2014年7月15日 (火) 掲載

◎函館空襲69年、慰霊祭で犠牲者悼む

 函館空襲から今年で69年を迎えた14日、同空襲を記録する会(浅利政俊代表)が、函館市船見町の称名寺で第26回慰霊祭を開いた。遺族ら12人が空襲犠牲者の霊を慰め、記憶を受け継ぐことを誓った。

 境内にある「第二次世界大戦函館空襲戦災跡地戦災者慰霊碑」前で、同会の木村美保子さん(77)が碑文を朗読。参列者一人一人が焼香し、静かに手を合わせた。

 浅利代表(83)が追悼文を読み上げ「集団的自衛権と言うよりも『他衛権』を国是とするような暴挙に出ている。子どもたちが戦争に行くことのないように力を貸して」と述べた。須藤住職は「空襲という大惨事を風化させることなく、子子孫孫に受け継いでいきたい」と話した。

 函館空襲で父を亡くした千葉県市原市の無職、松本絹子さん(83)は「高齢化で参列したくても来られない人がいる。でも、会の活動を絶やさず続けていってほしい。戦争は絶対にやってはいけない」と平和を願った。(山崎大和)



◎列車火災想定、青函トンネルで防災訓練

 JR北海道函館支社は14日、青函トンネル(全長53・85キロ)内で、列車火災を想定した総合防災訓練を行った。青森の警察や消防も含め、8つの関係機関・団体から計約170人が参加し、迅速な避難誘導や消火活動に取り組んだ。

 今回が54回目。2012年以来となった竜飛定点の訓練では、函館発青森行き臨時列車(6両編成)が青函トンネル進入後に6号車のデッキから出火、消火設備のある同定点で列車を停車させ、2人のけが人が出たと想定した。

 煙を発見した乗客役のJR社員が非常ボタンを押し、車掌らが乗客を安全な車両まで誘導。消防隊員らが放水し、けが人を担架で搬送した。また、現場検証やトンネル内に設置した現地対策本部での情報収集も行った。

 同支社の鈴木理夫次長は「訓練で想定した白煙が車内に充満することは、今月6日のスーパー北斗18号でも起こった。関係機関と連携した良い訓練ができた」と話した。(能代俊貴)



◎宮崎さんが函館大火研究、被災者らに聞き取り

 函館大火(1934年3月21日)を研究している、慶応義塾大学名誉教授の宮崎揚弘(あきひろ)さん(74)=神奈川県在住=が14日に来函し、被災者らに聞き取り調査を行った。

 宮崎さんはもともとフランスの都市災害を専門的に研究。15年ほど前、日本の都市災害にも研究範囲を広げ、函館大火を対象に選んだ。

 2年ほど前、大火の話を聞く予定だった義弟の母(北斗市)が亡くなったことがきっかけで、本格的に調査を始めた。これまで2〜3カ月に1度、函館や青森の下北半島を訪れて体験者75人から当時の様子を聞き取ったほか、知内や青森県大間など遠方の目撃者30人から証言を得た。体験者を見つけるまで道行く人に根気強く声を掛け、家に招かれたこともあったという。

 この日は、小学校入学間際で7歳だった深堀町の高橋順一さん(86)宅を訪れ、大火の状況や思いを丁寧に聞き取った。高橋さんは「火の粉がボタボタと降り注ぐ中、祖母の手を握り、ランドセルを背負いながら逃げた」と思い返した。宮崎さんについて「遠くから何度も足を運んで調べていると聞いて驚いた。函館大火を熱心に研究し、世の中に伝えてもらって感謝している」と話した。

 宮崎さんは「当時の函館は危機管理がなっていなかった」と指摘。これまで研究してきた17世紀のフランス・トゥールズ市に比べ、函館は行政機関と市民の情報共有がなく、住民を逃がす仕組みが整っていなかったと分析した。「これまでの研究資料を2〜3年掛けてまとめ、函館大火の本を出版する予定。80年前のことなので、時間との戦い。情報提供してくれる人がいれば、ぜひ連絡を」と呼び掛けている。宮崎さんの連絡先は(TEL046・275・8768)。(斎藤彩伽)


◎昨年度の市税収入324億円

 函館市はこのほど、2013年度の市税収入総額をまとめた。たばこ税の税源移譲や法人市民税の伸びが影響し、金額は前年度比1・9%、5億9489万円増の324億9417万円。収納率は同1・1ポイント増の92・5%で3年連続で上昇するとともに、記録が残る1975年度以降、過去最大の伸び率を示した。

 市税務室によると、昨年度決算見通しにおける市税全体の調定額は現年度分が325億2783万円、滞納繰越分が26億1127万円。収入額は現年度分で318億6180万円(収納率98・0%)、滞納繰越分は6億3237万円(同24・2%)となり、いずれも前年度を上回る収納率を確保した。現年度分が98%台となったのは1992年度以来で、滞納繰越分も2年連続で6億円台を維持している。

 収入の柱となる市民税は、個人が人口減少の影響などで前年度比5929万円減の111億1797万円だった一方、法人は同2億8076万円増の29億3633万円。金融・保険業や製造業の業績が好調に推移したことで収入を押し上げた。同室はこのほかに「リーマンショックなどで赤字を計上し、法人税割の納付がなかった事業者から納付が出てきている。株価上昇などで業績が上向いているのが大きい」とみている。

 また、たばこ税は同2億6613万円増の27億1774万円。国の法人税率引き下げに伴い、昨年度から道たばこ税の一部が市町村たばこ税へと移譲されたことが要因となっている。

 市は誠意が見られない滞納者に対する差し押さえの強化や夜間催告の実施、コンビニ収納など各種対策を継続して税収確保に努める方針。本年度当初予算では昨年度の動向を踏まえて321億1700万円の収入、収納率92・4%を見込んでおり、「これまで同様地道に取り組み、収納率向上に努めたい」としている。(千葉卓陽)