2014年6月8日 (日) 掲載

◎さぶりメロン初競り

 道南ブランド「さぶりメロン」の初競りが7日、函館市青果物地方卸売市場であり、森町産特秀2玉に昨年と同じ5万円の高値が付いた。上品な甘みと果汁感が売りで、贈答用などに使われる。

 森産9ケース(1ケース2玉)が上場、初競りは昨年より11日早い。5ケースを出荷した森町白川の中澤秀樹さん(38)は「今年は日照時間が多く気温も高めに推移したので、生育は順調。昼夜の寒暖差があり、糖度、果汁とも十分」と話した。

 落札した丸上青果(西桔梗町)の豊嶋敦果実担当課長代理(41)は「他の有名ブランドに負けない道南ブランドとして育てたい」と意気込んだ。

 厚沢部町の「さぶ」と森町の「り」を取って命名し、販売は今年で7年目。両町18戸が生産する赤肉メロンのうち、糖度15度以上、1玉重量1・9〜2・1キロ、容姿やネットの張り具合が良好なものが、さぶりメロンとなる。赤肉の出荷は森が7月中旬まで、厚沢部が8月下旬から10月下旬まで続く。(山崎大和)



◎地酒「函館奉行」醸造へ豊作祈願 好適米「吟風」田植え

 今年誕生した函館の地酒「函館奉行」の原料となる酒造好適米「吟風」の田植えと豊作祈願祭が7日、市内米原町の水田で開かれた。生産者や醸造元、販売店などの関係者14人が豊作とともに、安定した地酒の生産を願った。

 地酒は昨年、休耕田だった亀尾地区の約8000平方メートルで生産された吟風を原料に、小西酒造(兵庫県伊丹市)が純米吟醸酒を醸造。同社の自社酵母のほか、函館高専の小林淳哉教授の研究グループが開発した菜の花酵母を用いた酒の計2種類を生産し、今年1月から販売している。

 昨年は3・2トンを収穫。自社酵母酒を720ミリリットル入り1700本、1・8リットル入り300本、菜の花酵母酒は1・8リットル入りを200本作っており、人気は上々。酒を取り扱うイチマス(湯川町1)の稲船正光専務は「菜の花酵母は残り50本程度しかなく、通常品も残り300本を切っており、予想以上の反応だった」と話す。

 今年も同じ水田を使い、橋田孝一さん(67)、寺本功さん(69)の生産者2人が3日から田植えを始めた。午前11時から行われた式典では神事に続き、小林教授や小西酒造の庄司明生営業本部長、市農林水産部の川村真一次長らが豊作を願って田植えを行った。

 新函館農協の指導を得ながら約4トンの収穫を目指しており、1・8リットルで約3000本の出荷を見込む。地酒生産を企画した道食品開発流通地興の谷沢広代表理事は「10月には穂が黄金色となることを願っている。函館奉行が北海道新幹線開業にふさわしい新しい地酒として、市民や観光客に飲んでいただく機会も多くなるのでは」と話していた。(千葉卓陽)



◎消費者相談が増加 救済額2500万円に 昨年度の生活センター

 函館市消費生活センター(若松町、小貫恭也所長)に寄せられた、昨年度の悪質商法や日常の消費生活に関する相談件数は、前年度比191件増の1670件(速報値)となった。受けた相談のうち、被害を未然に防いだり支払い後に代金を取り戻した救済額は2523万円に上っており、被害額(支払いに至らない例を含む)に対する回復率は65%となっている。

 同センターは2012年度から、相談対象地域を函館市のみから渡島管内2市9町に拡大。加えて同年度から助言や関係機関の紹介にとどまっていた業務内容を見直し、相談者と事業者との間に入ってのあっせんや、訴訟案件以外での法的判断などに取り組んでいる。

 寄せられた相談のうち、苦情は同286件増の1326件。アダルトサイトや出会い系サイトの不当請求など「放送・コンテンツ」に関する苦情が242件と最も多かった。

 このほか、健康食品を購入するよう電話で脅した後、勝手に送付して代金を請求する「送り付け」も64件あり、前年度から3倍増となった。アパート・マンション退去時の原状回復に関する過大請求への苦情も29件寄せられた。

 実際に被害に遭った人からの相談は214件あり、被害額は3866万円。このうち210件、2523万円を救済した。全相談件数に対して相談員が仲介、説得したあっせん交渉率は9%で、前年度から1ポイント減だった。

 救済額は前年度から約450万円減り、回復率は14ポイント減。同センターは救済額減少について「携帯電話やスマートフォンで取り引きを行い、トラブルの際に相手先が分からないケースが極端に多くなっている」と分析。友人や知人に頼まれて消費者金融でカードを作成し、借りた金とカードを渡して謝礼を受け取った後、支払い請求が自らに来る「名義貸し」の実例が増えたことも要因に挙げており「厳しい事案が増えた中で一定の成果は出ている」としている。

 同センターは本年度、多様化している悪質セールスへの対応を強化しようと、道警函館方面本部との連名で警告ステッカーを1000枚作成した。近く市内の地域包括支援センターを通じて、独り暮らしの高齢者に配布する予定で、小貫所長は「高齢者の玄関先にステッカーを張ってもらう取り組みを進めていきたい」と話している。

 センターは棒二森屋6階で、相談時間は午前10時〜午後4時(日曜日は午前11時から)。TEL0138・26・4646。(千葉卓陽)


◎道教大函館が記念式典 節目の100周年祝う

 創立100周年を迎えた道教育大函館校は7日、函館国際ホテルで記念式典を開いた。教員や来賓ら約230人が節目を祝うとともに、時代に応じた人材育成への決意を新たにした。

 函館校吹奏楽団による華やかな演奏で幕開け、担当の星野立子副学長は「新たに国際地域学科を設けるなど、さまざまな変化を遂げ今日に至ります。今後も地域に根ざす大学として、学生たちを教え育てる、より良い高等教育の場でありたい」と式辞を述べた。

 同窓会「夕陽会」の橋田恭一会長はあいさつで教員養成機能の存続を喜び、学生支援に意欲を見せた。来賓の本間謙二学長、工藤寿樹市長、成田祥介渡島教育局長がそれぞれ函館校の発展を祈った。

 式典に先立ち、同ホテルで記念講演会を開き、戦場カメラマンとして知られるフォトジャーナリストの渡部陽一さんが登場。「世界からのメッセージ〜希望ある明日のために」と題し、独特の口調とユーモアあふれる動作で会場を盛り上げた。

 渡部さんは、戦場で撮影した写真を通し世界の子どもたちの声を会場に届け、教育の重要性を強調。「学生の皆さんにはどんどん外国に飛び出し、たくさんのことを体験してほしい。必ず皆さんの大きな力、支えとなる」と力説した。

 函館校は1875(明治8)年に開校した函館小学教科伝習所が前身。幾度の変遷を経て、1914(大正3)年に北海道函館師範学校として正式にスタートした。(虎谷綾子)