み数(推計値)を発表した。総数は前年度比7・1%増(31万8000人)の481万9000人で、リーマンショック以前の07年度とほぼ同数にまで回復。主要ホテルへの調査による外国人宿泊客数は過去最高の28万8215人となった。夏場の函館競馬ロングラン開催やGLAYの野外ライブ開催に加え、台湾からの観光客が大幅に伸びるなど、好材料が多かった。

 入り込み客数は交通機関別の利用者数を基に推計している。上期(13年4〜9月)は前年同期比7・1%増の325万2200人、下期(同10月〜14年3月)は同6・9%増の156万6900人で、すべての月で前年同月を上回った。

 交通機関別では、バス214・5万人、JR102・9万人、乗用車81・7万人など。事故や不祥事が相次ぎ、函館—札幌間の特急が運休、減便したJR函館本線は前年度比13・8%減少となったが、代替の交通手段が影響を打ち消した形となった。道外客と道内客、宿泊客と日帰り客の比率はそれぞれほぼ2対1で例年と同様だった。

 また、過去最高となった外国人宿泊客数は、同61・4%(10万9696人)増と大幅な増加。本年度からスタートした第4次の観光基本計画(14〜23年度)における訪日外国人宿泊数の最終年度目標数30万人にほぼ匹敵する数値となった。国別では、定期便で結ばれる台湾が同58・4%増の21万4448人で全体の74%以上を占める。次いで香港が1万4098人、中国本土が1万3589人、前年度から4倍近く数字を伸ばしたタイは韓国を抜いて4位に浮上し、8918人だった。

 市観光振興課の竹崎太人課長は「タイの伸び率は今後も期待できる。外国人客数は変動していくが、継続して誘致に取り組む。引き続き台湾をはじめ、(東南アジアの)イスラム圏の国も今後のターゲットになる」と話す。

 同課は本年度は観光に影響を与える大きなトピックがないとする一方で、16年3月の北海道新幹線開業に向けて南東北、北関東地域へのプロモーション継続、青函4市による周遊観光の促進などで、受け入れ環境整備に努めるとしている。(今井正一)


◎JR北海道、特急北斗8月から再開

 JR北海道は6日、出火事故を受けて運休していた特急北斗(函館—札幌間)4往復の運行を8月1日から再開する方針を固めた。同社が事故原因の調査をまとめ、エンジンの試験を重ねた結果、安全運行ができると判断。特急北斗が定期運行になることで、臨時列車3往復の運行をやめ、現状より1日1往復増の9往復18本となる。繁忙期の混雑解消や輸送力向上が期待される。

 同社によると、一連の出火原因はディーゼルエンジンに送る燃料を調整する部品「スライジングブロック」に過度な負担がかかり破損したのが、引き金となったと断定。負荷が軽減されるように同部品を改良し、エンジンの試験を重ねた末、安全が確認されたことから運行再開を決めた。

 昨年相次いだトラブルで、同社は昨年11月にダイヤを改正。事故前の札幌—函館間は11往復22本だったのに対し、一時は臨時列車も入れて7往復14本まで減車した。このため、週末や年末年始の帰省ラッシュを中心に例年以上の混雑となった。8月から特急北斗は5両以上の編成となり、現状より1往復増えることから輸送力が向上する。

 同社は「長い間、ご迷惑、ご心配を掛けた。今後は事故を起こさないように取り組んでいきたい」とコメントした。

 2012年9月から昨年7月にかけて出火、煙が出るトラブルが相次ぎ、函館—札幌間では昨年4月に八雲駅構内で停車中に発煙。7月には八雲町のJR函館線山崎—鷲ノ巣間を走行中の特急北斗14号から出火し、乗客約200人が避難した。この出火事故以降、事故車両と同じ型のエンジンを搭載した車両の運休を決めた。その後、学識者などの第三者機関を交えて対策会議を設置し、原因の特定などを急いでいた。(小林省悟)