2014年7月14日 (月) 掲載

◎江差町長に29歳照井氏 全国最年少首長に

 【江差】任期満了に伴う江差町長選は13日に投票が行われ、即日開票の結果、新人で元北海道新聞記者の照井誉之介氏(29)=無所属=が2896票を獲得、現職で4選を目指した浜谷一治氏(69)=同=に447票差を付け、初当選した。照井氏は全国で最年少の首長となる。

 浜谷氏の得票は2449票。いずれも無所属新人で元江差町議の横山敬三氏(70)は288票、田畑豊利氏(58)は111票だった。投票率は79・99%で、前回を8・28ポイント上回った。

 全国町村会によると、照井氏は京都府与謝野町の山添藤真町長(32)より3歳若く、全国最年少町長となる。市長を含めても岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長(29)と並ぶが、照井氏は藤井氏より10日若い。

 照井氏は新地町の選挙事務所で小梅洋子後援会長らとともに万歳三唱。詰めかけた大勢の支持者を前に「若者5、6人で始まった活動がこんなに大きくなって勝利を勝ち取ることができた。江差はまだまだ元気のある町で、将来に希望が持てる町。何とかこの町を立て直したい」と語った。

 地縁や組織を持たない照井氏は、町内の若手経営者や女性層らが中心となった草の根選挙を展開。地域経済の低迷や閉塞(へいそく)感の打破に向け、町政刷新を訴えた。昨年発覚した学校給食組合の不正経理問題への対応の遅れなどを批判。選挙戦に入って一気に支持を増やした。

 浜谷氏は3期12年にわたる財政再建の実績を強調。現職の強みと組織力、自治労を中心とする連合系労組の推薦を生かして戦ったが、給食費問題の逆風が最後まで響いた。

 横山氏は「町政の信頼回復」を掲げ、給食問題への追及など町議の実績で浮動票と批判票の取り込みを狙った。田畑氏は前回に続き、独自路線の選挙を展開したが、支持が広がらなかった。

 当日有権者数は7240人(男性3405人、女性3835人)。投票者数は5791人。

 照井氏は東京都出身。早大卒。2008年4月に北海道新聞入社。同年7月から3年間、江差支局に勤務。14年4月に退社した。(田中陽介)



◎函館空襲から69年 椴法華住民の証言 冊子に

 函館空襲を記録する会代表の浅利政俊さん(83)=七飯町在住=が、函館市椴法華地区(旧椴法華村)で空襲被害を受けた当時の村民の証言を冊子にまとめた。同地区の住民の体験を記録した資料は珍しく、子どもたちの平和教育に利用したい考えだ。

 同会は40年近くかけて道南各地を訪れ、空襲体験者に被害状況について聞き取り調査を行ってきた。10年ほど前、浅利さんは村民だったという見知らぬ女性から「なぜ椴法華地区の空襲記録が少ないのか」と電話で問われた。今年5月に「ずっと気掛かりだった」という同地区の調査を本格的に始め、浅利さんらが体験者8人から証言を得た。

 冊子には道南の小・中学校、高校で唯一空襲で校舎を焼失した椴法華国民学校(現椴法華小)に通っていた児童のほか、村民の被害状況や戦争の悲惨さを訴える声が記されている。

 小6だった男性は、米軍機による爆弾や焼夷弾の攻撃を受け、海上でも米軍潜水艦が日本の輸送船を攻撃し沈没させたことを目撃。また、現在95歳の女性は、機銃掃射で妹と妹の娘が撃たれた生々しい体験を証言している。

 浅利さんは「椴法華地区での村民の声をまとめたものはこれまでなかった。冊子は市内の小・中学生に向けた平和教育の一つとして後世に残していきたい。戦争が『起きてほしくない』と考えるきっかけになってくれれば。まだまだ証言が足りないので、20人を目標に活動を続けていきたい」と話す。

 北海道空襲に詳しい山本竜也さん(函館地方気象台職員)がまとめた犠牲者名簿によると、椴法華では5人が犠牲となっている。(斎藤彩伽)



◎長万部町長に木幡氏初当選

 【長万部】任期満了に伴う長万部町長選は13日、投票が行われ、即日開票の結果、新人で前町議会議長の木幡正志氏(65)=無所属=が2211票を獲得し、3選を目指した現職の白井捷一氏(75)=同=に約367票差をつけて初当選した。投票率は83・84%で、前回より3・48ポイント下がった。

 大勢が判明した午後10時ごろ、木幡氏の選挙事務所は歓喜に沸いた。間もなく木幡氏が事務所に現れ、集まった大勢の支持者を前に「これは町民の勝利だ。次の世代に引き継げるまちづくりをするよう、頑張る」と抱負を述べた。

 木幡氏は、現町政に危機感を抱いた有志の町民グループ「長万部町を愛し未来のまちづくりを創造する会」の要請に応え、告示まで3週間余りに迫った6月14日に立候補を表明。25日に事務所開きし、急ピッチで臨戦態勢を整え選挙戦を迎えた。一部の団体から推薦を得たが、組織票に依存しない草の根活動を展開。中学生までの医療費無料化や高齢者グループホームの整備、災害時の避難路整備など公約に盛り込み、「チェンジ!」をスローガンに批判票の獲得を狙った。さらに知名度を生かし、支持を集めた。

 白井氏は今年3月の定例町議会で3選出馬を表明後、6月1日に事務所開きし、臨戦態勢を整えた。町商工会や漁協、農協など町内の主要団体の推薦を基に、2期8年の実績を訴え支持拡大を狙ったが、及ばなかった。

 木幡氏は1948年、長万部町生まれ。長万部高校定時制中退。87年に町議選初当選。2003年に町議会副議長、11年に議長就任。6月16日に町長選立候補のため議員辞職した。

 同じく行われた町議の補欠選挙(欠員2)は無所属の元職、長崎厚氏(66)、無所属の新人、浮田栄氏(71)が当選した。(鈴木 潤)