2014年7月19日 (土) 掲載

◎七飯産リンゴ ブランド強化 加工用蜜漬け「プレザーブ」開発、製造へ

 【七飯】七飯町の菓子製造販売、天狗堂宝船(千葉仁社長)と町果樹組合(宮田宏之組合長)は、国の農商工連携事業の認定を受け、リンゴを加工用に蜜漬けにするアップルプレザーブの開発、製造に乗り出す。使用するのは同町でしか生産されていない「ほおずり」など3品種。同組合から供給を受け、同社が製造から販売までを行う。販売先を町内と近郊の事業者に限定。地域全体で活用してもらい、町産リンゴの価値とブランド力向上を図る。

 同社は2016年3月の新幹線開業を見据え、同町産のリンゴを使った新しい土産品の製造を計画した。ただ、町内にリンゴを加工する業者がなかったことから同組合に相談。アップルプレザーブの製造について説明を受けた同社が製造に乗り出すことを決めた。

 アップルプレザーブは、菓子や料理に使えるようにリンゴを蜜漬けにした製品。同社では収穫したリンゴを消毒、洗浄した後に皮や芯をぬき、砂糖を入れて加熱。出来たものを冷凍貯蔵する。千葉社長は「リンゴ本来の味を生かすために砂糖以外は使用しない」とこだわりを見せる。

 原料の中心として使う「ほおずり」は酸味と香りに特徴があり、煮くずれの少なさから加工用として注目されている品種。現在の生産量は年間約4トンだが、原料を供給する同組合は5年後をめどに100トンまで増やす計画だ。

 アップルプレザーブの卸売販売は町内と近郊に限定。自社製品で使用するのはもちろん、仕入れた菓子店などにはそれぞれ独自の商品を開発してもらう考え。千葉社長は「七飯のリンゴを使って地域の味を作り上げていきたい。町全体で七飯町産リンゴのブランド力を高めていければ」と話す。

 国の農商工等連携事業計画は、商工業者と農林漁業者が連携して新サービスの開発を行う事業を支援するもので、同社は7日付で認定された。(山田大輔)



◎茂辺地の空襲被害 地図に 浅利さん「後世にわかりやすい形で」

 函館空襲を記録する会代表の浅利政俊さん(83)=七飯町在住=は、函館・北海道空襲(1945年7月14、15の両日)で被害を受けた茂別村(現北斗市茂辺地・当別地区)の空襲関連記録を地図にまとめた。石別、茂辺地の小・中学4校に寄贈し、平和教育に役立ててもらう考えだ。

 6年前、「函館の要塞(ようさい)を守る重要な地区だった」という茂別村に焦点を当てて何度も茂辺地・当別地区を訪れ、住民ら10人以上に聞き込み調査。その後、「分かりやすく記録する方法はないのか」と悩み抜いた末、茂別村村勢要覧に掲載されていた当時の地図に日本軍の配置や敵軍から狙われた場所、住民の証言などを加筆した。「このような形の資料は今までなかった。子どもでも理解しやすいように心掛けた」と浅利さん。

 地図には、法円寺の近くは特攻艇隊員駐屯訓練地裏側だったことや、第四青函丸と駆逐艦「橘」が撃沈された場所も詳細に描かれている。

 浅利さんは「一つ一つの情報を紡ぎ合わせ、全体像を明らかにした。村だけではなく、函館・渡島の空襲を見直すきっかけになれば。次世代に分かりやすい形で記録を残し、地域の平和教育に生かしてほしい。今後は、椴法華地区の空襲記録も地図に示していきたい」と意気込んでいる。(斎藤彩伽)



◎せたな町議の内田氏、道議選出馬の意向

 【せたな、江差】せたな町議の内田尊之(たかゆき)氏(53)が18日、来春の道議選桧山選挙区(定数1)に出馬することが決まった。同日、江差町内で開かれた自民党桧山ブロック支部長会議で満場一致で推薦を受け、正式に表明した。党道8区(支部長・前田一男衆院議員)を通じて党公認を受ける見通し。

 内田氏は、旧北桧山町出身。桧山北高、東京観光専門学校卒。書道講師を経て1988年、内田建設に入社。95年、同社社長、2007年、せたな町議に初当選し、現在2期目。

 出馬にあたり、産業振興や過疎化対策に取り組む考えを強調。「産業振興を大事に基幹産業のてこ入れを図る。さらに、この地域の建設業の役割である、一次産業従事者の雇用の場づくりを進める。一次産業の生活基盤を建設業で得ることで(農業や漁業など)本業の発展がある。産業振興を基本に若者の定着や子育て支援などの肉付けが必要」と語った。

 前田氏は「乱立してはいけない」と、自民党候補の一本化を図る考えで、「楽観視せず、自分の選挙と同じ気持ちで臨む。厳しい選挙だが勝ち抜く」とする。

 桧山選挙区では、4期目を目指す民主党現職、福原賢孝氏(66)の出馬が決まっている。

 内田氏の自民党公認時期について、関係者は「9月ごろが濃厚」とみている。(田中陽介)


◎函館市医師会会長に本間氏

 函館市医師会はこのほど総会を開き、任期満了に伴う役員改選で、新会長に本間眼科医院院長の本間哲氏(60)を選任した。任期は2年。

 本間氏は条例の改正で診療時間が30分延長された市夜間急病センターについて「二次病院に対して、緊急性のない患者が救急外来を利用するコンビニ受診が少なくなるよう行政と協力しながら啓発に力を入れていきたい。道南全体の救急医療体制を維持していくことが大事」と話す。道南ドクターヘリに関しては「年間3分の2を市立函館病院、残り3分の1は他の二次病院が担うのが1つの特徴。導入に向け、受け入れ態勢を整えていきたい」と話している。

 1954年函館市出身。関西医科大学卒業。88年から本間眼科医院院長を務める。同会の理事を5期10年、副会長を3期6年務め、会長に就任した。(平尾美陽子)