2014年7月29日 (火) 掲載

◎大谷短大サークルが学内に塾開設 放課後は学生と勉強を

 函館大谷短大(福島憲成学長)の「教育情報サークル」は、学内に学習塾「ジュニアひょうたん塾」を開設した。小学生を対象に学生が個別指導を行い、一人一人の学習ニーズ応えていく。学習障害など支援が必要な児童も受け入れることが特徴だ。メンバーらは「『寺小屋』のようなイメージ。一緒に勉強をしよう」と呼び掛けている。

 地域貢献の一環として企画。指導にあたるのは同サークルの1、2年生6人。児童と触れ合う中で教育方法を学ぶことが狙い。授業は児童と学生のマンツーマンで行う。教材の準備や指導計画の立案などはサークルを担当する橋本陽介助教がバックアップする。

 対象は小学1〜6年生。学習障害などを抱える児童も受け入れ、障害のあるなしにかかわらず学ぶことができる環境「インクルーシブ教育」の実践を目指す。「インクルーシブ教育を打ち出し、学内に塾を開設するといったことは大学、短大の中でも珍しい」と橋本助教。

 授業にはタブレットなどの情報機器を用いて児童が興味、関心を持ちやすいように工夫する。愛場聡さん(2年)は「これまでに学んだ保育、幼児教育の経験を生かしたい」と意気込む。羽原麻菜さん(2年)は「分かりやすさを心掛け、楽しく学べるような環境をつくりたい」と話している。

 毎週水曜の午後5時から1時間。受講料は教材費込みで1回500円。夏休みを終え、8月下旬から本格的な指導を行う。相談や問い合わせは同短大(TEL0138・51・1786)へ。(松宮一郎)



◎箱館奉行所 丸5年

 国の特別史跡・五稜郭跡に復元された箱館奉行所は、29日でオープンから丸5年を迎える。これまで約86万4700人(6月末現在)が来館し、根強い人気を示しているが、来館者は年々減少が続いており、新たな魅力向上策が急務となっている。田原良信館長は「原点に立ち返り、奉行所と五稜郭の歴史性を伝えていくプログラムを作っていきたい」と話している。

 箱館奉行所は1864(元治元)年、北方警備の拠点として設置され、旧幕軍降伏から2年後の71(明治4)年に解体された。復元工事は総工費約28億円で、2006年から4年かけて実施。総面積の3分の1に当たる約1000平方bが復元されている。

 来館者はオープンした10年度に22万9489人と、当初目標の14万7000人を大きく上回り、11年度も東日本大震災の影響を受けながらも23万7126人と堅調だった。しかし、12年度は18万8729人、昨年度16万5639人と2年続けて減少。本年度は6月末現在で4万3488人が訪れている。

 田原館長(61)は市教委で五稜郭の発掘調査や奉行所復元工事に携わり、今年4月に就任。「これまでの5年間は復元の過程を周知することで好評を得ていたが、(来場客の)理解がそこで終わってしまっているのが反省点」と振り返る。

 就任以降、幕末から明治にかけての話題を振り返りながら、奉行所がどのような役割を果たしたかを伝える「かわら版」の発行など情報発信を強化している。同館長は「五稜郭と奉行所が一体の存在だと知ってもらいたい。奉行所で何があったかや、なぜ建物が必要だったかなどを紹介するソフト面の開発に力を入れながら、建物の価値観を高め、リピーターを増やしていきたい」と意欲を示している。

 29日には5周年を記念し、先着300人にオリジナルポストカードをプレゼントするほか、能の舞が披露される(午後1時半、2時半の2回)。また、8月1日から1カ月間は兵糧庫の特別公開を行う。午前10時から午後3時まで。(千葉卓陽)



◎大型実験水槽にイカ 海洋センター

 函館市国際水産・海洋総合研究センター(弁天町20)の大型実験水槽にスルメイカ約370匹が放たれた。9月末までの予定で、群れ行動や摂餌行動、産卵の様子などを観察する実験飼育。白く透き通ったイカが群れをなして泳ぐ様子を見ることができる。

 研究者は北大大学院水産科学研究院特任教授の桜井泰憲さん。桜井さんによると、同センターの大型水槽設置により可能になった実験で「イカの一生の最後の部分を再現する」とする。イカは南茅部・古部沖の定置網で捕獲した。胴長は10〜13aで1月ごろに生まれたと推定される。

 現在は光に対する反応や群れ行動の観察が中心。餌用のカタクチイワシ約100匹も放たれており、大きく成長すれば、自らイワシを補食するようになるという。さらに成長すれば、生殖行動や産卵がみられるといい、直径80aほどになる卵塊から幼生を孵化(ふか)させるまでの様子も観察する。

 桜井さんは「30年来イカの研究をしているが、きれいなイカの群れを見ることができて私自身も非常に感動している。市民の皆さんにもぜひ見てほしい」と話している。

 開館時間は平日の午前9時から午後5時。土曜日は休館、日曜日は8月末まで臨時開館中で、午前10時から午後4時まで見学できる。(今井正一)


◎29日は「土用の丑の日」 市内でも準備忙しく

 29日の「土用の丑の日」に合わせて、本町32のウナギ専門店「鯉之助」(中里拓二社長)では、かば焼き作りを忙しく進めている。改行 同店は1953年の開業以来、継ぎ足してきた秘伝のたれを使って焼き上げている。ウナギは宮崎や鹿児島産を中心に国産の一級品を扱う。生きたウナギを手早くさばいて蒸し、絶妙な焼き加減で仕上げていく。

 不漁だった昨年に比べ、稚魚(シラス)の漁獲は倍になり、仕入れ値は昨年より700円ほど安くなったという。2代目の中里社長(64)は「値段はまだ高いが、できればかば焼き屋のおいしいウナギを食べてほしい。1週間前後は混み合うので、早めの予約を」と話している。

 問い合わせは、同店(TEL0138・51・5982)まで。(斎藤彩伽)