2014年7月11日 (金) 掲載

◎函商生がゼリー考案、函館・札幌で販売へ

 函館商業高校(川眞田政夫校長、生徒590人)と五島軒(若山直社長)が、函館の夜景をイメージしたゼリー「函館ジュエリー」を共同開発した。七飯産リンゴの果肉と果汁が入った爽やかな味と、夜景のような光輝く色合いを表現したのが特徴。12日から函館や札幌で販売する。

 昨年、東京で開かれた「商業高校フードグランプリ2013」で、商品アイデア部門グランプリに輝いた同校卒業生の作品をもとに商品化を進め、約1年をかけて販売にこぎつけた。

 夜をイメージした黒色のゼリーに、彩り豊かな海藻ビーズが映える。大きめにカットしたリンゴのシャキシャキ感と夏らしい味が楽しめる一品だ。開発過程では、夜景ならではの色合いを出すのに苦労したという。色の濃さを変えるなど、試行錯誤を繰り返して完成させた。

 パッケージも卒業生のアイデアを採用し「その夜景食べちゃいたいっ!」とインパクトあるキャッチフレーズを付けた。改行 流通ビジネス科3年の葛西美咲さん(18)は「先輩たちが作り上げたものが商品化してうれしい。次は私たちの手で、多くの人に広めていきたい」と話す。

 130c入り292円。五島軒(本店、十字街店、イトーヨーカドー店、ダイエー上磯店)のほか、札幌の大丸北ほっぺ、北海道新発見ファクトリーなどで販売する。(虎谷綾子)



◎函大クッキー好評

 函館大同窓会(木村一雄会長)が「函館大学クッキー」を販売して好評だ。社会貢献の意味を込め、クッキーの製造と入れ物の木箱製作を地元業者に依頼。経費を除いた売り上げは同窓会の活動資金に充てる。

 函大生は卒業と同時に同窓会に入り、会費を納めており、今年3月末の会員数は9560人。しかし、少子化で入学者が減り会費収入も減っている。運営費を賄うため、昨年はキーホルダーを製作するなどの試みを進めている。

 今回は、同窓会事務局を務める高橋和将さんの発案でクッキーを開発。道産小麦を使い、地元の社会福祉法人かいせいの利用者が丁寧に焼き上げた。道産マツの間伐材を使った木箱は、函館少年刑務所に作業を依頼した。

 木箱に校章、クッキー(長さ9・5a×幅3・5a)には「函館大学創立1965年」と英字焼印。1箱に8枚入って価格は500円。

 初回生産した120箱は、今月5日に市内で開かれた同窓会総会で販売したところ、100箱売れた。市販はしておらず、今後学内での販売も検討する。高橋さんは「ソーシャルビジネス(社会貢献しながら収益も上げる事業)の形で、継続していきたい」と話す。問い合わせは函大(рO138・57・1181)へ。(山崎大和)



◎江差町長選折り返し、浜谷氏と照井氏が競り合う

 【江差】任期満了に伴う江差町長選(13日投開票)は10日で選挙戦を折り返した。現職で4選を目指す浜谷一治氏(69)と新人で元北海道新聞記者の照井誉之介氏(29)が激しく競り合い、ともに新人で元町議の横山敬三氏(70)と田畑豊利氏(58)が追う展開となっている。

 浜谷氏は、自治労など9労組の推薦を受けて組織戦を展開。高い知名度を生かして、遊説や主要地点での街頭演説をこなし、3期12年間の実績を強調。支持の拡大を図る。陣営幹部は「一丸となって最後まで取り組む」とする。

 照井氏は、主要組織を持たずに、若手自営業者らが中心の後援会の住民運動を展開。選挙カーをこまめに降りて有権者と握手を交わすなど、知名度を高めている。陣営幹部は「厳しい戦いだが、草の根選挙に徹する」とする。

 横山氏は、特定組織の支持や推薦、応援などを受けずに大衆に政策を呼び掛ける選挙運動を徹底する。遊説と街頭演説を精力的にこなし、町議としての実績を強調。陣営幹部は「江差の良識が問われる大事な選挙」とする。

 田畑氏は、前回選挙と同様、組織や支援団体を持たずに独自路線の選挙運動を展開する。比較的高い知名度と具体的な政策内容で、浮動票や批判票の取り込みを図る。陣営幹部は「公約をしっかり、わかりやすく伝えていく」とする。

 期日前投票は12日まで。投票日の13日は町内9投票所で午前7時〜午後8時。同9時半に開票作業が始まり、同10時半ごろには当落が判明する見通し。(田中陽介)


◎縄文遺跡群 世界遺産推薦見送り

 【東京】文化審議会の世界文化遺産特別委員会は10日、2016年度の登録を目指す世界文化遺産候補として「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎、熊本県)を、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦することを決定した。道南3遺跡を含む「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」の推薦は2年連続で見送られ、道などが目指していた16年度の世界遺産登録は不可能となった。

 縄文遺跡群は大船遺跡、垣ノ島遺跡(以上函館市)、鷲ノ木遺跡(森町)など18遺跡で構成。09年1月にユネスコ世界遺産センターの「暫定リスト」に登載され、昨年文化庁に推薦書案を提出している。委員会は非公開で行われ、同庁は縄文遺跡群など4件に関し「準備が整っていないと判断された」としている。ユネスコへは毎年1件ずつ推薦されている。

 本道と北東北3県、関係自治体でつくる縄文遺跡群登録推進本部の本部長を務める三村申吾青森県知事は「今後は国内外の専門家の助言や文化庁の指導を受けながら、早期にユネスコへ推薦していただけるよう全力で取り組む」、副本部長の高橋はるみ知事は「次回以降の継続審議となり、大変残念。引き続き北東北3県や関係市町と連携し、早期の推薦を目指して取り組みを進めたい」と、それぞれコメントした。

 また、函館市の山本真也教育長は「我が国として1年につき1件の推薦枠しかない事情もあるが、縄文遺跡群は必ず世界遺産に正式登録されるものと確信している」と話している。

 文化庁は昨年度、長崎教会群の推薦を決めたものの、政府は最終的に、内閣官房の有識者会議が選んだ「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」をユネスコに推薦している。長崎教会群はこの経緯とともに、他の候補地に比べて準備が進んでいたことから、本年度の推薦が有力視されていた。

 縄文遺跡群に対しては東日本全体に広がる縄文遺跡の中で、北海道と北東北に限定することを問題視する意見が出るなど、根本的な課題が解決されていないとの指摘がある。市縄文文化交流センターの阿部千春館長は「次に向けて、なぜ4道県なのかという点をしっかりと示していく必要がある」と話している。(千葉卓陽、鈴木 潤)