2014年7月2日 (水) 掲載

◎市民や観光客 みんな歩いて…「開港通り」命名式

 函館朝市からベイエリアへと続く市道の愛称が「開港通り」に決まり、函館国際観光コンベンション協会などは1日、大手町の東雲広路で命名式を開いた。道路案内標識をお披露目。幼稚園児も駆け付け、歌で祝福した。

 「開港通り」に決まったのは、市道約1・5`で正式名称が「中臨港線」「二十間坂通り」。2016年3月の北海道新幹線開業後は現在よりも多くの観光客がこの通りを歩くことから、魅力を高めるための手始めとして市民から愛称を募集。511点の応募があった。

 セレモニーには関係者約20人が参加。同協会の森健二副会長が「魅力を高め、開港時のように大きく発展させたい」とあいさつ。工藤寿樹市長は「開港通りを名乗れるのは5都市だけ。函館の歴史を感じさせるぴったりの名前。市民にも歩いてもらいたい」と上機嫌だった。

 標識が披露されると、大きな拍手が起こった。元町白百合幼稚園の園児40人が旗を振りながら歌で祝福した。同協会は「名前の由来が分かるような看板も設置できれば」とした。 (松宮一郎)



◎アユ釣り解禁 道南でも

 【厚沢部】道内でのアユ釣りが1日解禁を迎えた。管内有数の清流の厚沢部川にも愛好家が訪れたが、釣り人によると初日の釣果は極めて少なかったという。

 縄張りに入ったアユを追い出そうとする性質を利用する友釣りで、針をつけたおとりに体当たりするアユを狙う。

 厚沢部町観光協会の前井敏弘会長(50)も愛好家の一人で、毎年解禁日には経営する食堂を臨時休業にする熱の入れよう。今年も午前6時から竿を握ったが手応えはなく「20年以上の中で一匹も釣れなかったのは初めて。アユが海にいる2月から4月の海水温が異常に低かったのでその影響があるのかも」とみる。ただ「アユの姿はいくらか見えるので雨が降って渇水がなくなったら釣れ始めるかもしれない」と期待する。

 厚沢部川のアユは、厚沢部町河川資源保護振興会が稚魚放流や草刈り、ごみ拾いなどで資源を守り、友釣り協賛金(任意)を求めている。厚沢部町観光協会(道の駅内)のほか、町内のおとりアユ販売店で受け付けている。解禁期間は9月15日まで。 (田中陽介)



◎集団的自衛権閣議決定 道南政党から賛否

 政府は1日、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認を臨時閣議で決定した。戦後の安全保障政策の大きな転換点となる決定に、道南の政党関係者の意見も評価と批判に割れた。自民党の前田一男衆院議員は「国の存立が脅かされる場合にあらゆる手段を講じて国民を守るのは政治家の責任」と述べ、政府決定の意義を強調。一方、野党関係者は「立憲主義へのテロ行為」「平和主義がなし崩しとなる」などの声が上がった。

 前田氏は、緊張が続く東南アジア情勢などを踏まえた上で集団的自衛権の必要性について「アジアの海が平和の海であるために日本には果たすべき役割がある」と強調。解釈改憲への批判に対し、「戦後、何度も憲法解釈の変更を行ってきた。今回もその枠内のことであり、改憲の必要性はない」と説明し、時の政権によって解釈が拡大されかねないという懸念に対しては「政権の判断は選挙で審判を受けることになる」と語った。

 公明党函館総支部の茂木修支部長は「これまでの政治見解を全面的に覆しての行使にはそもそも反対だが、『明白な危険がある場合』の文言が入ったことで、一定の歯止めはできた」と評価し「与党内で歯止めをかける方が有効」と話した。  ただ、党の支持者からは詳細の情報を求める声が出ているといい、「国会議員を中心に説明責任を果たしていかなければならない。しっかりと具体を示し、理解を求めていく必要がある」とする。

 一方、野党関係者からは解釈改憲での決定への批判が強い。

 民主党道第8総支部の逢坂誠二代表は「立憲主義が根底から覆り、日本の国が混乱に陥る」と指摘。戦後の平和主義が果たした役割の検証がなく、極端な事例に基づく性急な決定だと批判。「片方の勢力が武力を高めれば、相手も武力を高め、最終的に緊張が高まる。日本はその悪い連鎖の中に戻るのか。日本へのリスクが高まり、テロ対象になる可能性もある。そういうこともほとんど議論されていない」。

 共産党函館市議団の市戸ゆたか団長は「戦争放棄をうたった憲法9条を解釈で変更させて、他国から攻められた際に自衛隊を出すというのは憲法違反。文言変更など、細かいテクニックを使って容認することは許されない」と、憤りを隠さない。

 6日には関連団体の全労連・函労会議が千代台公園で集会とデモ行進を予定しており、「憲法9条を守ることが党の信念。集会の場などで市民の思いを結集させたい」と話した。(松宮一郎、千葉卓陽、今井正一)


◎丸井今井前 6年連続下落…13年路線価

 札幌国税局は1日、相続税や贈与税の課税基準となる路線価(2014年1月1日現在)を発表した。函館税務署管内の最高路線価(1平方b)は函館市本町、道道函館南茅部線通りの丸井今井函館店前で、前年比3・3%(5000円)ダウンの14万5000円で、6年連続の下落となった。下落率は前年よりも0・1ポイント拡大した。

 道内約1万5700地点の標準住宅(継続地点)は平均で前年より0・6%下落したが、下落幅は前年より1・7ポイント縮小した  道内30税務署管内の最高路線価のうち、前年より上昇したのは札幌中央、北など6署で、前年より4署増えた。また、横ばいは札幌南、札幌東など6署。下落は函館、八雲、江差を含む17署で、前年より4署減った。

 江差税務署管内の最高路線価は、江差町本町の道道江差停車場線通り(五勝手屋本舗前)の2万7000円で、下落率は3・6%。八雲税務署管内は、八雲町本町の道道八雲北桧山線通り(渡島信金八雲支店前)の2万9000円で、下落率は6・5%だった。

 道南の状況について、市内新川町の不動産鑑定士、景澤周平さん(景澤不動産鑑定事務所)は「2016年3月予定の北海道新幹線開業など明るい材料があるが、今のところ動きが出ていない」と指摘。一方で「開業で観光客が街中に来るなど目に見える効果が現れれば上昇する可能性もある」と説明する。

 道内の最高路線価は札幌中央税務署管内の札幌市中央区北5西3、道道札幌停車場線通り(札幌ステラプレイス前)の266万円(前年比3・9%増)で、9年連続で最高だった。 (鈴木 潤)