2014年7月12日 (土) 掲載

◎函館史 華やかに 五稜郭跡で野外劇開幕

 第27回市民創作函館野外劇(NPO法人市民創作「函館野外劇」の会主催)が11日、国の特別史跡・五稜郭跡内の特設ステージで開幕した。内堀から郭内に舞台を移した新たな函館の歴史絵巻がスタートし、初日は600人超の観客を、約400人の出演者らが作り上げたステージで魅了した。

 開会セレモニーで、同NPOの中村由紀夫理事長は「石垣の崩落などもあり、開催に至るまでの期間が短く一抹の不安もあったが、新しい試みにもチャレンジした。新たな挑戦をヒントに、今後も劇を続けていきたい」とあいさつ。

 オープニングには、かわいらしいコロポックルの踊りなどに加え、今回初めて取り入れられたプロジェクションマッピングで中空土偶「カックウ」が登場。会場は驚きや笑いに包まれた。

 これまで船が登場していたシーンでは、内堀がなく水が使えない分、船などを背景の巨大スクリーンに映して迫力満点に表現。また、客席と舞台が約15bと近く、箱館戦争の場面では、目の前で繰り広げられる殺陣に観客は釘付けになった。フィナーレは、出演者と一緒にペンライトを振り「星のまちHakodate」を合唱した。

 新たな開幕を迎え、里見泰彦事務局長は「初日がどうなるか心配もあったが天気にも恵まれ、観客も多く反応も思った以上に良かった」と安堵(あんど)の表情。しかし、来年以降の開催は、8月初旬に視察に訪れる特別史跡五稜郭跡保存整備委員会の判断に委ねられるという。里見事務局長は「私たちとしてはもちろん続けていきたい。まずは今回の公演を成功させるのが第一。チームワークで良い野外劇をつくっていきたい」と意欲を見せた。

 野外劇をめぐっては、今年3月末、舞台を設営していた内堀の石垣の一部が崩落。安全性確保のため、一時上演が危ぶまれた。しかし、同NPOは五稜郭築造150周年という節目の年であり、同所での存続を希望。舞台を移すことで、史跡を傷めないことや景観を乱さないことなどを条件に上演が決まった。公演は12、18、19、25〜27日、8月8〜10日。(虎谷綾子)



◎開業で商機つかめ 青函若手経営者が市内視察

 2016年3月の北海道新幹線開業を契機に青函圏の企業を結びつけようと、函館市は11日、日本政策金融公庫の青函両地域の取引先企業を招き、市内で視察研修会を行った。参加者は、視察・交流を通じてビジネスネットワークの拡大に手応えをつかんだ。

 視察には青森から8人、函館から9人が参加。業種は漁業、建設業、製造業などさまざま。港町ふ頭港湾関連用地や函館国際水産・海洋総合研究センターなどを視察した。同センターでは、市職員らが海洋都市構想などについて説明しながら館内を案内。参加者は実験水槽室や共用実験室などを見て回り、盛んに質問した。

 青森市の建設業鶴ヶ坂開発の長谷川能常務取締役は「函館の新幹線開業への準備の様子が知りたくて参加した。青森は新幹線開業のチャンスを完全に生かしておらず、今回の視察で参考になる点が多かった」と成果を話した。

 地元企業と他地域の企業が交流を図る「ビジネスマッチング」は市も力を入れている分野。市経済部工業振興課の干場俊雄課長は「実際にお互いの土地を見て触れ合うことで、新しい発想が具体的に生まれるのではないか」と期待を寄せた。(山田大輔)



◎JR過失は補修費負担 江差線三セク追加合意案

 北海道新幹線開業時に経営分離されるJR江差線(五稜郭−木古内間)で、道や沿線自治体でつくる第三セクター鉄道開業準備協議会とJR北海道が協議していた安全対策にかかわる追加合意案がまとまった。木古内町内で6月に起きた貨物列車の脱線事故を受けた対応で、経営分離後に事故の過失原因がJR側にあると判明した場合は同社が補修費などを負担することが盛り込まれた。

 11日に開かれた函館市議会の北海道新幹線新函館北斗駅開業に関する調査特別委員会(出村勝彦委員長)で市が示した。三セク鉄道会社は経営理念に安全性を最優先することを掲げて設立を予定し、4月にはJRが経営分離前に万全の安全体制を構築した上で、資産を譲渡することなどで基本合意している。

 追加案では、▽JRが第三者機関(鉄道総合技術研究所)による事故原因調査と、全区間の軌道点検、必要な整備を実施▽国土交通省運輸安全委員会の調査結果で、同社の過失が認められた場合、速やかな対策実施と、経営分離後に過失が判明した場合も同社の負担で対策を実施▽開業後に同様の事故が起きた場合、JRの負担で線路復旧を実施し、原因究明後に関係者間で精算する─などとした。

 15日に市内で開く準備協議会で審議する予定で、市企画部の谷口諭部長は「現時点で考えられる対応としては妥当。運輸安全委の調査が速やかにまとめられるよう要望する」とし、新幹線と三セク鉄道の同時開業するスケジュールには変更がないとの認識を示した。(今井正一)


◎夏の交通安全運動始まる

 夏の交通安全運動(11〜20日)初日の11日、道警函館方面本部と函館中央署、函館西署は、同本部庁舎前駐車場で合同の出動式を実施した。本格的なレジャーシーズンを前に交通事故防止を呼び掛けようと、警察官約30人が士気を高めた。

 同本部の金丸和行本部長と函館方面公安委員会の石井直樹委員長が車両などを目視で確認した。石井委員長が「これからの時期に観光、レジャー型の交通事故が増えてくる。多くの市民に交通安全の大切さを周知し、一人でも事故を減らすよう努力してほしい」とあいさつ。金丸和行本部長は「下半期に交通事故増加が懸念される。気迫を持って、交通安全運動を乗り切ってほしい」と訓示した。

 同本部交通課の吉泉丞課長が指示し、パトカーの赤色灯を一斉に点灯。白バイ3台を先頭に、パトカーなどの車両14台が取り締まりやパトロールに向けて出発した。

 7月11日現在、同本部管内の交通事故は537件(前年同期比68件減)発生し、負傷者は664人(同92人減)。交通死亡事故は10人で2人増えている。(小林省悟)